誕生して225年目を迎えた複雑機構、トゥールビヨンの現在とは。

機械式時計の真髄、トゥールビヨン
トゥールビヨンとは、脱進機と調速機をケージに収めて回転させることで重力の影響を均等化し、精度を高める複雑機構。アブラアン‐ルイ・ブレゲが1801年に特許を取得したが、製造が困難であったため、生産数は極めて少なかった。
この幻の機構が脚光を浴びるようになったのは、皮肉なことに機械式時計が廃れつつあった1980年代だった。当時主流のクオーツ式にはない、機械芸術としての魅力を表現するために、動きに特徴があるトゥールビヨンが注目されたのだ。
まずオーデマ ピゲが1986年に世界初となる自動巻き式のトゥールビヨン搭載腕時計を発表。また同年、フランク ミュラーも腕時計に世界初のジャンピングアワー機能つきトゥールビヨンを組みこんだ。そして1989年にはブレゲやブランパンもトゥールビヨンモデルを発表。メカニズムの面白さにより、機械式時計の価値も再評価されていく。
今では人気機構となったトゥールビヨンだが、その後もジャガー・ルクルトが多軸回転させてさらに高精度を追求したり、リシャール・ミルが耐衝撃性能を高めてスポーツウォッチに搭載したりと、進化は続く。高精度機構として生まれ、機械式時計の魅力を語るものとして愛されるトゥールビヨンは、今年が買い時といえるだろう。
1.ブレゲ|クラシック トゥールビヨン シデラル 7255
アニバーサリーを飾るミステリアスな時計
無反射加工のサファイアクリスタルを用いることで、キャリッジが浮かんでいるように表現するミステリー・フライング・トゥールビヨン機構を初採用。この機構のオーソリティらしい高度な技巧を楽しめる。ダイヤルの素材にも凝っており、深みのあるブラックのグラン・フー エナメル アベンチュリンダイヤルは、煌きが美しい。世界限定50本。

2.ジャガー・ルクルト|レベルソ・ハイブリス・アーティスティカ キャリバー179ペガサス
工芸の美と機械の美の融合
ペガサスをエングレービングしたレベルソに収まるのは、123個の部品で構成されるジャイロトゥールビヨン。16秒で360°回転するインナーケージを、さらに1分かけて回転させることで、あらゆる方向からの重力の影響を平均化させる。これだけの複雑機構を搭載しつつ、裏面にも第2時間帯表示を組みこむ技術は驚異的だ。世界限定5本。

3.オーデマ ピゲ|ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン
アイコンの中で回転する美学
ケースやブレスレットに、アイコニックな“ナイトブルー、クラウド 50”のカラーセラミックを取り入れ、ダイヤルにあしらわれたグランドタペストリー模様も同色に。その6時位置にトゥールビヨンが収まるが、完成したデザインコードを崩さないために、キャリッジを下側からのみ支えるフライング トゥールビヨンを採用。美と技の融合を楽しみたい。

4.リシャール・ミル|RM 27-05 フライング トゥールビヨン ラファエル・ナダル
すべてを極めると、ここに到達する
わずか11.5gという世界最軽量のトゥールビヨンウォッチ。ケース厚は7.2mmという薄型設計ながら、特殊な構造によって14,000Gという驚異的な耐衝撃性を実現し、テニスプレイヤー、ラファエル・ナダルのラストマッチでも着用された。軽くて薄くてタフで、しかもトゥールビヨンで精度も高めており、日常使いの時計の最高峰といえる。世界限定80本。

5.フランク ミュラー|グランド カーベックス ギガ トゥールビヨン
トゥールビヨン表現の新たな形
直径約20mmという巨大なテンワを持つトゥールビヨンで、毎時18,000振動というゆっくりしたリズムで動かすことで慣性モーメントを増やし、精度を安定させる。その優雅な動きも楽しみたい。大型の動力ゼンマイを4つ搭載することで、連続駆動時間は約100時間を実現し、シンメトリー配置のメカニズムも端正で美しい。

6.ブランパン|カルーセル ミニッツリピーター フライバック クロノグラフ
動きと音を楽しむ超複雑系
6時位置に収まるのは「カルーセル」。役割はトゥールビヨンと同じだが、動力伝達の仕組みや構造が異なる機構で、ブランパンではキャリッジを下からのみ支えることで動きをアピールする。さらにフライバッククロノグラフやミニッツリピーターなどの複雑機構を搭載しており、精密なメカニズムをスケルトンダイヤルから鑑賞できる。


