PERSON

2024.10.03

坂口健太郎、『愛している』と言う前に、『好き』と言うべき

辻仁成とコン・ジヨンによる同名小説が原作の韓国制作の配信ドラマ『愛のあとにくるもの』で主演を務める坂口健太郎。韓国で感じた愛情表現の違い、そして恋愛ドラマで演じるうえでの極意を語る。インタビュー1本目。 #2本目 #3本目(順次公開)

坂口健太郎

100%その役になりきろうと思っていない

韓国制作のAmazon Prime配信ドラマ『愛のあとにくるもの』、臓器提供をテーマにしたNetflix配信ドラマ『さよならのつづき』と主演ドラマの配信が続く坂口健太郎。撮影もこの2作品は同時進行で撮影している時期もあったという。

「『愛のあとにくるもの』では極寒の韓国で撮影、そこからすぐに『さよならのつづき』で真夏のニュージーランドへ。それぞれの撮影現場に立ち、それぞれの共演者さんと向き合えば、自然と切り替わります。

それに僕は100%その役になりきろうって、正直思っていないんです。そこにいるのは絶対に僕だし、それまで生きてきた僕が出てしまう。

だからどんな役を演じていても15%くらいは僕自身が映ってしまってもいい。今はそう思っています」

疑問に思ったことは周りと話す

台本を受け取って役を演じる時も、坂口健太郎という自分自身が感じたことを役に昇華させていく。

韓国から日本へ留学に来た女性チェ・ホンと、小説家を目指す大学生の潤吾が運命的な恋に落ち、韓国で5年ぶりに再会する愛の行方を描いた『愛のあとにくるもの』でもそれは同じだった。

「最初に台本を読んだ時、『サランヘヨ』、つまり『愛している』というセリフがたくさんあったんです。僕としては『愛している』と言う前に、『好き』という言葉があると思ったし、デート中に何度も『愛している』と言ってしまったらその言葉が軽く感じられてしまうのではないかと思いました。

一方で韓国のスタッフさんに聞いてみると『韓国では“サランヘヨ”ってしょっちゅう言うよ、むしろ言われないと不安になるよ』と。相手役のイ・セヨンさんにいたっては、もとの台本でも『サランヘヨ』の回数が少ないと思ったそうです。

これはもう完全に愛情表現における文化の違いですよね。そしてだからこそ、作中のふたりもそういう違いを乗り越えられず別れてしまったのかもしれない。自分が疑問に思ったことを周りと話すことが、役を理解するうえで、ものすごく重要でした。

ムン・ヒョソン監督とも話して『日本人の健太郎がそう思うなら、もうちょっとサランへヨの回数と、愛情表現の方法は調整しよう』となりました。そうやって作り上げていった作品なんですよ」

坂口健太郎
坂口健太郎/Kentaro Sakaguchi
1991年東京都生まれ。2014年俳優デビュー。2016年『64-ロクヨン-前編/後編』で日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。出演作に映画『余命10年』『仮面病棟』、ドラマ『鎌倉殿の13人』『Dr.チョコレート』『CODE-願いの代償-』などがある。

恋愛ドラマにおいては、ワイングラスのようにありたい

これまで数々の恋愛ドラマに出演してきた坂口。今回、主演を務める『愛のあとにくるもの』『さよならのつづき』ともに、愛するとはどんなことなのかを考えさせる重厚なラブストーリーだ。

「ラブストーリーって女性の気持ちを表現することがもっとも大事。だから相手役の女優さんの感覚が鈍らないように、しっかりコミュニケーションをとって常に気をつけています。

以前に作品を見てくださった方に『坂口さんってワイングラスみたい』と言ってもらったことがあったんです。あくまで主役はワインだけれど、グラスがないと飲むことはできない。役者としてはすごく嬉しい褒め言葉だなぁって。だからこれからもラブストーリーにおいてはそういう存在でありたいです」

◼️『愛のあとにくるもの』
男性の視点を辻仁成氏が、女性の視点を韓国の作家コン・ジヨン氏が執筆した小説のドラマ化。主人公は、韓国から日本へ留学に来たチェ・ホン、そして小説家を目指す大学生の潤吾。日本で運命的な恋に落ち、ホンは“潤吾との愛だけは永遠に続く”と信じていたが、別れは突然訪れ、ホンは韓国へ帰ることに…。5年後の韓国、ホンは日本での思い出をすべて心に閉じ込めて新たな人生を歩んでいたが、潤吾が韓国に訪れたことで、2人は運命的な再会を果たす――。5年前のあたたかな春の日本、現在の切ない冬の韓国を舞台に終わったはずの愛の行方を描く純愛ラブストーリー。『王になった男』のイ・セヨンと坂口健太郎のW主演。

出演:坂口健太郎、イ・セヨンほか
監督:ムン・ヒョンソン
原作:辻仁成/コン・ジヨン『愛のあとにくるもの』(幻冬舎)
2024年10月11日よりPrime Videoにて見放題独占配信

◼️『さよならのつづき』
事故で最愛の恋人を失ったひとりの女性と、その恋人に命を救われたひとりの男性。運命に翻弄されるふたりの美しくも切ない、“さよなら”から始まるラブストーリー。Netflixの完全オリジナルストーリーである本作の脚本を手掛けるのは、ヒューマンドラマの名手で、映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』、『余命10年』の岡田惠和。監督は、連続テレビ小説『ひよっこ』でも岡田とタッグを組んだ黒崎博が務める。

出演:有村架純、坂口健太郎ほか
脚本:岡田惠和
監督:黒崎博
2024年11月14日よりNetflixにて独占配信

<衣装クレジット>コート¥715,000、シャツ¥149,600、パンツ¥280,500、靴¥176,000、タイ¥37,400 (すべてプラダ/プラダクライアントサービス TEL:0120-45-1913) 

TEXT=安井桃子

PHOTOGRAPH=倭田宏樹

STYLING=壽村太一

HAIR&MAKE-UP=廣瀬瑠美

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