PERSON

2023.02.17

【4児の父・遠藤航】仕事でも家庭でも、正解ではなく「最適解」を探す! その真意とは?

ドイツで伝説と呼ばれ、2年連続「デュエル勝利数1位」、遅いタイミングでの海外移籍など「不可能」だと思われたことをことごとく覆してきた、サッカー日本代表・遠藤航。なぜ彼はこれまで不可能だと思ったことを可能にできたのか。正解を作らず【最適解】を探してきたその哲学とは。2022年11月に上梓した『DUEL 世界で勝つために「最適解」を探し続けろ 』より一部抜粋してお届けする。【最適解】最も適した答え。現状から最適と考えられる解答(『大辞林』より)。第3回。#1 #2

プロサッカー選手・遠藤航

父親になって知った父親の偉大さ

29歳のいま、僕は6人家族で過ごしています。

長男は小学4年生、長女が小学1年生、次男が6歳、末っ子が3歳で男の子です。妻はサッカー部のマネージャーをしていた同級生。

若くして、夫と父親になったわけですが、その立場はこれまでまったく想像していないものでした。「当たり前」にあると思っていたものは、例えば自分の父親、母親によって準備されていた、用意してもらっていた、ということを知るのです。

結婚をして最初にびっくりしたのが、家探しでした。当時はまだ19歳。サッカー選手として「仕事」をしていたとはいえ、契約の段階になって「書類」の多さ、確認事項の複雑さに衝撃を受けました。

そして、この類のことは普通に生活していると頻繁にあることに気付きます。水道や電気を利用しようと思えば契約が必要だし、毎日元気に生活しようと思えば食事は自分たちで作らなければいけない、洗濯も掃除もなんだってそうです。
──これ、全部を両親がやってくれていたのか。

それまで感じたことのない家族への感謝の思いがグッと深まり、そのすごさ、ありがたさを身をもって知りました。

そもそも「知らない」ことが世の中にはたくさんある。

そのことがわかると、自分の身近な景色、これまで気に留めなかった日々の風景がまったく違ったものに見えてきます。

僕は「常に学び続ける」という言葉が好きなのですが、そうやって知らないものを知れること、学ぶことはとても有意義でした。それらは、自分の考えに合うもの、合わないもの、さまざまありましたが、どれもが「知っていて損はなかった」。

知らないことがたくさんあること。

知ってみると自分に合うもの、合わないものがあること。

どちらであっても知ることに損はなかったこと。

やっぱり「正解はない」をスタートにすることがとても大事だと思えました。

そうして正解ではなく「最適解」を探そう──。

漠然とですが、何事にもそう考えて臨むようになりました。

当時よりもっと多くの経験をしてきたいまは、その解像度がより高くなり、はっきりと「日々の中で複数の選択肢を持つ準備をする。その時々で、状況に応じてもっともふさわしい答えを選ぼう」と考えられるようになっています。

プロサッカー選手・遠藤航の書籍『DUEL 世界で勝つために「最適解」を探し続けろ 』

『DUEL 世界で勝つために「最適解」を探し続けろ 』
¥1,650/日本ビジネスプレス
4年前のワールドカップで「1分」も試合に出ることができずロシアを去った男は、たった4年間で日本代表に欠かせない、そしてドイツでナンバー1の男へと大成長を遂げた。果たしてそこにあった秘密とは? なぜ遠藤航はこれまで不可能だと思ったことを可能にできたのか。正解を作らず「最適解」を探してきたその哲学と、遠藤が選び、決断したことを赤裸々に告白する。

遠藤航/Wataru Endo
1993年2月9日神奈川県生まれ。中学3年時に湘南ベルマーレユースからオファーを受け、神奈川県立金井高校進学と同時に湘南ベルマーレユースに入団。2010年、湘南ベルマーレに2種登録選手として登録され、Jリーグデビューを果たすと2011年よりトップチームに昇格。主力選手として活躍し、19歳でキャプテンも務める。2015年に浦和レッズに完全移籍。2017年にはAFCチャンピオンズリーグで優勝し、初の国際タイトルを獲得した。また、2015年には日本代表に初選出され、2018年のロシアワールドカップでメンバー入り。同年ベルギーのシント=トロイデンVVへ完全移籍。2019年8月にVfBシュツットガルトへ期限付き移籍。主軸として1部昇格に貢献、2020年4月に完全移籍となる。20-21、21-22シーズンと連続でブンデスリーガ1位のデュエル勝利数を記録。21-22シーズンからはキャプテンを務めるなどチームの中心として活躍。日本代表としても不動のボランチとしてカタールワールドカップアジア最終予選を戦った。日本代表は44試合に出場、2得点。ブンデス1部は75試合8得点(2022年10月8日現在)。
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TEXT=ゲーテ編集部

PHOTOGRAPH=徳原隆元/アフロ

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