PERSON

2025.06.30

「自分は必要とされていない」と感じる人が「必要とされる人」に変わる方法【吉本NSC人気NO.1講師の授業】

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2024年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。

吉本NSC人気講師・桝本壮志

「自分は必要とされていない……と感じることが多いです。仕事を後輩に回されたり、新プロジェクトに呼ばれなかったり、同僚から頼られることも減ったりして、職場で腐りかけています。こんな私にアドバイスをお願いします」という相談をいただきました。

ビジネスパーソンの原動力は「他者から必要とされること」なので、「必要とされていない」と感じると、労働意欲も帰属意識も薄らいでいくもの。

そして、自分がいなくなっても、そのポジションを埋める「若い人材は必ずいる」のが世の常なので、焦燥感がつのりますよね。

そこで今回は、まだ誰からも必要とされていない芸人の卵たちを励まし、育成してきた僕が、「必要とされていない人から、必要とされる人にシフトチェンジする3ステップ」をシェアしていきたいと思います。

ステップ①「距離を置く」より「距離を埋める」

まず、「必要とされる人」になるために、あなたが生まれ変わる必要はありません。感情の使いかたを変えていけばいいのです。

例えば、多くの人は、自分から「必要とされない人になっていく」パターンにハマりがちです。

僕にも経験がありますが、私たちは職場で疎外感を感じると、モチベを下げ、チームと距離を置いたり、口数を減らしたりします。相談者さんの言う「職場で腐りかけている」は、きっとこの状態です。

当人にとっては、ごく自然な行動なのですが、周囲はそれを「怖い」「とっつきにくい」「無気力」と捉え、ますます仕事を振りにくい人、つまり必要とされない人になっていくんですね。

一匹狼は崇高な生きかたですが、他者から必要とされる、自分の「強み」や同僚との「差別化」は“単独行動よりも集団行動の中で見つかる”もの。

なので、「必要とされていないかも」と感じたときは、周囲と「距離を置く」でなく「距離を埋める」というマインドを選択していったほうが得をするんですね。

ステップ②「必要とされる人」を演じてみる

「距離を埋めてみよう」という感情になれたら、次のステップは、「集団の中でどう振舞うか?」です。

人間関係は、ただでさえ複雑なので、複雑に捉えていくと難解になるばかり。なので、シンプルに考えて行動していきましょう。

例えば、「プロの芸人になること」は、よほどの覚悟と努力がいると思われています。吉本NSCには、毎年1300人もの生徒が入ってくるので、彼ら自身も「自分はなれないんじゃないか?」という疑念と不安を抱えていたりもします。

そんな生徒らに、僕が伝えていることは至極シンプル。

「芸人になりたいのなら、芸人を演じてみればいいんだよ」です。

複雑に考えず、まずは自分がイメージしている「芸人像」を日常で演じてみる。

すると、Vシネに出はじめた俳優さんが、出演作が増えるごとに「凄み」を増してくるように、演じることで身体になじみ、やがて自然に動きだす。これが芸人になる最短距離なんですね。

皆さんも、憧れの上司などの「必要とされる人」を思い浮かべ、模倣してみることから始めてみてください。

ステップ③真似できない「部分」があなたの「強み」

憧れの人を真似てみると、「あれ? ここは自分には合わないな」という部分が出てきます。

例えば、みんなから頼られているAさんを模倣していると……

▼Aさんは、快活に発言するところが魅力的→ が、直感的でエビデンスが弱いので、自分はもう少し情報を足したい。

▼Aさんは、とにかく仕事が早い→ が、やや大雑把なので、自分はもう少し丁寧に返したい。  

実は“この「憧れの人からハミ出してしまう自分」が、世間で言うところの「個性」や「強み」”なんです。

今の例だと、Aさんの持つ魅力に、自分の「情報力」や「丁寧さ」を加えて「強み」にしていける可能性があるということなんですね。

「距離を埋め、憧れの人を模倣し、そこからハミ出す自分を愛でていく」。この3ステップを気に入った方がいましたら、ぜひ試してみてください。

ではまた来週、別のテーマでお逢いしましょう。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2024年M-1決勝に輩出。

COMPOSITION=古澤誠一郎

TEXT=桝本壮志

PHOTOGRAPH=杉田裕一

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2025年8月号

100年後も受け継ぎたいLUXURY WATCH

ゲーテ2025年8月号

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2025年8月号

100年後も受け継ぎたいLUXURY WATCH

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ8月号』が2025年6月25日に発売となる。今回の特集は、“100年後も受け継ぎたいLUXURY WATCH”。表紙はNumber_iの神宮寺勇太さん。あくなき探究心が見つけた語り継ぐべき名品とは。

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

GOETHE LOUNGE ゲーテラウンジ

忙しい日々の中で、心を満たす特別な体験を。GOETHE LOUNGEは、上質な時間を求めるあなたのための登録無料の会員制サービス。限定イベント、優待特典、そして選りすぐりの情報を通じて、GOETHEだからこそできる特別なひとときをお届けします。

詳しくみる