GOLF

2026.05.02

しっかり振ったのに、球は右へ逃げるようにスライス。距離も出ない…その原因と改善法とは

しっかり振ったはずなのに、球は右へ逃げるようにスライス。距離も出ない――そんな“あるある”に心当たりはないだろうか。原因はスイングの強さではなく、「手の使い方」にある。フェースが開くメカニズムと、その改善法を動画付きで解説する。

吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン/「しっかり振ってるのにスライスする」原因は手首だった。アイアンがつかまらない人の共通点と改善法

「しっかり振ったのに右へ」フェースが開く本当の原因

しっかり振ったはずなのに、ボールは右へ逃げるように曲がる。しかも弱々しいスライスで距離も出ない。「またか」と感じた経験は、多くのゴルファーにあるはずだ。

このようにフェースが開いてしまう原因のひとつが、本能的な手の使い方にある。人は物を正確に投げようとすると、手のひらを目標方向へ向ける。この自然な動きをそのままスイングに持ち込むと、インパクトからフォロースルーにかけて右手のひらを目標方向へ向ける動きになりやすい。

その結果、手元を前に押し出す動きが強くなり、フェースが開きやすくなる。ボールはつかまらず、右方向へ逃げるスライスになる。

さらに、この動きは“すくい打ち”とも密接に関係している。インパクトで手首を手のひら側に折り曲げると、フェースは開き、ロフトが増えた状態になる。結果として球は高く弱くなり、ボールは高く弱い球となり、飛距離をロスするだけでなく、右方向へのミスも増えてしまう。

つまり、手のひらを目標方向へ向けようとする意識が強いほど、手の動きは過剰になり、フェースコントロールは不安定になる。結果として、ボールがつかまらず、弱いスライスや当たりの薄さにつながりやすい。

スクエアグリップの場合、インパクトからフォロースルーにかけては、右手のひらが目標方向へ向き続けるのではなく、やや下向きの状態でインパクトを通過し、その後に背中方向へ向きを変えていく。この一連の向きの変化が適切に行われれば、フェース面はスクエアに保たれ、安定したインパクトにつながる。

しかし、自由度の高い手首を主体に動かしてしまうと、フェースのコントロールは難しくなり、スイングが不安定になる。こうした本能的な動きでフェースコントロールが乱れる場合は、手首の使い方を見直す必要がある。

ミスを減らすためには、手首を積極的に動かそうとするのではなく、「角度を保ちながら余計な動きを入れない」という意識に切り替えることが重要だ。手首の角度を維持したままスイングすることで、フェースの向きは安定し、インパクトの再現性も高まる。

そして、その代わりに主導すべきなのが前腕の動きである。

前腕には橈骨(とうこつ・親指側)と尺骨(しゃっこつ・小指側)があり、イング中は橈骨が尺骨の周りを回るように回旋する。この動きによってフェースの向きは自然に変化する。この回旋が「回内・回外」と呼ばれる動きだ。

特に親指側に力みが入ると、この回旋が妨げられ、フェースローテーションはスムーズに行えなくなる。逆に小指側で支えるようにグリップすると、前腕の回転はスムーズに引き出される。手首を積極的に動かさなくても、前腕の回転によってフェースは適切にローテーションするのだ。

手首を抑えて前腕で打つ。フェースを安定させるシンプルドリル

手首の動きを抑え、前腕主導の動きを身につけるために有効なのが、手首の角度を固定した状態で前腕の回転を意識するドリルだ。

まずアドレスで右手一本でクラブを持ち、右手首の角度を軽く固定する。必要であれば、反対の手で軽く押さえてもよい。その状態でクラブを小さく振りながら、前腕を回転させていく。

ダウンスイングでは右手のひらはボール方向、インパクト付近ではやや下向きのまま通過し、フォロースルーにかけて背中方向へ回っていく。この流れを意識することで、前腕の回転がつかみやすくなる。

ここで重要なのがグリップの力の入れ方だ。親指と人差し指に力が入りすぎると、クラブを“動かそう”とする手先の操作が強くなり、前腕の自然な回転が妨げられてしまうためだ。

中指や薬指といった下側の指で支えるように持つことで余計な力みが抜け、前腕の回転が自然に使えるようになる。

実際のスイングではここまで極端に手首を固定することはないが、あえて制限をかけることで「前腕を使うしかない状態」を作れる。これが手首に頼らず前腕の回転でフェースが動く感覚づくりには有効だ。

この感覚が身につくと、インパクトでボールをしっかりつかまえられるようになり、球の強さと方向性は大きく改善する。

なお、グリップの形によっては、手の向きや前腕の動きに違いが出る点にも注意したい。特にストロンググリップが強い場合は、同じ動きをするとフェースが閉じやすくなるため、自分のグリップとのバランスを確認しながら行うことが大切である。

手首を積極的に使うのではなく、角度を保ちながら前腕でコントロールする。このドリルを繰り返すことで、その感覚が身につき、スイングの再現性は大きく向上するだろう。フェースコントロールに悩んでいるゴルファーは、ぜひ取り入れてほしい。

動画で解説|すくい打ちを解消する右腕の使い方

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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