「飛距離が伸びない」「方向性が安定しない」ーーそんな悩みを抱えるゴルファーは少なくない。その原因は、体と腕の動きがバラバラになり、クラブが理想的な軌道から外れていることにあるかもしれない。そんな課題の改善に役立つのが、ローリー・マキロイも長年取り入れている「スプリットハンドドリル」だ。飛距離と方向性を同時に高める練習法を動画とともに紹介する。

飛距離と方向性を両立するマキロイが続ける「スプリットハンドドリル」
2026年シーズンのローリー・マキロイは、前年のマスターズ制覇に続いて史上4人目となる大会連覇を達成し、改めて世界最高レベルの選手であることを証明している。
平均320ヤードを超えるドライバーショットに加え、パーオン率も70%を超えるなど、飛距離と精度を高いレベルで両立。その圧倒的なショット力でトッププレーヤーとしての存在感を示している。
そんなマキロイが長年にわたって練習に取り入れている定番ドリルのひとつが、「スプリットハンドドリル」だ。左右の手を離して握るシンプルな練習法だが、現在でもスイングの状態を確認するために繰り返し行っていることで知られている。
マキロイがこのドリルを重視する理由のひとつは、右腕の位置を管理し、クラブが理想的なプレーンから外れないようにするためだという。
両手を離して握ることで、バックスイングからダウンスイングにかけて右腕が体の後ろへ入り込みすぎる動きを抑えられる。その結果、クラブが必要以上に寝たり、振り遅れたりするのを防ぐことにつながる。
また、このドリルはクラブの位置を整えるだけでなく、体と腕の同調性を高める効果もある。腕を体の回転によってコントロールすることで腕単独の動きが減り、インパクトの再現性が高まりやすい。
さらに、体の回転と腕の動きが同調していなければボールが曲がったりミスヒットしたりしやすいため、フィードバックによって自然と適切な動きを身につけることができる。
飛ばない、曲がる。その原因は体と腕のズレにある
「飛距離が出ない」「方向性が安定しない」という悩みを抱えているゴルファーの多くは、体と腕の動きが同調せず、クラブが適切な位置から外れているケースが少なくない。
特に右腕を使いすぎるゴルファーは注意が必要だ。バックスイングで右腕の動きが多くなりすぎると、右肘が体の後ろへ入り込み、体と腕の同調が崩れたトップになりやすい。
この状態からダウンスイングに入ると、体と腕のズレを修正するための補正動作が入りやすくなる。その結果、腕を振り戻してクラブがアウトサイドから下りれば引っかけやスライスになり、逆に補正が間に合わなければ振り遅れてプッシュアウトやプッシュスライスになる。
球筋が安定しないだけでなく、インパクトの再現性も低下するため、飛距離にも悪影響が出てしまうのである。
スプリットハンドで体と腕の同調性を身につける
スプリットハンドドリルは、アドレスで左手を通常どおりグリップエンド側で握り、右手をシャフト寄りにずらして両手を離して握るシンプルな練習法だ。両手の間隔は広いほど難しくなるが、その分効果も高くなる。
このドリルでは、腕を独立したパーツとして動かすのではなく、胴体と連動させることが重要になる。アドレスでは脇を軽く締め、胸郭と腕が一体になった状態を作り、そのままバックスイングを行う。腕はアドレス時の位置関係をできるだけ保ち、胴体の動きによって動かされるイメージである。
バックスイングで体と腕が同調し、クラブが適度に立った位置にあれば、クラブは軽く感じられるだろう。反対に、クラブが体の後ろへ入り込んだり、必要以上に寝たりすると、クラブの重さを強く感じやすくなる。クラブの重さの感じ方は、クラブポジションや体と腕の同調性を確認する良い目安になる。
また、ダウンスイングでも、腕だけで振ろうとするとまともにボールを捉えられなくなる。胴体が目標方向へ回転し、その動きに腕が連動することで、クラブが自然に振られる感覚を覚えたい。
フォロースルーでは、右手と左手が自然に入れ替わるような動きが現れる。この動きは意図的に作るものではなく、体と腕が同調した結果として生じるものである。また、右腕が地面と平行になる位置でクラブがやや立つような形を目指したい。バックスイングとフォロースルーが左右対称になることで、スイング軌道も安定しやすくなる。
この練習は、バックスイングとフォロースルーで腕が地面と平行になる位置までのハーフスイングで行ってほしい。慣れてきたらフルスイングに移行しても構わないが、常に体と腕の同調性を感じながら行うことが重要である。
スプリットハンドドリルは、マキロイがスイングの確認やリセットのために取り入れているほど、多くの要素を同時に改善できる万能ドリルである。飛距離が出ない、方向性が安定しない、右手を使いすぎてしまう。そのような悩みを抱えているなら、まずはこのドリルから取り組んでみてほしい。体と腕の同調が生まれれば、クラブは自然と適切な軌道を通り、飛距離と方向性は大きく向上していくだろう。
動画で解説|トッププロも実践する方向性改善のドリル
◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

