怪我のために無念の代表離脱、同時に自身の代表引退も表明した遠藤航。著書『STEP-夢を叶える33のブースター-』(SYNCHRONOUS BOOKS)より一部抜粋。

一歩目に注力する
6月。千葉県の幕張にあるJFA夢フィールドのミーティングルーム。集まった日本代表メンバーの前で「このチームでどうやったらワールドカップ優勝ができるかを考えて行動してほしい」と話した。
「ワールドカップ優勝」という言葉を使うのは、キャプテンになって最初のタイミングでなければ意味がない。そう考えていた。
さらに言えば、キャプテンになって最初に話すことこそが「日本代表キャプテン・遠藤航が果たすべき仕事のすべてである」とさえ思っていた。
ミーティング前に改めて今回選ばれたメンバーの顔を思い浮かべた。
シュミット・ダニエル、中村航輔、大迫敬介、谷口彰悟、板倉滉、森下龍矢、伊藤洋輝、瀬古歩夢、菅原由勢、伊東純也、浅野拓磨、古橋亨梧、守田英正、川辺駿、鎌田大地、相馬勇紀、三笘薫、前田大然、旗手怜央、堂安律、上田綺世、川村拓夢、中村敬斗、久保建英、川﨑颯太。総勢26人の中で、カタール・ワールドカップを経験したメンバーは15人。
彼らは「ワールドカップ優勝」という目標に対して「目線」が揃うはずだ。一方、全く真逆の初選出は3人。彼らにとっては現実味や実感が湧きづらいだろう、と想像した。でも、そういう「目線」の中でこれから4年間、チームとしてやっていかなければいけない。そういう思いも込めたつもりだった。
結果的に「ワールドカップ優勝」はいい目標だったと思っている。
メンバーに選ばれた選手たちは常に「ワールドカップ優勝」を判断基準にプレーを振り返り、結果を出そうとしてくれた。森保さんやコーチ陣も「世界一」を目指していることを繰り返し口にしてくれた。日本に住む知人に聞くと、それはメディアやサポーターの間でも共通認識になりつつあると聞く。
この目標への評価は、北中米ワールドカップが終わったあとにわかる。結果が出れば良かったと言えるし、そうでなければ何かが間違っていたのだろう。それは結果でしか語れない部分だ。
ちなみにキャプテンになったからこの目標を設定したわけではない。「夢」の実現のためにはそれを叶えるチームの中で同じ「目線」を共有することが欠かせない。
最近は社会一般的に「個」を尊重したあり方が重視されるし、そういう風潮があるけれど「個」を尊重しながらチームで働く、戦う、協働するほうが夢を成し遂げる確率は上がるはずだ。どんなことも自分ひとりでできることは多くない。だから、キャプテンじゃなければ、自ら口にすることはなかったと思うけど、違った形でそのアプローチをとったと思う。

