放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、「令和ロマン」「エバース」「ヨネダ2000」をはじめ、多くの教え子を輩出した桝本壮志のコラム。

「初めて投稿します。桝本さんの本を読みました。会社や上司が教えてくれないことが詰まっていて、私のバイブルになっています。他にも『会社が教えてくれない重要なこと』ってありますか? ぜひ伺いたいです」という質問をいただきました。
会社や上司が教えてこなかったこと、伝えてこなかったことはたくさんあります。
例えば、前時代の日本のオフィスでは、仕事の進めかたや注意点などの「手法・流れ」を細かく丁寧に教えていました。
しかし現代では、なぜコレをやるか? ゴールはどこにあるか? 達成すると会社や社会にどれくらい貢献できるか? といった「大局観・全体のビジョン」を捉えることが重視され、教えるようになってきています。
これも「教えてこなかった重要なこと」のひとつといえるでしょう。
そこで今回は、大手企業の社員研修をプロデュースしてきた知見を踏まえ、「会社や上司は教えてくれない重要なこと」にフォーカス。
現代ビジネスパーソンにとって大切な「心の避難訓練の重要性」をシェアしていきたいと思います。
会社が教えてくれない「心の避難訓練」
災害の多い私たちの国では、学校でも会社でも避難訓練を大切にしています。
消防法により企業も年一回の実施が義務づけられているので、参加している方も多いでしょう。
オフィスも「人災」が起こる場所です。理不尽な上司、ありえないミスをする新人、足を引っぱる同僚など、誰もが人災の被災者になります。
しかし、会社は「心の避難訓練も大切だよ」とは教えてくれません。なかには精神論をかざして被害認定をしてくれない組織もあります。
自分の身を守るためにも、仕事のパフォーマンスを維持していくためにも、心の避難訓練が必要なのですね。
では、一体どんな訓練なのか? 僕が実践してきたことをシェアしていきましょう。
心の避難訓練=「いつかくる」を前提に正しく怖がる
従来の避難訓練の目的は「発生時にパニックにならず、安全かつ速やかに身を守るため」ですよね?
心の避難訓練も同じです。「天災なんて来るはずがない」とタカをくくるのではなく、「いつかくる」を前提にして、パニックにならないメンタルを養っていくのです。
例えば、僕は32年の社会人生活のなかで、以下のような心の避難訓練を身につけてきました。
【いつかくる①:目上の人に理不尽なことをされる】
▼事前の心がまえ→部長・課長など「立派な肩書き」の人が、みんな「立派な人」ではないということを前提にしておく。
▼避難訓練→目上の人を2つに分ける。本来、目上の人は、お手本にするべき「教科書」だが、理不尽なことをしてくる人は、メイン教材でなく「参考書」として接すればよい。
【いつかくる②:ありえないミスをする部下】
▼事前の心がまえ→ミスをする部下を人選した「自分のミスでもある」ということを前提にしておく。
▼避難訓練→つねに部下への期待は×0.5。期待でなく「気体」にする感覚を持ち、サポート役をつけるなど予防線を張って未然に防ぐようにする。
【いつかくる③:足を引っぱってくる同僚】
▼事前の心がまえ→そもそも職場は「お友達づくりの場」ではないので「足の引っぱり合いはある」を前提に考える。
▼避難訓練→自分に非があれば謝るが、覚えのない悪評を流すなどの行為は「認知戦」と同じなので、「毅然と対応する」と心に決めておく。
勘が良い皆さんならお分かりでしょう。心の避難訓練は、これから起こり得る「オフィス人災」を予見し、心のなかでシミュレーションして正しく怖がり、速やかに対応するロードマップを描いておくことなのですね。
リアルな「避難場所」も用意しましょう
災害も人災も突然やってくるので、いざという時に身体がフリーズし、家から出られなくなる(引き籠る)人がいます。
しかし、「家にいる」が最良の選択ではありませんよね。身を守るためには、あらかじめ「避難場所」をサーチして、「ここに逃げよう」と決めておくことが自衛のアクションになります。
自著にも書きましたが、プチ旅行があるなら「プチ逃亡」もあっていいのです。なにも遠くに避難する必要はありません。

1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。「令和ロマン」をはじめ、教え子は1万人以上。新著『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が絶賛発売中! 桝本壮志へのお悩み相談はコチラまで。
別業種のコミュニティ、ご年配が集う銭湯、静かに時が流れる喫茶店など、「すぐに避難できる近場」が仕事を維持していくうえでは最適解です。
ちなみに僕は、定年退職をした元上司が営むバーを避難場所にしています。
皆さんも、生活エリアをうろうろしながら、お好みの心の避難場所を見つけてみてください。
では、また来週、別のテーマでお逢いしましょう。

