今回は目を閉じて打つパッティング練習を紹介する。

ミスパットはボールを見ていなかったからではない
「今のパットはヘッドアップしてましたね。しっかりボールを見たほうがいいですよ」
パットを外したとき、同伴者からこのようなアドバイスを受けたことがあるかもしれない。逆に、自分が同じ言葉を友人などの同伴競技者にかけたことがあるかもしれない。
確かに、ボールの位置や状況を確認するのは大切だが、「よく見れば入る」わけではない。むしろ、ボールを凝視しすぎることで体が固まり、余計な力が入ってストロークが乱れるケースも少なくない。
ボールを見る意識が強すぎることで、パッティングを難しくしてしまっている可能性があるのだ。
PGAツアーで活躍するジョーダン・スピースや、米シニアツアーで活躍するポール・ブロードハーストなどは、ボールを見ずにカップ方向を見ながらパッティングをすることがある。
彼らのパッティングスタイルから、適切なストロークさえできていれば、ボールを見ているかどうかはパッティングの成否にはあまり関係がないと言えるだろう。アマチュアゴルファーはボールに意識を集中するよりも、思い切って「見ない」ほうが、ストローク自体は良くなるかもしれない。
目をつぶることでストロークの質が変わる
いきなりラウンドで「目をつぶってパットをしてみよう」と言われても不安になると思うので、まずは目を閉じた状態でパッティング練習をしてみてほしい。いつも通りアドレスをして、目を閉じてそのままストロークするだけのシンプルな練習だ。
この練習の最大のメリットは、「ボールを打ちにいく意識」が消えることだ。目を閉じているとボールが見えないので、手先でボールを打ちに行く「点のインパクト」が改善し、一定のリズムで適切なストローク軌道を描けるようになる。
この練習を行ってみると、目をつぶっていても、問題なくボールを打てることがわかるはずだ。
この目を閉じた状態のストロークを体感することで、軌道の中でボールをとらえる「ゾーンインパクト」のフィーリングが理解でき、身につけることができるようになる。
また目を閉じることで、その他の感覚が研ぎ澄まされるので、グリップの強さや、腕や肩の動き、体の回転など、これまで気にしていなかった部分に意識が向くようになる。自分の感覚を頼りに、適切なストロークをするために必要なフィーリングを見つけてみるといいだろう。
タッチの練習として、目をつぶりながらボールを転がし、ボールが止まったら目を開けてどの程度転がったのかを確認する練習もお薦めだ。
振り幅やインパクトの強さを感じながら、ボールの転がった距離を確認することで、ストロークの感覚と距離感のギャップが埋まり、タッチが磨かれていく。
そして、練習を重ねれば、「ボールを凝視しなくても打てる」という自信が生まれるだろう。ボールをぼんやりと見る程度で良いとわかれば、力みが抜け、ストロークに安定感が出てくる。
「目をつぶって打つ」という練習は、一見突飛に思えるかもしれないが、パッティングでは視覚に頼らなくても良いストロークが可能だ。ぜひ一度、目をつぶってのパッティング練習に挑戦してみてほしい。きっと、これまでとは違った手ごたえを感じられるはずだ。
目を閉じて打つパッティング練習の動画解説はコチラ
◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。