美食を探求する四兄弟・秋元康、小山薫堂、中田英寿、見城徹が選ぶ、最強のレストランガイド「ゲーテイスト2026」。未知なる美食があると聞けば、どんなに多忙であっても足を運ぶ「心躍る美食旅」から、今回は静岡・焼津の「温石(おんじゃく)」を紹介する。

見城「『温石』の料理を食べずして日本料理は語れないと思います」
焼津の生まれ、焼津育ちの杉山乃互(だいご)氏は、高校時代から自主的に「サスエ前田魚店」で魚の水洗いを手伝い、卒業と同時に父親の修業先だった目白の名店『和幸』(現在閉店)で経験を積んだ。24歳から父と厨房に立っていたが2019年に店を受け継ぎ、店主として独自の料理をつくっている。
見城 毎年静岡県のお店を挙げていますが、それはひとえに焼津の「サスエ前田魚店」の前田(尚毅)さんがいるから。地元を盛り上げるべく、漁師さんとも連携して駿河湾の魚を最高に美味しく食べるための“手当て”を施し、才能ある地元の料理人たちを鼓舞し、切磋琢磨させて一大グルメ県にしています。
中田 見城さんが今年は静岡のどこを挙げるのか、僕も楽しみにしています。
見城 では、今年は『温石』を。ジャンルは違いますが天ぷら『成生』に並ぶ感動があります。
小山 評判はよく耳にします。
見城 ナポリを見てから死ねじゃないですけど、日本料理の味を語るなら『温石』に一回行って美味しさの原理を体感してほしい。杉山さんは素材の旨みだけをどうやって引きだすのかということを常に考え、仕事に向き合っています。
小山 写真を拝見しましたが、謙虚な雰囲気で修行僧のよう。まだお若いんですね。
見城 40歳くらい。お父さんの店を受け継いだんです。
秋元 まさに焼津の未来ですね。
見城 お祖父さんはお蕎麦屋さんという料理一家。お父さんが茶懐石に傾倒してこの風情のある店も設計からこだわって建てたそうです。離れには茶室もあります。
中田 では最後にお茶室でお抹茶という流れに?
見城 いや、それはやっていない。料理店としてひたすらに美味しさを追求しています。ただ茶道の経験が人をもてなすという心を育ててくれたと。だから仕事の所作が凛と美しいです。そして料理も美しい。魚でも、野菜でもその真の味に焦点を当てるべく、無駄なものを削ぎ落としてシンプルに仕立てています。でも、その味わいは深い。心が洗われるような料理。ぜひ行っていただきたいです。
温石/Onjaku
ガラリ戸を開けて店内の玄関に入るが、そのまま庭に出るドアから風情ある庭へ出て建物の裏手にある入口から席入りする。そのイントロダクションが料理への期待をさらに高めてくれる。
住所:静岡県焼津市本町6-14-12
TEL:054-626-2587
営業時間:12:30〜、18:30〜 ※完全予約制
定休日:日曜
座席数:9席
料金:¥25,300〜
Instagram:@daigonjaku
この記事はGOETHE 2026年10月号「総力特集:レストランなくして人生なし ゲーテイスト2026」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら






