英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第364回。今回は、現実逃避でFIRE(早期リタイア)について調べていたら出合った英語“Coast FIRE”について。

海岸じゃなくて「惰性で進む」? “Coast”の意外な使い方
最近暑くて出かけるのがおっくう、さらに室内にいても冷房でだるく、もうなにもしたくありません。
ふと、いったいいくらあればもう働かなくていいのか、FIRE(早期リタイア)っていくら貯まったらできるのか、現実逃避で調べてしまいました。
……出てくる数字はさまざま、結局どんな暮らしをしたいのかにもよって変わってきます。そして個人的な答えは「このままでは一生FIRE無理」でした。悔しさ紛れにFIREが英語でも通じるのか、実は通じないタイプのカタカナ英語だったりしないのか、調べてみました。
そもそもFinancial Independence, Retire Earlyの頭文字をとってFIREなので、英語でもFIREは当然通じました。いろいろ調べてみると、FIREにもいろいろ種類があり、Coast FIREというものをみつけました。
カタカナでも言われているので、勉強されている方は知っている言葉だと思うのですが、暑すぎてFIREを考えるくらいの浅はかな考えの私には、初めての言葉です。Coastは「海岸」の意味なので、「早期リタイアして、海岸でのんびり過ごすことかな?」と思ってしまいました。
Coast =惰性で進む
名詞では「海岸」ですが、動詞だと、そういう意味があるそうです。ケンブリッジの英英辞典ではこう説明されています。
to move forward in a vehicle without using the engine, usually down a hill.
エンジンを使わず車で前に進む、通常下り坂でのこと
to progress or succeed without any effort or difficulty.
努力や困難なしに、前に進むあるいは成功すること
下り坂だとタイヤは自動的に転がっていきますし、なにもせずに前に進める、そういうイメージでしょうか。
例文ではこういうものがありました
At the top of the hill I switched off the engine and we just coasted down the other side.
(丘の上でエンジンを切って、私たちはそのまま反対側の斜面を下っていった)
While I struggled, my sister coasted through school with top grades.
(私が苦労しているなか、姉は優秀な成績で学校生活を難なくこなしていた)
ということで、Coast FIREとは、「若いうちに老後資金を投資し終え、あとはその資産が複利で育つことを前提に、生活費だけを稼ぎながら暮らす」ということらしいです。
一生懸命上り坂を登って積み上げた財産を、下り坂から落として雪だるま式に増やすようなイメージが浮かんできました。
ちなみに私は若い頃、「人生お金じゃない!」とか言って好きなことだけしていたため、20代ではほとんど稼げませんでした。「若い頃に資産形成」という考えがまったくなく、40代になって「あの時なんとかしていれば、今ごろもっと楽だったのに……」と思う毎日です。というかCoast FIREの「日々の生活費だけ稼ぐ」というのは、まさに今までの生活のことで、「貯蓄がないだけで、すでにCoast FIREしていたのでは?」とすら、思い始めています。まぁ貯蓄がなかったら「転がって増えていく」ものもないので、結果「一生FIRE無理」の答えに再び行き着いて、今ちょっと絶望しています。

