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2026.06.30

W杯優勝を目指して。森保監督、いい人だけではない、判断力、冷徹さ、弱点【思考まとめ】

8年間森保一監督を追い続けてきたフットボールジャーナリストが「森保一の人物像」に迫った記事をまとめてお届け! ※2026年5月、6月掲載記事を再編。

日本代表・森保一監督【まとめ】

1.日本代表・森保一監督の「いい人」は本物か①

森保一監督

サッカー日本代表・森保一監督が「いい人」なのは間違いない。かつてこれほど監督を取材しやすい環境だったことはなかった。

そんな丁寧な対応をしてくれる監督だからこそ、幸せな時を過ごしてほしいと願っていた。ところがこの8年を振り返ると森保監督はさまざまな困難に直面した。「貧乏くじ」ではないかと思うこともあった。揚げ足を取られることもあった。過酷な運命を辿るように仕組まれているとも思える。

また、笑顔の後ろにもう一つの顔があることも確かだ。事実の裏に隠された意図に気付くと、凄みを感じることも少なくない。決して軽んじてはいけない人物だというのも間違いなかった。

◆ ◆ ◆ ◆

通常、日本代表に新監督が就任すると「ハネムーン期間」がある。監督も報道陣もお互いに探りを入れている間は、何があっても好意的に報じられる。最初から緊張感を持ち込んだのはイビチャ・オシム監督(故人)とヴァイッド・ハリルホジッチ監督ぐらいかもしれない。

オシム監督は初めての日本代表メンバー発表で13人しか明らかにせず、報道陣から質問されると「13人でも試合はできるのだが」といきなり緊張感を走らせた。ハリルホジッチ監督は練習後の選手への取材時間を制限して、初めから対立関係を生んだ。

では、森保監督はどうだったか。初練習のメニューそのものもユニークだったのだが、練習後に報道陣の横を通り過ぎるとき「ああいうアプローチは初めて見ました」と声をかけられると、その場ですぐ立ち止まった。「これが本当にいいのかどうか分かりませんが」と二言三言、コミュニケーションを取ったのだ。

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2.日本代表・森保一監督は「いい人」だけではない。二度の大きなピンチで見せた判断力②

森保一監督

森保一監督は「いい人」だが、それだけで日本代表を率いることはできない。毎回3分の1のメンバーが入れ代わるチームに対し、わずか数日の練習で基本戦術と、対戦相手への対策を覚えさせなければいけないのが代表監督だ。

さらに、ときとして腹をくくって大きなチャレンジに打って出る必要もある。しかもその決断を迫られるのは、かつてないほどのピンチに陥ったときだ。森保監督のこれまでの任期にも大きなピンチが2回あった。

1回目は2021年10月12日。2022年カタールワールドカップ・アジア最終予選の序盤3戦で2敗し、後が無い状態でグループ最大のライバルと目されるオーストラリアをホームに迎えた。

試合前の会見で森保監督は強気の姿勢を崩さなかった。

「ワールドカップ最終予選が厳しい試合の連続であるということは、最終予選に臨む前から覚悟していたことです。まだまだ我々次第で巻き返せるチャンスはあると思っています」

「(ここまで)結果が出せなかったところもありますが、(日本代表の)みんなに力はあるという考えは、私自身は全く変わりはないですし、選手たちへの信頼も全く変わっていません」

これほどの言葉を発するのだから、当然これまでの実績のある選手だけを並べ、システムも【4-2-3-1】で臨むのだろう。

だが、最終予選でずっと先発を務めていた柴崎岳の姿がなかった。代わりに起用されたのは守田英正と田中碧であり、システムは【4-3-3】。そして、この最終予選で初先発となった田中が、開始8分に先制点を叩き出す。

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3.森保一監督、最大の弱点。誤解された「戦術三笘」の本当の意味③

森保一監督

日本代表監督として抜群の成績を残している森保一監督の弱点とは何か。

それは間違いなく「会見で口下手」なところだ。決して思考が追いついていないわけではない。ただときとして「丁寧」すぎて、「あらゆる場面が目に浮かぶ」頭の回転の速さを持っているゆえの「口下手」だ。

会見の壇上で、森保監督は「えー」「あのー」という「フィラー(意味を持たないつなぎ言葉)」が非常に多い。森保監督の名誉のために付け加えておくと、日常的な会話をしているときは決してそんなことはない。

だが、相手の質問にどこまでも「丁寧」に答えようとして、しかもその答えている間にいろんなシチュエーションが頭に浮かび、そこで誤解が生じないように言葉を継ぎ足していくので、結果としてフィラーが増えているのだ。

もっとも、ここまで「口下手」という側面を強調したが、そのこと自体は悪いことではない。どんな質問に対しても誠心誠意答えようとしている姿は、むしろ敬意を払われるべきものだ。

ところがこれが記者会見となると、思わぬハレーションを起こす。

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4.森保一監督、「笑顔」の後ろにある冷徹さ。守田の落選、長友、彩艶への試練④

森保一監督

森保一監督が「いい人」なのは間違いない。だが、その柔和な笑顔に騙されてはいけない。

指揮官はときに冷徹な判断を下さなければならない。2026年北中米ワールドカップのメンバー発表の席で、リストに入れられなかった選手たちのことを思い浮かべ目を潤ませていた人物ではあるが、ピッチ上の選別においては一切の妥協を排している。

衝撃的だったのは、2022年カタールワールドカップのメンバー選考で原口元気を外したことだった。それまで原口は数多くの試合で招集され、さまざまなポジションでの適性を見せてきた。それほど貢献度が高かった選手を森保監督は本大会に連れて行かなかった。

2018年のロシア大会ではラウンド16のベルギー戦でゴールを挙げるなど、実績も十分な当時31歳のベテランだったが、森保監督は特別扱いをしなかった。メンバー発表のそのときまで本人に連絡しなかったという。2026年北中米ワールドカップのメンバー発表の際に、選手たちが緊張していたのはそんな森保監督の判断の非情さを知っているからだろう。

他にも2022年大会なら大迫勇也、今回の北中米大会なら守田英正の落選は、周囲に大きな驚きをもって受け止められた。両者とも、日本代表の中心メンバーとして戦うだけの力は十分に見せていたからだ。

ここに、この2人の明確な共通点がある。

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TEXT=ゲーテ編集部

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