PERSON

2025.03.17

社会人になってから同性の友達をつくるにはどうしたらいいのか

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2024年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。

桝本壮志の人気コラム。

「社会人になってから同性の友達ができず、 他人のSNSを見てはモヤモヤした生活を送っています。桝本さんは、チュートリアル徳井さんたちとシェアハウスをされていましたが、大人が同性の友達をつくるにはどうしたらいいんでしょうか?」という御相談をいただきました。

これは日常でもよくされる質問です。徳井くんらと約7年シェアハウスをして、吉本芸人に囲まれた生活をしているので、業界でも「桝本は同性の友達が多い」というイメージを持たれているからでしょう。

しかし、僕をはじめSNSで“友達いるよアピール”をしている人々は、本当に満たされているのか? その「友達」は、どうやって獲得したのか? 今回はそのあたりを踏まえ、「同性の友達のつくりかた、付き合いかたのツボ」をゆっくり押さえていきたいと思います。

そもそも大人は「友達づくりに適さない」  

まず、私たち大人の「同性の友達が少ない」は当然なので、あまり悩まないでください。

誰でも子供のころは、「友達100人できるかな?」の合言葉よろしく、毎日が“友達ふやしゲーム”のプレイヤーなので、どんどん輪が広がっていきます。

が、社会に出ると、仕事攻略ゲーム、恋愛ゴールインゲーム、リアル生活費マネーゲーム、子育てパニックゲームなどの新作を同時プレイしなければならず、旧作に励む人の絶対数が減っていきます。

なので、大人になった私たちに必要なマインドは、“友達づくりには適していないステージに上がったんだな”という自覚をもつこと。

そして、大人になるということは“知り合いと友達の中間にいる「ぼんやりとした仲間」が増えていくことなんだ”という事実に気づき、“学生時代のようにベッタリじゃないけど深入りも干渉もない。それはそれで幸せじゃないか?”という人生の本質を受け入れていくことだと僕は思っています。

友達は「友達が必要じゃないとき」につくるもの

現代では、「寂しいな」「友達がほしいな」と感じたら、SNSで「理想の友達」を見つけてアプローチするのが普通になってきました。

しかし僕は、同性の友達づくりのコツは“友達が必要じゃないときにつくること”だと考えています。

みなさんもそうでしょうが、ずっと付き合っている生涯の友は、最初に「理想」があって獲得した人ではなく、偶然クラスメイトになったり、部活が一緒になったり、“たまたまそこに居合わせた者どうしが進化していく”ことが多いからです。

ちなみに僕と徳井くんも、たまたま吉本NSCの同期になっただけだし、たまたま同じ番組をやることになって“協力し合った”ことが下敷きになって、友人関係になり、共同生活が始まりました。

なので同性の友達づくりとは、「とくに必要ではない」と思っているときに、助けてくれるかどうか、得か損かも分からないけど、言葉を交わし、手を貸し、励ましていく。

その行為が、ある日「友達」という名前に変わっていく。そんなものだと思っているんです。

同性の友達と付き合うコツは「友達を演じない」こと

最後は、「友達になれそうな人」が現れたときの付き合いかたのコツです。

私たちは、「大切な人を失いたくない」という感情から、つい相手に合わせ、相手の機嫌を損ねないような人間を演じてしまいがちです。

ある映画の1シーンにこんな台詞がありました。

「映画には、主人公とその友達が登場するよね? 君は友達を演じてるんだ。主人公になりなさい」

友人関係の本質をついていますよね。相手を受け入れつつ、ときに勇気をもって、ありのままの自分を相手に差し出してゆく主人公にもなること。

もしも、それで溝ができるのであれば、その人とはそれまでの関係だった。ただそれだけ。ムリに友達を増やすことはないのです。

ちなみに、僕が友達と呼べるのは2人だけ。エンタメ界の人はもっと多いのが普通なんでしょうが、僕には十分。

友達なんて簡単にできるものじゃないし、ちょうど瓶ビール1本を分け合えるくらいが僕のキャパには丁度いいのです。

ではまた来週、別のテーマでお逢いしましょう。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2024年M-1決勝に輩出。

COMPOSITION=古澤誠一郎

TEXT=桝本壮志

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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