2024年夏に続々とオープンした“泊まれるレストラン”、オーベルジュをまとめてお届け! ※2024年8月号掲載記事を再編。
1.1日1組限定、伊豆高原のテロワールを味わう一棟貸しオーベルジュ「bekka izu」
品川駅から観光特急列車「サフィール踊り子」に乗って約2時間。伊豆高原大室山の麓に、2024年3月にオープンした1日1組限定のこぢんまりとしたオーベルジュ「ベッカ イズ」がある。5名まで宿泊できる2ベッドルームの一軒家は、ナチュラルな風合いの国産木材をふんだんに取り入れた別荘のような佇まいで、誰の目も気にすることなく、自分たちらしく休日を楽しむことができる。
ここにはホテルのようなエントランスはない。別荘と違うのは、そこに料理人がいるという点だ。ラウンジの奥にあるダイニングは間仕切りによって独立しており、朝夕の食事は調理場を囲んだカウンターテーブルで供される。
料理を担当するのは、ドイツ・デュッセルドルフにある星つきフレンチレストランで修行し、ホテルの料理長を務めた経験を持つ大塚一樹シェフ。大塚氏は自ら開墾もする畑で自然農法の野菜づくりを行っており、手間暇かけて育てた新鮮な野菜をふんだんに用いた、オリジナリティ溢れるファーム・トゥ・テーブルのメニューを展開する。
2.奈良の自然を体感できる、薪火料理の美食宿「VILLA COMMUNICO」がオープン
奈良・春日大社の神山として千年の伐採を禁じられる若草山。2024年夏、その麓に開業するのが「VILLA COMMUNICO」だ。
大正2年の創業以来、長きにわたって墨や柿渋(かきしぶ)扇子など伝統物産を扱ってきた「丸十物産店」の歴史ある建物をリノベーション。5つある客室は、火、水、土、風、木といったエレメントをコンセプトに、奈良の自然や伝統文化を表現する。
オーナーシェフの堀田大樹氏は、奈良市生まれ。大学卒業後イタリアに渡ってミシュラン星つき店などで修業。帰国後は、京都や奈良の有名イタリアンやフレンチ店で経験を積み、2018年、東生駒に「communico」を開店。
今回、オーベルジュへと舵をきったのは、「県外から来られるお客様も多く、もっと時間をかけて料理や奈良を体感していただきたいと思ったんです。そのためには、宿泊施設も必要ですから」と言う。
3.森の中で心ほどける、本格フレンチの新オーベルジュ「那須 無垢の音」
東京から1時間ほど新幹線に乗り、降り立った那須の地は緑の樹木が広がる別世界。2024年4月、栃木県那須町に「那須 無垢の音」がオープンした。「息吹の森に、こころをほどく。」をコンセプトに、広大な自然のなかで滞在できるオーベルジュだ。
ここでは建築家・石上純也氏が手がける「水庭」と地元で採れる野菜など、鮮度の高い食材を使った本格フレンチを楽しめる。
レストランでは、総料理長の千葉拓海氏を筆頭に新進気鋭の料理人を揃え、宿泊当日の朝に採れたばかりの食材で仕立てられた料理が上質なワインとともに提供される。
また朝食も格別で、高原野菜のサラダや地元の酪農家がつくるチーズの美味しさが心身に染みる。那須の自然が魅せる四季の移ろいを感じながら、時に追われることを忘れる休暇を過ごしたい。
4.全室プールつき。新感覚オーベルジュリゾート「アヤンナ宮古島」
沖縄本島の南西に浮かぶ宮古諸島は、サラサラの白砂が続くビーチと、どこまでも透明な海が広がるリゾート。そんな憧れの南の島に、全室プールつきのオーベルジュリゾート「アヤンナ宮古島」が2024年4月にオープンした。
ゲストルーム前には亜熱帯植物が茂る南国の景色が広がり、客室は、リビング・ダイニングとベッドルーム、テラスにはBBQスペースもあって開放的だ。
レストランでは宮古の海で獲れる新鮮な魚介のほか、沖縄食材をフレンチ割烹の技法で仕立てた琉球イノベーティブ料理が提供される。
プールにトレイを浮かべて色鮮やかなフルーツや野菜、自家製のペストリーなどを味わうフローティングブレックファーストなど、新感覚の滞在を満喫できるはずだ。
5.愛犬も楽しいドッグオーベルジュ「離れ 風月」、千葉・勝浦にオープン
温暖な気候に恵まれた千葉県勝浦の興津海浜公園内に、愛犬とともに滞在できるドッグオーベルジュ「離れ 風月」が2024年7月開業予定だ。
2200㎡の広大な敷地に、客室はわずか4棟のみ。全棟にサウナを完備し、愛犬も利用できるプールを備えた部屋もある。また、ノーリードで利用できるプライベートドッグランも整備されており、愛犬も一日中ストレスフリーで過ごせるのだ。
勝浦エリアの新鮮な魚介類や豊かな土壌で育まれる野菜を使った夕朝食を、客室でいただけるのもこのオーベルジュの大きな魅力だろう。
犬種や大きさなどに合わせた犬用の食事メニューも用意され、ペットと一緒に食事を楽しめる。愛犬家の休日旅が、より充実した思い出深いものとなるに違いない。