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2023.02.18

【デュエル王・遠藤航】「立場」に縛られてはダメ! 「求められること」と「必要なこと」を見誤ったら、うまくいかない

ドイツで伝説と呼ばれ、2年連続「デュエル勝利数1位」、遅いタイミングでの海外移籍など「不可能」だと思われたことをことごとく覆してきた、サッカー日本代表・遠藤航。なぜ彼はこれまで不可能だと思ったことを可能にできたのか。正解を作らず【最適解】を探してきたその哲学とは。2022年11月に上梓した『DUEL 世界で勝つために「最適解」を探し続けろ 』より一部抜粋してお届けする。【最適解】最も適した答え。現状から最適と考えられる解答(『大辞林』より)。第4回。#1 #2 #3

プロサッカー選手・遠藤航

大事なことは、「約束を守る」ことではなく、「チームを勝利に導く」こと!

ちょうどいまから4年前、僕はロシアワールドカップのメンバーに選んでもらいました。サッカー選手ならば誰もが憧れるその大会の一員になれる、日本代表のユニフォームを着られる……とてもうれしかったことを覚えています。

当時の僕は「当落線上」の選手でした。

選ばれるか、選ばれないかわからない。チーム編成によっては外されてもおかしくない。つまり、「絶対に日本代表に必要な選手」ではなかったのです。

そして僕にとっても「新たな決意」をした遠征でもありました。

ハリルホジッチ監督就任以降、10試合に出場していましたが、僕の立場はずっと「当落線上の選手」だったと思います。常にアピールをし続けないと外されてしまう。その危機感が僕の背中を押し続け、力になっていました。

しかし、この欧州遠征を前に「当落線上でいる危機感」をベースにプレーしていてはだめなのではないかと、考え始めます。

大きなきっかけは遠征前に行われたハイチ戦を振り返ったことでした。

アンカーとして先発フル出場したこの試合は、前半17分までに2点を先制していながら追いつかれ、後半の78分には3点目を喫して逆転されてしまいました。アディショナルタイムに追いつくことはできましたが、アンカーとして「守備」面の3失点はお世辞にもいい出来とは言えません。「攻撃」においてチームは3得点をしているわけですから、勝たなければいけなかった……。

改善すべき点、手ごたえがあった点をそれぞれ整理しているとき、アレっと思いました。

これって、レギュラーの選手だったら同じことを思うのだろうか?と。

もしかすると、「当落線上の選手」だと考えているから出てくる発想なのではないか?

「当落線上の危機感」を持ってプレーするときと、レギュラーとしてプレーをするときとでは、試合における選択肢が変わっている

そう思いました。

例えばハイチ戦の僕は、「危機感」が強すぎて、「チームの方針ややり方を徹底していく」「求められていることができる」といった、アピールが判断基準になっていました。

チームが勝利を目指すとき、試合展開によっては「指示とは違ったとしても、こっちの選択をしたほうがいい」と判断し、それにチャレンジすることが求められます。

けれどこのときの僕は、そういう積極的な判断に対して尻込みしていました。

レギュラーとして出ている選手のプレーを思い返すと、試合状況に応じたプレーが自然とできていました。特に、ボランチといった中盤の選手は試合状況を読むことが何より求められます。日本代表のピッチに目を向ければ、第一線で活躍し続ける長谷部(誠)さんが、随所にそういうプレーを見せているのです。僕自身、所属する浦和レッズでも、17歳でデビューさせてもらった湘南ベルマーレでも、そういう「自分で考える」プレーをして評価をしてもらっていたはずでした。

レギュラーの選手との差をはっきりと認識した瞬間でした。

このときの僕は「危機感」に逃げていたのかもしれません。

ギリギリの立場でいることで、モチベーションを保ちながら、監督の言うことをしっかり遂行することで認めてもらおうと、ある意味で独りよがりになっていたのだろうと思います。

サッカー選手がピッチに立つ以上、求められることは「約束を守る」ことではなく、「チームを勝利に導く」ことです。そのために下した判断にはもっと自信を持つべきでした。

以来、「当落線上という立場に関係なく、代表として、勝つために当たり前のプレーをする」ことを心掛けました。

ロシアワールドカップ前にハリルホジッチ監督は解任されましたが、その後の西野監督にメンバーとして選んでもらったのは書いたとおりです。ただ、当時の「当落線上」と、選ばれたときの「当落線上」では、明らかに心構えが変わっていました。

ワールドカップで試合に出られるかはわかりませんでしたが、チームが勝つためにピッチ内でも、ピッチ外でも自信を持ってふるまう。

いつだってチームのために、というベースが確固たるものとなり始めた瞬間です。

どんな人であれ、どんなチームであれ「立場」や「役割」は必ず存在します。それを与えられることによって「言われたことをやろう」と、アクションにフォーカスできます。

ただそのとき、「立場」に縛られてはいけないと思います。特に成長を願うのであれば、置かれた立場の中で求められていることと、本当に必要なことをしっかりと判断しなければ、逆に成長を止めてしまう可能性があるのです。

プロサッカー選手・遠藤航の書籍『DUEL 世界で勝つために「最適解」を探し続けろ 』

『DUEL 世界で勝つために「最適解」を探し続けろ 』
¥1,650/日本ビジネスプレス
4年前のワールドカップで「1分」も試合に出ることができずロシアを去った男は、たった4年間で日本代表に欠かせない、そしてドイツでナンバー1の男へと大成長を遂げた。果たしてそこにあった秘密とは? なぜ遠藤航はこれまで不可能だと思ったことを可能にできたのか。正解を作らず「最適解」を探してきたその哲学と、遠藤が選び、決断したことを赤裸々に告白する。

遠藤航/Wataru Endo
1993年2月9日神奈川県生まれ。中学3年時に湘南ベルマーレユースからオファーを受け、神奈川県立金井高校進学と同時に湘南ベルマーレユースに入団。2010年、湘南ベルマーレに2種登録選手として登録され、Jリーグデビューを果たすと2011年よりトップチームに昇格。主力選手として活躍し、19歳でキャプテンも務める。2015年に浦和レッズに完全移籍。2017年にはAFCチャンピオンズリーグで優勝し、初の国際タイトルを獲得した。また、2015年には日本代表に初選出され、2018年のロシアワールドカップでメンバー入り。同年ベルギーのシント=トロイデンVVへ完全移籍。2019年8月にVfBシュツットガルトへ期限付き移籍。主軸として1部昇格に貢献、2020年4月に完全移籍となる。20-21、21-22シーズンと連続でブンデスリーガ1位のデュエル勝利数を記録。21-22シーズンからはキャプテンを務めるなどチームの中心として活躍。日本代表としても不動のボランチとしてカタールワールドカップアジア最終予選を戦った。日本代表は44試合に出場、2得点。ブンデス1部は75試合8得点(2022年10月8日現在)。
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TEXT=ゲーテ編集部

PHOTOGRAPH=AP/アフロ

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