韓流アイドルの発信から火がつき、今、「辛い時の慰めになる」と注目を集めているブッダの言葉。元僧侶・小池龍之介氏が超訳し、25万部を突破したベストセラー『超訳ブッダの言葉』(2015年/ディスカヴァー・トゥエンティワン)から、自分にも他人にも優しくなれる言葉を紹介。【その他の記事はこちら】

鉄の鎖よりも強く私たちを縛っているもの
たとえ君が鉄の鎖で縛られても、木の拘束具で拘束されても、麻ひもでグルグル巻きにされても、それらは「強力な呪縛」ではない。
自分の獲(かせ)いだお金への執着や、買いこんできては増えてゆく物への執着や、「私の子どもはこうなれ、こうはなるな」「私のパートナーはこうなれ、こうはなるな」という支配欲への執着。
智慧ある者にとっては、これらのあくことなき執着こそが、「強力な呪縛」に見える。その呪縛は、ゆるやかに見せかけて実はぎゅうぎゅうギリギリしつこくからみつき、あまりに逃れ難きものゆえに。
これらの呪縛を断ち切った君は、「こうしてほしい」「ああしてほしい」と求める浅ましさから自由となるだろう。
法句経345、346
すべての生き物は、死にたくないと思っている
この世のすべての生き物は、ミジンコもバクテリアも、キリンもネコもイヌも、エビもアリンコも、餓鬼(ガキ)もインフルエンザウイルスも、人間もダンゴムシもムササビも、みんな、攻撃されるのを恐がっている。すべての生き物は、死から逃れる生存本能に支配されてあがいている。
君もまた「死にたくない」という思いを胸の奥底に隠し持っている。「実は他のすべての生き物も同じ思いを隠し持っているのだろうな」と、目を閉じて思いを馳せたなら、どんな生き物をもわざとは殺さず、そして殺させないように。
法句経129
他の生き物もまた、自分と同様、自分を愛しく思っていることを知る
私はかつて、「自分」よりも愛しいものを探して世界中を求め回ったけれども、「自分」より愛しいものはどこにも見つからなかった。
それは他者にとっても同じこと。
人も動物も細菌も、あらゆる生き物にとって「自分」がいちばん愛しいもの。生き物はみんな、ナルシスト。ゆえに自分を愛しいと思うなら、他の生き物を傷つけないように。
小部経典『自ウダーナ説』
自分を取り巻くすべてに分け隔てなく、優しい念を送る
自分の上方に慈悲の念を向け、自分の下方に慈悲の念を向け、自分の横、前後左右に慈悲の念を向け、わだかまりなく、分け隔てなく、恨みなく、敵意なく、優しい念を送るよう、練習するように。
経集150

