GOLF

2024.12.28

PGA最強プロに学ぶ。パットが安定しないゴルファーのための、一時ストップドリルとは

今回はパッティングが安定しないアマチュアにおすすめしたい、スコッティ・シェフラーが取り組むパッティング練習法を紹介する。

吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン/シェフラーが取り組む一時ストップドリル

パッティングで試行錯誤するシェフラー

現在、PGAツアーで最強の選手といえば、スコッティ・シェフラーだろう。

2024年シーズンのシェフラーはマスターズ、パリ五輪、プレーオフ最終戦のツアー選手権など、年間9勝を挙げて圧倒的な強さを見せた。そして、年間最優秀選手のジャック・ニクラウス賞を3年連続受賞して1年を締めくくった。

シェフラーのスタッツを見てみると、平均ストロークやパーブレーク率、平均バーディー数など主要部門で1位を記録している。

加えて、ティーショットやグリーンを狙う際のショットのストロークス・ゲインド(選手の平均に対して何打貢献しているかを示す指標データ)は、多くの部門で1位や上位を記録していた。

向かうところ敵なしのシェフラーの弱点を敢えて挙げるとすれば、パッティングだろう。今シーズンのストロークス・ゲインド・パッティングのスタッツは77位で、ショットのスタッツに比べると見劣りする。

2023年の同部門のスタッツは2024年よりも悪い162位だったことを考えると、2024年はかなり改善したといえるが、その原因の一つにパッティングコーチにフィル・ケニオンに指導を仰いだことがある。

その成果が出て2024年は格段にパッティングのスタッツが向上し、ケニオンのコーチとしての株も一段と上がった。

シェフラーは2024年最後の大会、ヒーローワールドチャレンジで新たにクローグリップを採用してパッティングをしていた。

クローグリップとは右手でパターを握らずに、指先を添えるだけのグリップのことで、右手の使い過ぎを防止したり、フォロースルーでヘッドがスムーズに動くのを助けてくれる効果がある。

シェフラーは短いパットではクローグリップにし、長いパットでは今までどおりに握っていた。しかし、約3m以内のストロークス・ゲインド・パッティングが139位とあまり得意ではないということもあり、ショートパットのストロークを改善するための対策と思われる。

来シーズンに向けて試行錯誤している段階だと思うが、2025年シーズンはどのようなパッティングスタイルになるのか楽しみだ。

切り返しで止まり、体の動きを意識する

PGAツアー会場でシェフラーがケニオンから指導を受けているとき、面白い練習ドリルに取り組んでいたので紹介しよう。

シェフラーが取り組んでいたのは、2mくらいの距離から、バックストロークの頂点に来たところで2秒ほど静止し、そこから動きを再スタートしてボールを打つという「一時停止ドリル」だ。

通常のパッティングではバックスイングからフォロースルーまで一連の動作で行うが、切り返しでは体の回転方向やヘッドの動きが反対に方向転換する。

この方向転換の際に、体を動かすタイミングがずれたり、手先を使ってボールを打ちにいく動きが出やすい。そのため、切り返しでいったん止まって、ダウンスイングからフォロースルーの体の動きに意識を集中させて練習をしているというわけだ。

実際にこの練習を行ってみるとわかるが、バックストロークで静止すると、そこから手先でボールを打つことは難しい。

すでに体がバックストロークで回転している状態なので、インパクトに向けて体を元の位置に戻すように体を回転させて打つほうが自然に感じる。

手だけで打つのは違和感があるので手打ち防止になるうえに、体幹や胸郭など体全体を使ってパターを動かすことを意識しやすくなる。

パッティングが安定しないという人は、切り返しで手先を使っているのかもしれない。そう感じたらシェフラーが取り組んでいる、バックストロークでいったんパターを止める一時停止ドリルに取り組んでみてほしい。

動画解説はコチラ

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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