PERSON

2026.09.07

福田淳が痛風になって気がついた、食と人生をコントロールする必要

まだまだ謎に包まれた男、福田淳(あつし)。なぜだかいつも周りの人間から頼られ、案件を持ち込まれ、奔走する。そして常に国内外を飛び回り、一日一日を本気で楽しむ。多岐にわたる企業の経営を担い、タブーをタブー視せず、変化を模索する男の人生哲学とは? 第20回目は365日会食続きだからこそたどりついた、食へのこだわり。

福田淳氏
福田淳/Atsushi Fukuda
1965年大阪府生まれ。連続起業家。スピーディグループCEO(現任)、STARTO ENTERTAINMENT創業CEO、ソニー・デジタル・エンタテインメント創業CEO。世界19ヵ国での出版事業、日本でタレントエージェント、LAでアートギャラリー運営、リゾート施設展開・無農薬農場開発、スタートアップ投資など世界中でビジネスを展開する。最新刊に『結局、熱狂できる人がうまくいく。』があり、著書多数。

脳ではなく、腸が欲するものを食べる

30代後半だったある朝、足の親指にものすごい痛みが走りました。そうです、痛風です。僕は大変身体が丈夫で、生まれてこのかた風邪ひとつひいたことがないのですが、働き盛りの40歳手前で、痛風にだけはなりました(靴下を履く時にすごく痛かったので「靴下履けない病」と呼んでいました)。

食とは人生そのものです。何を食べるかで身体と人生は決まってきます。そして当時、僕はまだ食をコントロールすることができていなかったのです(てことは、人生もコントロールできてない!)

当時の僕は、毎日営業の仕事に勤しんでいました。ストレスのなかで連日会食もあり、豪勢なコース料理を与えられるままにいただいていたのです(バブル時代!)。まだ世間知らずでしたから「こういうものか」と、受け入れて美食の数々に酔いしれました。脳が欲するものを食べ、上司や世間やお客様の言われるがままに。もちろん美味しくいただいて勉強にもなったのですが、そこに主体性はなかったと思います。

けれど痛風になったことをきっかけに、僕は身体と食と人生に、主体的に向き合い始めたのです。その時に脳が欲するものではなく、腸が欲するものを食べなくては、と思いたち、以来、意識的に発酵食品を摂るようになりました。筋トレも始めました。僕は現在、超健康マニアなのですが、思えば痛風になったことがきっかけだったかもしれません。幸い痛風は治療してすぐに治りました(健康のためなら死ねるくらいですw)。

そこからずっと、現在も会食はほぼ365日入っています。ただ自分でお店を選べる際は、基本的には発酵食品や野菜を摂れる和食にしています。コース料理もいいけれど、なるべくアラカルトにして食べすぎないように。会食の相手も「アラカルトは嬉しい」とおっしゃる方が増えてきました(そもそも“おまかせ”したくない)。

脳は腸がつくる大地の一器官にすぎない

桐村里紗さんという医師の著書『腸と森の「土」を育てる〜微生物が健康にする人と環境〜』のなかには、土壌に暮らす微生物が腸内細菌の起源であり、土を育てるように腸の中を育てることの大切さを説いています。腸は大地であり、脳はそこに生える木のようにその一器官にすぎない。つまり脳よりも腸が身体の根本。だから、先に申し上げたとおり脳ではなく腸が欲するものを食べることが大事だということ(腸は第二の脳、ではなく、脳が腸の手下なんです)。

会食は基本和食だと言いましたが、そもそも和食は食材の数が多い。お惣菜屋さんに行くと、ひじきの煮物やオクラの和え物など、多くのラインナップがありますよね。1週間に食べる品目を欧米と比較したら、日本が126品。欧米はたったの42品だそうです。“おばんざい”を出す店に海外の方をお連れすると食材の多さに大変驚かれます。

江戸時代、味噌や納豆など日本の発酵食品の文化は凄まじく進化しました。5代将軍徳川綱吉の頃には「生類憐みの令」が出て肉が食べられなくなったことも影響しているのかもしれません。箱根の山を越える時に食べるのも、肉ではなくて納豆、味噌、米麹から造った甘酒。そういうもので僕らの先祖はパワーを得ていたんです。日本人が肉食を日常にしてからはまだ歴史が浅いですから、やっぱり僕ら日本人の身体を動かすのは、肉よりも発酵食でできたタンパク質なのかもしれません。

食にこだわり、自分の人生をコントロールすることが理想的です。大事なのはストイックになりすぎないこと。チートデイは絶対に必要です。僕は健康のために「毎日歩くこと」を自分に課していますが、決してストイックではありません。雨の日は歩かないし、気が乗らない時も歩きません。そのくらいのユルさがないと、ものごとは続かない。僕が見る限り、案外、世の中の成功者の方たちも、そのくらいのテキトーさで、何かを達成している気がするんです。完璧主義よりも、振れ幅がある人のほうが長続きしますよね(自分ルールでいきましょ!)。

僕は食に関しても、人生に関しても「ほどほど」を知りません。「美味しい!」と思ったものがあれば、何回も注文します。西麻布の「こんぶや」で揚げた湯葉がまぁトロッと美味しくて、僕は5、6回連続で注文しました。さすがに店主の方に「腹八分がいいですよ」と諭されましたが、好きなものは限界まで食べたいし、仕事でもエンタメでも心が燃え上がるものがあればとことんまで追求したい。

先ほど、健康に気をつけて食事を選んでいると言いましたが、大事なのは「自分の人生としてコントロール」できているかどうか。基本的には気をつけていても、食べたいものを見つけたら、そこは一心不乱に燃え上がるままに味わい尽くしたいのです。自分の意志で判断しているかどうかが大切です。

僕の会社名は「スピーディ」ですが、実は食事においても「スピーディ」が大事だって、こうして話していて気がつきました。僕がある周期で連続で食べたくなるのは、オークラ東京「山里」の天丼や麻布十番「三幸園」の焼肉丼とか、ひとつで完成しているもの。時間をかけてゆっくりいただくのもいいけれど、1品でドン! と完成されているものをかき込んで、すぐに店を出るのが爽快です。

乃木坂の「ステーキハウス ハマ」にはよく行きますが、「肉が食べたくて来たんだから、前菜飛ばしていきなり肉を焼いてほしい!」という僕のわがままにいつも応えてもらっています。とにかくせっかちなのです。高級焼肉店のコースでいちいち食材の説明を聞くのが辛すぎます。はよ肉だして!(前菜や野菜焼から魚介類を経てステーキって、どんな罰なんですか!?)。

肉食よりも和食の発酵食品、と前半に語っておいて、最後は揚げ物やら焼肉丼やらステーキの話になってしまいました。僕の胃袋も気分も、いつもめまぐるしく動いています。でも何度でも言います。結局、大事なのは、自分で選んで食べているか、自分が自分の人生と食をコントロールしているか。今晩も僕は大好きな人たちと会食に出かけます(でも、店を出たら家まで歩きます)。

Editor’s Note|思い立ったが吉日。手術は健康のために

前号で口蓋垂(こうがいすい:通称「のどちんこ」)の一部の切除手術を受けたと話していた福田さん。あれから1ヵ月経ちその成果のほどを聞いてみると。

「口蓋垂がなくなり、気道がすっかり確保され、寝ている時も起きている時も息がしやすくて、いびきも完全になくなりました。ものすごく快適! 術後は本当に痛かったし、食事も食べられない時期があったけれど、こんなに快適になるならもっと早くやればよかった」と。

今度は、視力回復のため取り外し可能な人工水晶体を目に入れる手術も検討しているのだとか。まさに「健康のためなら死ねる!?」福田さん健在です。

TEXT=安井桃子

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