「右手を使いすぎてスライスが止まらない」「方向性が安定しない」。そんな悩みを解決するヒントになるのが、リッキー・ファウラーも実践する「クロスハンドドリル」だ。体と腕を同調させる効果と実践方法を、動画とともに解説する。

リッキー・ファウラーも実践。手打ちを解消するクロスハンドドリル
2026年シーズンのPGAツアーで再び存在感を高めているのが、日本でもファンの多いリッキー・ファウラーだ。
2023年のロケットモーゲージ・クラシックで約4年半ぶりの優勝を果たしたものの、その後の2シーズンのトップ10入りは合計4回にとどまっていた。しかし、2026年シーズンは6月中旬の時点ですでにトップ10入りを4回記録するなど、復調の兆しを見せている。
トゥルーイスト選手権では優勝争いを演じて2位タイに入り、6月15日時点のフェデックスカップランキングでも上位につけている。2023年以来となるツアー優勝が、現実味を帯びてきた。
ファウラーといえば、多くのゴルファーが憧れる切れ味鋭いスイングの持ち主だ。そんな彼が練習に取り入れていることで知られるのが、今回紹介する「クロスハンドドリル(クロスハンドグリップドリル)」。
私はPGAツアーの練習場でファウラーが、左右の手を逆にして握るクロスハンドグリップにもかかわらず、通常のスイングと変わらない滑らかさで、普段とほとんど変わらない球筋を打っている姿を目撃したことがある。しかも、放ったドライバーショットは280ヤード近かった。
PGAツアー選手が練習ドリルで短い距離を打つ姿はよく見かける。しかし、クロスハンドという制約のある握り方でも通常のスイングと変わらない動きでドライバーショットを放つ姿には驚かされた。体と腕が高いレベルで同調しているからこそできる動きだと、改めて実感した。
「右手を使いすぎてスライスが止まらない」と悩むアマチュアは少なくない。その原因の多くは、体と腕が同調せず、手先でクラブを振ってしまう“手打ち”にある。
体の回転よりも手や腕の動きが先行すると、クラブ軌道やフェース向きが安定せず、方向性も定まりにくくなるのだ。
そこで効果的なのが、ファウラーも取り入れている「クロスハンドドリル」である。
このドリルの目的は、体と腕を同調させる感覚を養うことにある。あえて通常とは逆に握ることで、右手の過剰な動きを抑え、体の回転でクラブを動かす感覚を身につけやすくなる。
なぜクロスハンドで握ると体と腕が同調するのか
この逆手の握り方では右手が使いにくくなるため、手先でクラブをコントロールすることが難しくなる。そのため、体の回転と腕の動きが同調していなければ、スムーズにボールを打つことができない。
クロスハンドでもスムーズに振れるようになれば、余計な手先の動きが抑えられ、体の回転を主体とした効率的なスイングができている証拠といえるだろう。
最初は違和感が大きく、思うように当たらないかもしれない。しかし、それこそが普段のスイングで右手を使いすぎている証拠でもある。
左腕を主役に。小さな振り幅から始めよう
このドリルを行う際は、ファウラーのようにいきなりフルスイングをする必要はない。まずはウェッジを持ち、腰から腰までの小さな振り幅から始めてみよう。
意識したいのは、「左腕が主役」ということだ。力の配分としては、「左手9割、右手1割」くらいでちょうどいい。
左脇を軽く締め、左腕とクラブが一直線になった状態を保ちながら、胸の回転でクラブを動かしていく。手先でボールを打ちにいくのではなく、体の回転によって腕とクラブが動き、その軌道の途中にボールがあるイメージを持つことが重要だ。
バックスイングからフォロースルーまで、左肩からクラブヘッドまでが一本の棒のようにつながった状態を維持できると、自然とフェース向きが安定し、スイング軌道も整ってくる。
慣れてきたら体重移動を加えながら、腕が地面と平行になる位置まで振り幅を大きくしていく。さらに違和感なく打てるようになったら、フルスイングへ移行するといいだろう。
クロスハンドでも通常のスイングと変わらない感覚で打てるようになれば、体と腕の同調性はかなり高まっている証拠だ。右手で打ちにいく意識が薄れ、体の回転でクラブを動かせるようになると、アウトサイドイン軌道やスライスは自然と改善していく。
右手を使いすぎている自覚がある人、方向性に悩んでいる人は、ぜひ一度クロスハンドグリップドリルを試してみてほしい。
トッププロが実践するシンプルなドリルのなかに、スイングを変える大きなヒントが隠されている。クロスハンドドリルで、スイングの土台となる体と腕の同調性を高め、方向性の改善につなげてほしい。
動画で解説|スライス改善につながるクロスハンドグリップドリル
◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

