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2024.09.29

FC町田ゼルビアが結果を出し続ける理由とは。太田宏介が紐解く「黒田剛監督論」【まとめ】

FC町田ゼルビア アンバサダーの太田宏介氏が紐解く「黒田剛監督論」(新刊『勝つ、ではなく、負けない。』[黒田剛著]より一部抜粋)をまとめてお届け! ※2024年9月掲載記事を再編。

太田宏介、黒田剛まとめ

1.J1大躍進のFC町田ゼルビア。太田宏介が語る、黒田監督の“効果的な言語化”の正体とは

現在、J1でも上位をキープするFC町田ゼルビア、率いるのは黒田剛監督。その采配や指導法は多くのメディアで取り上げられているが、間近で見ていた選手の告白は少ない。

太田宏介氏は2022年にチームに加入。2023年シーズンでは黒田監督の側で指導スタイルをあますところなく体験してきた。監督の新刊では初めて手腕の秘密が明らかにされているが、実際はどのようなものだったのか。太田氏が真っ先に挙げたのは黒田監督の”言葉のマジック”だ。

「監督の言語化能力がよく取り上げられていますが、お話や言葉自体が独特で面白いんです」

黒田監督の言葉は選手各自の心に響くものがある。的を射た指摘で一人一人の選手を奮い立たせる。ただし、試合でのミスに対する指摘、とりわけ失点に関連するものは本当に厳しいという。

「ミスに対して本当に厳しく指摘します。ミスや良くないプレーをした選手に『ここでこういうプレーをしては絶対にダメ』と忖度なくはっきりと伝えるのです」

多くのJリーグの監督は主力選手やベテラン、外国人選手に対して言葉を選ぶが、黒田監督はそういった区別をしない。忖度一切なし! だが、逆にそんな一貫した姿勢が若いZ世代など含めた多くの選手の心をガッツリと掴んでいる。

言葉のマネジメント力も素晴らしいが、黒田監督のこの徹底した平等性がいい方向に進んでいる。厳しいものの言い方に当初は戸惑う選手もいたようだが、全選手を平等に扱う姿勢が認識され始めると、選手たちに納得感と共感が生まれていった。

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2.J1町田・太田宏介「黒田剛監督は『教育者』、だから観察力に長けている」

サイドバックは現代サッカーでは要のポジションといえる。

2014年ブラジルワールドカップで優勝したドイツ代表フィリップ・ラーム選手などはその最たる存在だ。チーム全体を俯瞰し、的確なパスを供給し、チャンスと見ればオーバーラップやインナーラップを仕掛けて勝機をつくる。

FC町田ゼルビア(以下、ゼルビア)でサイドバックだった太田宏介氏も、チームをJ2優勝に導いた中心の選手の一人だ。そしてディフェンダーだからこそ、守備重視である黒田剛監督のチームビルディングの本質が見える。そもそも監督はどういったチームを目指しているのだろうか?

「黒田さんの着眼点は、得点より失点です。失点に関与したプレーを徹底的に分析します」

ここに黒田サッカーの本質が隠れている。得点より何より失点を恐れる、クリーンシートで試合を終わらせることを何より重視する。何故だろうか? 安易な失点や「1点くらい取られてもいいや」という気持ちが一気にチームを崩壊に導くことを高校サッカー時代に痛いほど経験しているからだ。あらゆるチームや組織は一瞬で崩壊していくことを黒田は本質的に理解している。同時に「連敗しない」を鉄則にしているのも同じ理由である。

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3.太田宏介が今だから話せる、町田J2優勝に隠された黒田剛監督とのやりとり

現在は黒田監督を人生の師として慕う太田氏だが、2023年開幕前のキャンプで、太田氏が初めて黒田監督と接した際はどんな印象だったのだろうか。そう尋ねてみると、太田氏は、最初に提示された具体的な目標設定が印象的だったと語った。

「2022年シーズンの振り返りで失点シーンの全動画を見せられました。ゴール前の守備の強度が低く、クロスでも中にいる相手選手を捕まえられていない。無駄に後ろから繋いでイージーな失点をしたり、黒田監督からしたら絶対的にNGな失点シーンがあまりにも多かったのです…」

動画を見ながら、黒田監督はこう言った。その言葉が当時は印象に残ったという。

「『2023年シーズンは勝ち点90、失点30以下に減らす』…去年まで全く勝てなかったチームに、いきなりものすごい高いハードル設定をしたんです。新しい選手が増えてチームの半分以上が入れ替わっています。新しいスタッフも入ってくる。そして…高校サッカー出身の監督がやってくる。今までで一番未知なシーズンのスタートでしたね」

しかし、黒田監督の自信と明確な目標設定がチームに指針を与えたという。チームは過去にない大きな変革期に突入したと、誰もが感じた。そして、黒田監督は揺るぎない自信を持って選手やスタッフに接した。目標設定を明確にしたことで、目指す指針が明確となった。太田氏にとっても今も忘れられないキャンプでの最初のミーティングとなった。

しかし、もっと忘れられない言葉が黒田監督の口から飛び出す。

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TEXT=ゲーテ編集部

PHOTOGRAPH=アフロ

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