せっかくグリーン近くまで行ったのに、そこからダフったりトップしたりして、グリーン周りをうろうろする羽目になったことはないだろうか。今回は短い距離でソフトにボールを上げるアプローチショットの打ち方を解説する。
![吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン/短い距離でソフトにボールを上げるアプローチショットの打ち方](https://goetheweb.jp/uploads/2025/02/yoshidagolf335-1200x800.jpg)
ボールを飛ばさずに上げるアプローチは難易度が高い
ゴルフではピンに近づくほどやさしくなると思いがちだが、そうとも限らない。グリーン近くにボールを運び、ひと息ついたものの、そこからトップやダフリをして大怪我をした経験はないだろうか。
ピンまで平坦であればボールを転がすことができるのでミスは出にくい。しかし、ショートサイドと呼ばれるグリーン面が短いエリアへのアプローチや、傾斜や起伏がある状況だとボールを上げなければいけないので注意が必要になる。
そのような状況で役に立つのが、ボールを飛ばさずに高く上げるアプローチショットだ。
短い距離に限らず、ボールを上げるアプローチでは、ボールを上げようとしてすくい打ちになりやすく、ダフリやトップになりやすい。
ボールを上げるアプローチが難しい理由として、開いたフェース面にボールを乗せる技術が必要になることが挙げられる。
加えて、短い距離では、ボールを飛ばないようにするために振り幅が小さくなり、ヘッドスピードが出しづらい。そうすると、クラブヘッドを加速させながらボールを打つことが難しくなり、インパクトが緩んでミスが出やすくなる。
長い距離のロブショットが打てる人でも、短い距離でボールをソフトに上げることは難しいのだ。
フェースを開きグリップエンドを支点に振る
今回は短い距離でソフトにボールを上げるアプローチショットの打ち方を解説しよう。
ボールを飛ばさずにふわりと上げるためには、セットアップと振り方の2つに気をつける必要がある。
まずアドレスではボールの位置を左かかと線上にセットし、リーディングエッジが右を向くくらいクラブフェースを開く。
フェースを開く際に、スクエアにクラブを握った後に、腕をねじってフェースを開く人を見かけることがある。そのようなセットアップはミスにつながりやすいので、あらかじめクラブフェースを開いた状態でグリップするようにしてほしい。
リーディングエッジが右を向いているので、ボールが右に飛びそうな気がするかもしれないが、ボールはクラブを振った方向に飛んでいくので心配はいらない。
そして、スイングは飛びすぎないように腰の高さくらいの振り幅に抑える。グリップエンドを支点とした振り子運動をイメージして、グリップエンドの向きに気をつけながらスイングをしてほしい。
スイング中のグリップエンドは、バックスイングで目標方向を向き、インパクトでは上を向いて、フォロースルーでは目標と反対方向を向くようにする。
インパクトで手元が目標方向に移動すると、グリップエンドが方向転換できず、シャンクの原因になるので注意が必要だ。
そして、インパクトゾーンではクラブの裏面にあるバウンスを芝の上で滑らせるようにしてほしい。ボールをリーディングエッジでクリーンにとらえようとする必要はなく、バウンスを滑らせながら、フェースにボールを乗せるイメージを持つといいだろう。
この打ち方では、基本的にボールを上げるためにオープンに立ったり、カットに打つ必要はない。
スクエアに構えて打てるようになってから、オープンスタンスにしたり、カットに打つなど、工夫をしてバリエーションを増やすのはいいだろう。
バンカーショットやロブショットにもつながるテクニックなので、小さい振り幅でコツをつかんでほしい。
グリーン周りでは、ボールを上げなければピンに寄らない状況がある。今回のスキルをマスターすれば、ピンチをチャンスに変えることもできるようになるだろう。
決してやさしくはないが、基本的な技術を身につけたうえで練習を繰り返すことで実践でも使えるようになるので、遊び感覚で試しながら練習をしてみてほしい。
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◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。