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2024.12.30

年末年始に観たい! 滝藤賢一がハマった2024年映画ベスト5【まとめ】

俳優・滝藤賢一による連載「滝藤賢一の映画独り語り座」の中から、2024年に紹介した映画5本を編集部がピックアップ! ※2024年1月〜9月号掲載記事を再編。

滝藤賢一映画連載ベスト5【まとめ】

1.滝藤賢一も呆然…地獄へと堕ちていく母親を劇的に描いた映画『西湖畔に生きる』

『西湖畔に生きる』
©Hangzhou Enlightenment Films

格差社会を描いた映画のアイコンといえば、トッド・フィリップス監督の『ジョーカー』。ホアキン・フェニックスの狂気は鮮烈で、今秋公開されるレディー・ガガとの続編も楽しみでなりません。ああいう存在は拝金主義とかドラッグの問題とか、都会だからこそリアルに感じ、共感できるものだと思っていましたが……。ジョーカーは中国の美しい茶畑からも生まれていたのです。

今年36歳のグー・シャオガン監督の『西湖畔に生きる』。中国の国茶、龍井(ロンジン)茶の産地、杭州・西湖が舞台です。夫が失踪して十数年、女手ひとつで息子ムーリエンを育ててきたタイホア。朝から晩まで多くの仲間と茶摘みをしている。寮に戻っても、学生のように大部屋で共同生活。恋バナに花を咲かせ、女子会トークでキャッキャッして楽しそう。

茶園主との恋。母親思いの息子。ささやかな夢。小さな幸せを噛み締めるように生きていて、観ていて癒やされます。しかし、あることをきっかけに突如、茶園から追放されてしまう。そんな行き場をなくした彼女に救いの手を差し伸べたのが違法なマルチ商法の企業でした。

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2.滝藤賢一が大号泣した親子の物語『ぼくが生きてる、ふたつの世界』

『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
©五十嵐大/幻冬舎 ©2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会

2024年もいよいよ秋シーズンに突入。過ぎ去ったこの夏、世間はオリンピックで賑わい、代表選手を育てたご家族の感動秘話にも心を打たれました。華々しい場に送りだすまでにいろいろなことがあったと思いますが、子育ての参考として競技と同等に興味を持って見てしまいますよねえ。ドラマがあります。

子育て映画も同様、観ると猛烈に感情移入してしまうんです。今作の主役の吉沢亮くん、若かりし頃の自分と重なり、猛省しました。吉沢君演じる大は、聴覚障害者である両親のもとに産まれます。大は聴覚があり、以前、本連載で紹介したフランス映画『エール!』と、アメリカのリメイク版『コーダ あいのうた』の主人公と同じCODA(Children of Deaf Adults)です。

前者は、聞こえる子が聞こえない親を支える葛藤が描かれていましたが、今作は障害者、健常者という垣根がありません。親の聴覚障害が日常の一部として描かれ、どの家庭にでも起こりえる、子供の思春期、親の悩み、家族の幸せ。誰しもが通った親子の風景がメインに描かれている。

もちろん、聞こえないことで大変なことはたくさんあるが、そこがフィーチャーされているわけではない。だからか、客観的に物語を観て感動するというよりは、まるで主人公の人生を自分が生きているような錯覚に陥り、どのシーンも自分に置き換わってしまう。刺さり方がエグかったです。

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3.滝藤賢一も驚嘆、史上最年少9歳で最優秀主演俳優賞を受賞した映画『ミツバチと私』

『ミツバチと私』
© 2023 GARIZA FILMS INICIA FILMS SIRIMIRI FILMS ESPECIES DE ABEJAS AIE

もうね、信じられませんよ。これが演技だったら、滝藤がやってるのはなんなんでしょう(笑)。今一度、自分のやっていることに疑いを持って、演技とは何ぞやと考え直す素晴らしい出会いでした。

今作はフランス領バスクから母の故郷、スペイン・バスクの山岳地帯に夏の間、一時的に里帰りした家族の物語。主人公の8歳のアイトールは、肉体は男の子だけれど、男の子らしい名前も服装も嫌がる。

このアイトール役のソフィア・オテロさん、ベルリン国際映画祭において当時9歳にして史上最年少で最優秀主演俳優賞を受賞したそうです。小さな心と身体で、悩み、苦しみ、葛藤する姿は4人の子供を持つ滝藤もどのように接すればいいのかわからず、自分の未熟さを思い知らされました。

髪を伸ばし、ガーリッシュな服を着て、表に出たいアイトールに、父親は「家の中ではいいけど、外ではだめだ」と言ってしまう。いや、お父さん、気持ちはわかる! 親も心の準備が必要。わかるけど、でもそれはこの幼き子には関係ない。親の気持ちや世間体なんて問題じゃないんですよ。

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4.事故か殺人か自殺か…滝藤賢一も唸った、賞レースを席巻する映画『落下の解剖学』

『落下の解剖学』
© LESFILMSPELLEAS_LESFILMSDEPIERRE

今年もアカデミー賞の季節がやってきました。日本は『ゴジラ-1.0』『PERFECTDAYS』『君たちはどう生きるか』がノミネートされ盛り上がっていますねぇ。最高!

そんななか滝藤がお薦めしたいのが、作品賞、監督賞、主演女優賞など5部門でノミネートされている、フランス映画『落下の解剖学』です。

舞台はフランスの雪深い人里離れた山荘。主人公は国際的な小説家のサンドラ。夫が山荘から転落死し、同じ時間に家に居たのが彼女だけで、殺人容疑がかけられます。遺体の第一発見者は、散歩から戻った11歳の息子。彼は交通事故で視力が大幅に低下し、証言が耳からの情報に限られる。この設定だけで面白いのに、さらに、夫婦あるあるが詰めこまれ、延々と答えのない、底なし沼にハマっていく。

例えば子供の将来を巡る夫婦の相違。この夫婦喧嘩どっかで見たなあと思っていたら、思いだしましたよ。ウチだ! 滝藤家だ! 滝藤家もしょっちゅう子育てについてバトルを繰り広げておりますし、4人も子供がいるので毎日のように事件が起きます。

自分たちのことだと疲れてぐったりしてしまうのに、他人の夫婦喧嘩は客観的に観られて面白い!

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5.生きづらさを抱える全ての人へ、滝藤賢一イチ押し映画『夜明けのすべて』

『夜明けのすべて』
©瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

滝藤が大好きな映画と言えば、中高生の頃から変わらず、派手なアクション、ギャング、ポップで笑って泣ける明るい作品などなど刺激がある映画でした。

淡々と日常を送る物語など退屈でまったく興味がなかった。しかし、年齢のせいなのか、はたまた、俳優という職業を30年近く送ったせいなのか、役所広司さんが主演を務めた映画『PERFECT DAYS』のような、一日を丁寧に、ルーティーンを繰り返して生活していくことがいかに幸せなことなのか。それがどれだけ大事なことなのか。ジワジワと響くようになってきました。

三宅唱監督の新作映画『夜明けのすべて』もまた、今の若い人にとって、平穏な日々を送ることは他に代えがたい幸せであり、そうできない苦しさがあるのだと深く染み入ったのであります。

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TEXT=ゲーテ編集部

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