GOLF

2026.07.07

世界1位を破ったウィンダム・クラークの飛距離の理由は、素早いバックスイング

ウィンダム・クラークが世界ランキング1位スコッティ・シェフラーを破り、2026年全米オープンで2度目の栄冠を手にした。勝因は飛距離だけではなく、スイング改造で手に入れたショットの再現性にあった。その強さの秘密と、アマチュアも参考にしたい「速いバックスイング」のポイントを動画とともに解説する。吉田洋一郎コーチによる最新ゴルフレッスン番外編。

吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン番外編/世界1位シェフラーを破ったウィンダム・クラーク。全米オープン2勝目を支えた「ショット力」と飛ばしの秘密

世界1位シェフラーを退けた復活劇。全米オープン2勝目を支えたショット力

2026年の全米オープンは、世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーがキャリアグランドスラム達成に挑む大会として大きな注目を集めた。しかし、最後にトロフィーを掲げたのは2023年大会の覇者、ウィンダム・クラークだった。

舞台となったシネコックヒルズGCは、全米オープンらしい厳しいセッティングで選手たちを苦しめた。強風と硬く傾斜のあるグリーンにより、わずかなミスも許されない。

そんななかクラークは初日から首位を譲ることなく、2023年以来となる2度目の全米オープン制覇を成し遂げた。

勝敗を分けた16番イーグル。優勝争いを制した一打

大会最大の見どころは、ウィンダム・クラークとスコッティ・シェフラーによる優勝争いだった。

キャリアグランドスラムがかかるシェフラーは初日に2オーバーの72と出遅れたものの、持ち前の安定感で着実にスコアを伸ばし、週末には首位を脅かす存在となった。一方のクラークも3日目は苦しい展開が続いたが、要所をしのいでイーブンパーの70にまとめ、首位をキープした。

その​なかでも勝敗を大きく左右したのが16番パー5だった。16番パー5では、第2打をピンそばにつけてイーグルを奪取。一気に後続との差を広げ、この一打が2度目の全米オープン制覇を大きく引き寄せた。

6打差のリードで迎えた最終日も簡単な展開ではなかった。30歳の誕生日を迎えたシェフラーは、クラークとともに最終組から逆転を狙ったものの、2バーディ・3ボギーの71でスコアを1つ落とし、優勝争いから一歩後退した。

終盤にはサム・バーンズが猛追し、一時は1打差まで詰め寄られる場面もあった。それでもクラークは要所でパットを沈め、難セッティングのシネコックを粘り強く耐え抜いた。

最終的には1打差で逃げ切り、2023年以来となる2度目の全米オープン制覇を達成した。

スイング改造で復活。ショット精度が劇的に向上した理由

クラークは2023年の全米オープン優勝によって一気にトッププレーヤーの仲間入りを果たした。しかし、その後のキャリアは一直線ではなかった。

2024年シーズンは1勝を挙げるなど一定の存在感を示したものの、2025年は思い通りに結果が出ないシーズンとなり、トップ10入りは2回にとどまり、フェデックスカップランキングも65位と伸び悩んだ。

かつてメジャーチャンピオンとしてツアーの頂点に立ったクラークにとって、メジャーチャンピオンとして期待されながらも、再び自分のスイングを見直す転機となった。飛距離という武器は健在だった一方で、ショットの再現性には課題が残り、その課題を解消するため、大胆なスイング改造に踏み切った。

そして2025年秋、地元コロラド州のクラブプロであるパット・コイナーをスイングコーチに迎え、スイング改造に着手する。体と腕のシンクロを高め、手首の使い方やフェースコントロールを見直すことで、グリーンを狙うショットの再現性を高めていった。

全米オープンでは平均飛距離342ヤードで2位、ストロークスゲインド・パッティングでも4位と、飛距離、パッティングともに存在感を示した。しかし、シーズン全体のスタッツを見ると、飛距離やパッティングに劇的な向上が見られたわけではない。

その成果が最も顕著に表れたのが、グリーンを狙うショットの指標「ストロークスゲインド・アプローチ・ザ・グリーン」だ。

2025年シーズン154位だったランキングは、2026年には11位まで急上昇。スイング改造によって、アイアンショットを中心としたショットの再現性が飛躍的に高まった。

シネコックヒルズGCのように硬く傾斜の強いグリーンでは、飛ばすだけでは勝てない。狙ったエリアへ正確にボールを運び、難しいピンポジションでもチャンスにつけ続けるショット力が求められる。クラークはスイング改造によって、その最大の武器ともいえる「グリーンを狙う精度」を手に入れた。

飛距離やパッティングが注目された一方で、2度目の全米オープン制覇を支えた最大の要因は、高い再現性でグリーンを捉え続けたショット力にあったと言えるだろう。

飛距離を生むウィンダム・クラークの「速いバックスイング」とは

ウィンダム・クラークのスイング最大の特徴は、飛ばし屋らしい力強いバックスイングにある。

多くのアマチュアはバックスイングをゆっくり上げることを意識しがちだが、クラークは下半身から始動し、地面反力を使いながらクラブを素早く上げる。勢いよくトップまでクラブを運ぶことで反動が生まれ、その反動によってシャフトがしなる。このしなりをうまく利用することで、大きな飛距離を生み出している。

特に注目したいのは、トップでクラブがわずかに「間」を作り、下半身から切り返している点だ。トップに達する前から下半身が動き始めることでシャフトはさらにしなり、そのエネルギーを効率よくボールへ伝えることで、大きな飛距離につなげている。

アマチュアが学びたいのは、バックスイングで足元から動き始め、クラブに勢いを与えることだ。左腕が地面と平行になるあたりまで加速し、その後は惰性でトップへ向かうイメージを持つといいだろう。クラークの飛距離の源は、バックスイングのスピードによって生まれるシャフトのしなりを生かした、効率的なエネルギー伝達にある。

動画で解説|ウィンダム・クラーク流。シャフトをしならせて飛距離を伸ばす方法

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=Matthew Harris/アフロスポーツ

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