アスリート、文化人、経営者など各界のトップランナーによる、人生の特別講義を提供するイベント「Climbers（クライマーズ）」。その第8弾が、2025年5月8日、9日の2日間にわたって開催され、ビジネスパーソンを大いに熱狂させた。今回、お笑い芸人のゴルゴ松本さんによる特別講義を一部抜粋して掲載。すべての講義を聴くことができるアーカイブ配信はこちら。※2025年5月12日〜5月30日18時までの無料限定公開。申し込みは画面内下の「無料視聴登録はこちら」より。
故郷の山で見つけた「命」
私には「命」というギャグがあります。この「命」が生まれたのは1997年1月2日、おふくろの誕生日だったんです。お正月に実家に帰り、私は駅のホームにいました。そうしたら田舎の山の稜線に、命という文字が浮かび上がって見えてきた。それで駅のホームで、手を挙げ、足を挙げて、命という字を作ってみたんです。
「命」のギャグは田舎の山から授かったもの。そして、漢字を使ったギャグでもあります。漢字は考古学の分野で約3400〜3500年前に作られたと推察されています。それが中国・漢の時代に辞書としてまとめられたので「漢字」と言われていますが、本来は中国・殷の時代に生まれた「殷字」と呼ばれるべきかもしれません。
というわけで、私のギャグで登場する漢字たちはたいへん歴史あるものなのですが、漢字が現在にも受け継がれているのはすごいことだと感じます。みなさんの名前にも漢字が使われているでしょう。しかも、漢字の一文字一文字の成り立ちに深い意味がある。漢字について詳しく学んでいくと、思わぬ発見があって、いつも驚かされます。
たとえば「木」という文字。木は春夏秋冬、さまざまな季節や風雪を乗り越えて、少しずつ大きく太くなっていきます。そんな「木」の上に、短い線を一本加えると「未」という字になる。未熟、未完成、未来の「未」。木の上の線は、これから先の状態を示すものではないでしょうか。
さて、今度は「木」という字の下の部分に線を引いてみます。「本」という字になります。基本の「本」、手本の「本」、見本の「本」。それから、本家、本山、本部、本社。すべて、物事の根っこを意味するものです。そんな物事の「根本」を伝えるために昔の人たちが記してきたものが「本」なのです。3000年以上前の人がこれを考えたってすごいですよね。
本音を話せる人間になろう
そんな「本」という字を使った熟語に「本音」があります。本音とは、心の中にある本当の思い。その「心」と「音」という字を上下に重ねてみてください。「意」という漢字になるでしょう。自分の心の音を他人に見せていくこと、それが「意見」です。みなさん、自分の心の音を意見として、しっかりと伝えられる人になってください。
では、意見をどうやって伝えればいいか。それは「言葉」です。言葉の「葉」は、「木」から生い茂る「葉」です。大きく太くなった「木」にはたくさんの「葉」が付きます。「葉」は太陽の光をいっぱい浴びて、光合成を行い、酸素を生み出して皆さんを生かしてくれています。そして枯れ葉となって落ちてしまっても、生まれ育った木の栄養となり、未来を支え続けます。自分が意見として発した言葉が、未来の自分への肥料となっていくのです。
未来に迷ったら、木を見て、そして「本」を見てみてください。そうすると、私が「命」というギャグと出会った時のような、新しい発見がきっとあることでしょう。
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2025年5月12日〜5月30日18時までの無料限定公開。申し込みは画面内下の「無料視聴登録はこちら」より。
ゴルゴ松本／Golgo Matsumoto
1967年埼玉県生まれ。高校時代は野球部に所属し、1985年春の甲子園に出場。1994年にレッド吉田とお笑いコンビ「TIM」を結成。2011年から少年院でボランティア講演の活動をスタートし、各種メディアに取り上げられ大きな話題となる。2014年には法務省東京矯正管区から表彰、2018年には法務省矯正支援官に任命。全国各地で「命の授業」と題した講演活動を実施している。
