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2022.11.22

日本代表・森保監督が、ポーカーフェイスでいる理由【独占インタビュー】

森保一監督へのインタビューの前編では、主に選手とのコミュニケーション術とワールドカップでの想定する戦い方について話を聞いた。後編では「指揮官」「リーダー」として、森保監督がどのような思いで日々を過ごしているのかに、フォーカスを当てる。インタビュアーは引き続き、GOETHEの前編集長で、長谷部誠選手の『心を整える。(156万部発行)』や中村俊輔氏、内田篤人氏などの書籍でベストセラーを送り出してきた二本柳陵介が務める。

森保監督独占インタビュー

言動の原理原則は、日本サッカーの発展のため

二本柳 森保監督は今、日本代表で個性的なメンバーをまとめておられますが、どんなリーダーでありたいと思っていますか?

森保 まとめているんですかね。自由にやってもらっていますけど(笑)。もちろん、チームのルールや規律といった枠は持ちながらも、そのなかで少しでも個々のパーソナリティを生かしたチーム作りをしたいと思っています。選手個々が持つよさを存分に発揮してもらいたいなと。どういうリーダーか……ひと言で言うと、みんなで頑張ろう、という雰囲気を作りだしたいと思っています。監督なので、方向性を示したり、いろいろな決断を下す必要はありますが、まったく余白のない状態ではなく、余白を持ちながら。これをやれ、あれをやれとがんじがらめにするようなチーム作りはしたくないですね。

二本柳 森保監督と現役時代からの盟友で、サンフレッチェ広島での指揮官時代にも右腕を務めた横内昭展コーチによると、「森保監督は頑固」とのことです。

森保 頑固ですか? どうですかね(苦笑)。

森保一監督

二本柳 頑固というと言葉が悪いですが、芯が強いというか、ポリシーがしっかりあるというか。

森保 そうですね……代表監督をやるうえで絶対に揺るがないポリシーはありますね。言動の原理原則は、日本代表の勝利と日本サッカーの発展のため、ということ。物事を判断する時、決断する時の決め手は、すべてそこをベースに考えています。

二本柳 広島時代にコーチとして支えたミシャさん(ミハイロ・ペトロヴィッチ現北海道コンサドーレ札幌監督)から受けた影響は大きいと思いますが、これまでどんな監督の影響を受けてきたんですか?

森保 たくさんいますよ。歴代の監督さんのいいとこ取りじゃないですかね。例えば、(ハンス)オフトさん(元日本代表監督)だったら、規律がすごく厳しくて、練習もとにかくハードなんですよ。練習が終わって、ぶっ倒れていたこともありますけど、いつも楽しいんですよね。どんなに厳しく苦しいことがあっても、みんなが楽しむことを忘れないから、チームの雰囲気がいいし、充実してトレーニングに励めるんだろうなと。

それから、時代はだいぶ変わりましたが、(スチュアート)バクスターさん(元サンフレッチェ広島監督)の守備の構築やバランスの取り方は現代のサッカーでも生かせると思っていますし、逆に(ビム)ヤンセンさん(元サンフレッチェ広島監督)は1対1をすごく重視していた。当時はどうして組織的に戦わないんだろう、と思いましたが、あとになって、日本人は1対1の局面で勝つ力をつけるべきだ、というメッセージだったんだなと。ミシャさんからは、主体的にボールを動かし、試合をコントロールすることの大切さを学びました。たいていの監督は、守備からチーム作りを始めるんですよ。でも、ミシャさんはマイボールからチーム作りを始める。「日本人には、技術はあるだろう。もっと自信を持って、自分たちからアクションを起こせ」と言われて、その考えは自分に足りないものだなと。それからは、「ボールを持っているほうが有利なんだ。それがサッカーだ」と思えるようになりました。あと……長くなってしまいますが、いいですか(笑)。

二本柳 ぜひ、聞かせてください。

森保監督が分析するベルギー戦敗退の理由

森保 日本代表においても、ワールドカップに6大会連続出場するなかで、歴代の監督がその時々で大事なことを作り上げてくださって今がある。過去にベスト16に進出したのは3大会あります。ざっくりと言えば、2002年日韓大会の(フィリップ)トルシエさんは、日本人の組織力は世界でも通用することを示してくださった。'10年南アフリカ大会の岡田(武史)さんは、守備をしっかり整備された。それまではサイドの攻防でやられることが多かったのですが、4-5-1という形にしてサイドをケアし、いい守備からいい攻撃を繰りだしていって結果を出した。'18年ロシア大会では西野(朗)さんが攻撃でもボールを握れるだろう、という考えで攻守ともにアグレッシブに主体的に戦った。それらは今の代表チームに取り入れさせてもらっています。いいとこ取りをしながら、さらにブラッシュアップし、足りないものも加えてきたつもりです。

二本柳 そのロシア大会ではラウンド16のベルギー戦で後半7分に2点のリードを奪ったものの、逆転負けを喫しました。この大会で森保監督はコーチとしてベンチにいらっしゃいましたが、ベルギー戦からどんなことを学びましたか?

森保 たくさんありますが、ひとつ挙げると、あの試合では2-0となった時点までのポゼッション率がほぼ互角だったんですよ。ところが、2点のリードを奪ってから日本はパスがつながらなくなってしまった。相手にボールを渡すということは、守備の時間が長くなるということ。リードしているチームがある程度受け身になるのは、サッカーでは自然なことですが、ボール支配率がガクッと落ちてしまって守備だけをしなければならなくなった。リアクションが多くなると疲弊する。疲れてくれば、それだけ相手のチャンスが増えるわけで、逆転されてしまった。だから、ボールを握ってマイボールを大切にしながら、速攻できる場面では速攻を仕掛け、遅攻すべき時は遅攻する。主体的に試合をコントロールしていくことは、チーム作りのテーマにしてきました。

二本柳 日本サッカー界が積み上げてきた歴史を、チーム作りに反映させてきたわけですね。

森保 それはチーム作りに限ったことではありません。例えば、アジア最終予選では選手の移動距離や移動時間が短くなるように調整するなど、余計なストレスがかからないような環境作りを、過去の経験に基づいてスタッフが進めてくれたので、落ち着いて試合ができました。1勝2敗になった時も、数大会前だったら余裕がなくて、みんながバタバタしていたかもしれません。でも、6大会連続してワールドカップに出場しているので、選手たちは「その歴史を途切れさせるわけにはいかない」という強い気持ちで戦ってくれた。歴史の重さを私自身も感じましたね。

森保監督と二本柳

森保監督と二本柳(右)。二本柳は一度、広島のホテルのエレベーターで一緒になったという。「開けるボタンを押して、先に降ろしてくださって。いい人だ!と感激しました」(二本柳)

二本柳 弊誌『GOETHE』のテーマは「仕事が楽しければ人生も愉しい」なのですが、森保監督は仕事が楽しいですか?

森保 監督の仕事が楽しいかどうかはわからないですが、充実はしています。「楽しい」とも表現できるんですけど、「充実」のほうが合っていると思いますね。誰かを選んだり、選ばなかったりというのは全然楽しくないので(苦笑)。サッカー選手はみんな、サッカーが好きで、プレイすることが楽しくて、やり続けて、選手になる。体力面や実力の限界によって辞めざるを得なくなって、じゃあ次は、どうやってセカンドキャリアでサッカーに携わっていこうか、となった時に、私の場合は指導者として携わらせてもらうことができた。そして今、こんなに誇りが持てて、やり甲斐のある仕事をさせてもらっているので、本当に充実しています。もちろん、勝ちたいですし、日本代表への期待もすごく感じるのでプレッシャーもありますが、ストレスはまったくないんです。

二本柳 先ほど(前編)もワクワクと平常心だと。ストレスや不安がないなんて意外です。

森保 自分たちが今持っている力をぶつけるだけですから。この世界、勝者と敗者は必ず生まれるもの。アジア最終予選の初戦のように、準備不足で力を出し切れずに終わることだけは避けたい。試合が終わった時に選手たちをモヤモヤした気持ちにだけはさせたくない。力を出し切れれば勝てると思っています。出し切ったのに勝てなかったら、仕方ない。そこはまた成果と課題を抽出して、次に向けてポジティブに変換していくだけだと思っています。選手たちには積極的にやってほしいです。

二本柳 ワールドカップを戦い終えたらやりたいことはありますか? 例えば、ハワイあたりでゆっくり過ごしたいとか。

森保 妻のほうが、プレッシャーがかかっていると思うので、ケアしてあげたいですが、僕自身は休みたいとはまったく思ってないですね。次の学びというか、ヨーロッパに行ってインプットしたいです。でも、ひょっとしたら、1月から監督業を再開しているかもしれません。監督はジプシーなので、2ヵ月後の自分がどこで何をしているのか、まったく想像がつきませんね(笑)。

■前編「【森保一監督】W杯ベスト8は行ける。先発と控えの新たな発想とは」はこちら

 

HUBLOT「ビッグ・バンeブルーヴィクトリー」

HUBLOT「ビッグ・バンeブルー ヴィクトリー」
森保監督がこの撮影でも、そしてワールドカップ本番でも腕に巻くのが、HUBLOTのビッグ・バンだ。「ウブロと言えば、斬新さと重厚感が共存しているという印象ですが、それがコネクテッドウォッチであっても表現されていると思います。現代的な腕時計ですよね。とてもつけやすいですし、つけた瞬間に背筋が伸びる感覚があります」(森保監督)

HUBLOT「ビッグ・バンeブルーヴィクトリー」

文字盤、ケース、ストラップにはチームカラーであるSAMURAI BLUEからインスパイアされたブルーを使用。ムーブメントの代わりにQualcomm® Snapdragon Wear™ 4100と、最新版Wear OS by Google™ (Wear OS 3)を採用。さらに、加速度センサー、ジャイロスコープ、マイク、スピーカー、GPS、心拍数モニターなども装備。ダークブルーセラミックケース。日本限定150本。ケース径44㎜。¥792,000

HUBLOT「ビッグ・バンeブルー ヴィクトリー」の公式ウェブサイトはこちら

問い合わせ
ウブロ TEL:03-5635-7055

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COMPOSITION=飯尾篤史

PHOTOGRAPH=青木 大(A.K.A.)

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