PERSON

2025.03.03

会議で上手く発言できない人へ。毎週40超の会議をこなす達人が明かす2つのコツ

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2024年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。

「会議の場で、考えていることはあるのに上手く発言できません。もうすぐ新入社員も入ってくるので焦っています。たくさん番組会議に出てきた桝本さんは、若手にどんなアドバイスをされていますか?」という御相談をいただきました。

分かります。若手のころは僕もそうでした。意見やアイデアはあるのに上手く発言できない、話せない。声のデカい人や、どんな話題にも口を挟んでくる調子のいい人に圧倒され、気づけば一言も発しないまま散会に……、会議の悩みは尽きませんよね。

そこで今回は、これまで200以上の番組会議に出て、現在も週間40以上の会議をこなしている僕が、「会議でうまく発言できない若手の共通点」をシェアしていきたいと思います。

「会議」は社会人になってから習う「未学習の科目」

まず、若手に「会議で上手く話せないんです」と相談されたら、僕は「学生時代に、会議の授業なんて無かったんだから当然でしょ」と答えています。

国語で語彙力、数学で問題解決能力、道徳で人間力などは身につけてきたけど、会議のやりかた、こなしかたは未学習なので上手く立ち回れないのは当たり前。

会議は、社会人になってから始まる新しい科目のようなものなので、「今」「ここ」から学んでいけばいいんです。

安心してください。あのスティーブ・ジョブズだって、CEOになったあとも丸2日かけてプレゼンの練習をしていましたし、堂々と会議をこなしている上司たちも同じ道を通ってきた「元会議ビギナー」です。

二十歳になった人が、お酒で失敗をしながら「自分に合った酒量を覚えていく」ように、あなたも“失敗しながら自分に合った会議パフォーマンスを身につけていけばいい”のです。

会議は「13文字」を意識して発言する

しかし、会議に不慣れな人には、早めに気づいておくべき「やりがちな共通点」があるので、今回は2つほどシェアしていきましょう。

まず1つ目は“意見が「演説」や「早口」になってしまう”です。

発言のチャンスが限られるポジションでは、自分のターンになると、長々と演説をしてしまったり、緊張から早口になり同じことを繰り返してしまったりするケースが頻発します。

そんな方は“13文字のブレス”を意識してみてください。

これは約10年前から、僕がテレビ出演時やSNSで明かしてきたテクニックですが、報道番組のニュースタイトルやトピックスは、すべて13文字以内にまとめられています。以前はYahooニュースも13文字でした(現在は15文字)。

これは“世の中で起こる事象は、すべて13文字内でまとめることができる”ということですし“ひと息で語れる文字数でもある”ので会議テクニックとしても有用です。

自分の発言が「演説や早口」になっている自覚がある人は、最初は言葉がまとまっていなくてもいいので、「13文字くらいを“ひとかたまり”にして話してみよう」「13文字くらいで息づぎをしてみよう」と心がけて、会議に臨んでみてください。

リズムとブレスに慣れてくると、落ち着きと余裕が手に入るはずです。

相手の「関心をひく」から「関心を持つ」にシフトする

2つ目は“関心を引くことに終始してしまう”です。これは僕にも経験がありますが、とくに若手は「有能な人材に見られたい」という承認欲から、さも雄弁に語ったり、大袈裟な手ぶりをつけたりしがち。

なかには、YouTubeで見かける若きIT社長を模倣したような振る舞いや、流行りの構文を引用する人も散見されます。

そこに共通しているのは“関心を引いて、早く信頼されたい”という感情ですが、会議チームが求めているのは、まずは「信頼できる人」でなく「信用できる人」だということを知らなくてはなりません。

信頼とは「個人の主観で相手を信じること」で、信用は「社会的な視点で相手を信じること」。

そう、最初は「個人ではなく、組織として信用できる人」を求めているので、「関心をひく」は第2章に構成して、まずは「相手に関心を持つ」という第1章をこなしてみる。

人は「関心をひこうとする人」よりも「自分に関心を持ってくれる人」のほうを、同じ組織の仲間として信用しやすいからです。

チームの成員に興味を持ち、傾聴してみると、第2章の解像度が上がるのでこちらもおススメです。

ではまた来週、別のテーマでお逢いしましょう。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2024年M-1決勝に輩出。

COMPOSITION=古澤誠一郎

TEXT=桝本壮志

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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