作り手である時計師やコンセプターの顔が見え、彼らが理想とする時計製作に真摯に向き合う。今、熱心な時計コレクターの視線は、独創性が際立つ独立系小規模メゾンに向けられている。今回は、「ローマン・ゴティエ」を紹介する。【特集 人生を豊かにするLUXURY WATCH】

創業者・CEO。1975年、時計製造の聖地ジュウ渓谷で生まれる。専門学校で精密工学を学んだ後、時計部品メーカーに入社。2002年にMBAを取得し、2005年に自身のブランドをジュウ渓谷の町ル・サンティエに創設。凄腕のサプライヤーとしても、名高い。
超精密加工と伝統的手仕上げの融合
メゾンを率いるローマン・ゴティエ氏は、精密工学を学んだ後、時計部品メーカーで工作機械のプログラマー兼オペレーターとしてキャリアをスタートさせた。時計界の創業者としては異例の経歴が、彼の各モデルに生かされている。
自身のブランドを創設するに際し、経営学を学び、MBAを取得した。さらに工作機械CNCマシニングセンタの加工プログラムとオペレーションの天才でもある。直径1ミリ未満のチューブを鋼材から削りだせる超精密加工技術を有し、許容誤差わずか2ミクロンですべてのパーツを製作。こうして超高精度で加工されているから、その後施す伝統的な手仕上げがよりいっそうの美観を放つのだ。
2007年に初作をリリースすると、すぐ時計コレクターの目に留まった。そして2013年に発表した「ロジカル・ワン」で、ジュネーブ時計グランプリ(GPHG)のメンズ・コンプリケーション部門賞を受賞し一躍時の人に。多くのコレクターが彼の作品を望むが、年間総生産数は250本ほど。どのモデルも入手はかなり困難である。
ローマン・ゴティエ|C by ローマン・ゴティエ カーボニウム エディション
ダイヤルを大胆にカットアウトし、花弁を象る歯車とテンプの一部を透かし見せているのは、ムーブメントと外装は調和すべきとの理念の表れである。そのケースに軽く頑強な炭素複合材を初採用した。

この記事はGOETHE 2026年8月号「総力特集:人生を豊かにするLUXURY WATCH」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

