平成初期から今日まで、数々の人気番組のMCを担ってきた、中山秀征氏。新番組の成功祈願、現場の空気作り、そして地元・群馬への恩返し――そのすべてが彼の差し入れには込められている。今回は、愛する故郷・群馬の「差し入れにもお薦めの名物」を紹介するとともに、芸能界の“気配り名人”として親しまれてきた中山流の“手土産の流儀”を聞いた。【特集 最高の手土産】

ゲンを担ぐのも差し入れの面白さ
『THE 夜もヒッパレ』『DAISUKI!』『ウチくる!?』など、平成初期から現在まで圧倒的な数のバラエティ番組のMCを務めてきた中山秀征氏。
「テレビをつければいつでもだいたい映っている」──そんな感覚を視聴者に抱かせる、まさにテレビ界を代表するタレントである。そしてその出演番組の多さゆえ、中山氏が番組スタッフにしてきた「差し入れ」は、星の数ほど。
「新番組に持っていくなら六本木にある『おつな寿司』の“裏返しのいなり寿司”。油揚げが裏返しになっているおいなりさんは“裏を食う”ということで、裏番組を食ってやるという縁起物です。
『クイズ!ドレミファドン』『ザ・タイムショック』が始まった時も持っていきましたよ。そして新春番組の場合は、必ず『とらや』の『紅白饅頭』と『羊羹』。これはもう僕のなかの決まりですね」
差し入れや手土産で「地元・群馬のPR」をすることも欠かさない。
「僕が地元・群馬で収録する際は、みなさん『おかえり』と言って群馬名物をたくさん差し入れてくださる。そこで出合った美味しいものを、他の番組にも差し入れて広めていって、群馬に恩返しできたらなとも思っていますね。
もちろん差し入れを選ぶ時の大前提は、大人数に行き渡るか、食べられなかった人があとで持って帰れるものか、ということもしっかり意識していますよ」

1967年群馬県生まれ。1985年にバラエティ番組『ライオンのいただきます』でデビュー。『DAISUKI!』『ウチくる!?』など数多くの人気番組でMCを務め、現在は『シューイチ』の総合司会としておなじみ。俳優としてはドラマ『静かなるドン』で主演デビューを果たし、歌手としても活動。50歳から書道を始め、個展を開くほか、2025年にはカンヌ国際映画祭で作品を展示した。近著に『人間関係の達人たちから学んだ小さな習慣 気くばりのススメ』(すばる舎)がある。
もらってうれしかったのは、やっぱり「米」
親しい人に手土産を渡すのであれば、「家庭にあったらうれしいもの」を意識しているという。
「友人の家にお呼ばれ、なんて時はカジュアルに『太宰府 十二堂えとや』の『梅の実ひじき』もいいですね。ごはんのお供って、みんな大好きでしょう!?
そもそも我が家がもらって一番うれしかったのは“米”なんです。息子が4人いて、しかも長男は野球部で毎日2Lのタッパーに白米をパンパンにつめて持っていくものだから、1ヵ月で50kgは軽く消費してしまう。だからお米をもらうと本当に助かったんですよ(笑)。
今は息子たちも大きくなり、そんなに消費しませんが、『この家庭にはきっとこれがあったらいいんじゃないかな』と、自分がしてもらったようにそのご家庭ごとに考えて手土産を選ぶようにしています」
中山秀征ד群馬愛”を贈る手土産
1.物心ついた時から食べていた故郷の味
ガトーフェスタ ハラダ|グーテ・デ・ロワ
全国的に販売され多くの人が一度は口にしたことがあるであろう、このラスク。実は群馬県高崎のパン屋「原田ベーカリー(現・ガトーフェスタ ハラダ)」で生まれたものだ。パンづくり60余年の研究と経験の末たどり着いたフランスパンを用いて完成させたという。
「『食べたことはあるけど、群馬のものだと知らなかった』という人が多いと思いますが、僕らからしたら『あの、原田ベーカリーがこんなに全国区に!?』という気持ちです。
僕はもう物心ついた時から食べていましたね。当時は確か無料か、格安で食べられた気がします。それがこんなにヒットして、『俺は昔から食べていたんだぞ』と自慢したい気持ちでいつも差し入れや手土産としてお渡ししています。
個包装だし、持って帰ることもできるし、差し入れとしては最適。それになによりいろんなラスクを食べたけど、やっぱりハラダのラスクが世界一美味い!」
季節ごとの限定商品や、さまざまなフレーバーでも商品展開があり選ぶのも楽しい手土産の定番だ。
「ラスクといったら甘いものですが甘くない、ワインにも合う『オードブルラスク グーテ・デ・ロワ ソムリエ』という商品も美味しいんですよ。最近、同じ群馬出身の井森美幸に教えてもらって知りました(笑)」

2.まんじゅうの中に卵!? インパクト絶大
成田屋「たまごまんじゅう」
一見普通のまんじゅうかと思いきや、割ってみると中に入っているのはたまごがまるまる1個。醤油で味付けした煮たまごが、ほんのり甘い皮に包まれた、甘じょっぱい一品だ。
「インパクトがすごいでしょう!? 持つとずっしり重く、一体何が入っているんだ!?と相手を驚かせられます(笑)。
群馬にはこの『甘じょっぱい』という文化があるんですよ、焼きまんじゅうとか味噌パンなんかも群馬で有名ですが、甘いとしょっぱいが混在しているものが好きなんです。
このたまごまんじゅうは、僕の地元・藤岡のもので、僕が藤岡でロケをした際に地元の人が差し入れてくれて知りました。1つでお腹がいっぱいになるので、そのあともうひと仕事頑張れる(笑)。育ち盛りのお子さんがいる家なんかにお持ちすると喜ばれるのではないでしょうか」

3.ねっとり甘い、これが群馬の新名物
道の駅 まえばし赤城「まえばしバナナ」
道の駅「まえばし赤城」内にあるビニールハウスで育ったバナナ。贈答用は1本だいたい600円を超えるという高級バナナにもかかわらず、道の駅では日中早いうちに売り切れてしまうという人気ぶり。
「このバナナ菜園が道の駅にできた頃にロケでうかがったのですが、バナナって南国のイメージがあるのに群馬に!?と驚きました。でもうまくいったら新しい名物になるぞ、とワクワクしましたね。
糖度が高くてねっとしとした食感もまたいいんですよ。そこまで数が出ないので『幻のまえばしバナナ』とも言われていて、『これ、実は手に入れるの大変なんですよ』なんて、渡す時のちょっとした話のネタにもなります(笑)」

4.パスタの街、高崎の人気メニューを自宅で食べられる
ボンジョルノの冷凍パスタ「魚介ベスビオ」
高崎の老舗イタリアン「ボンジョルノ」の人気パスタ「魚介ベスビオ」をそのまま冷凍。魚介とトマトのスープが滋味深い一品で、お店の味を自宅で堪能できると、高崎市民をはじめとするパスタファンに絶大な支持を得ている。
「群馬は小麦の生産量が多く、日常的にパスタを食べるご家庭も多いパスタの街。なかでも高崎は、イタリアンのお店がたくさんあり、パスタ激戦区です。高崎のなかでパスタの1番を決める『キングオブパスタ』という大会もあるんですよ。
そこで何度も1位を取ったこのパスタ、ピリッと辛くて美味い! また群馬のパスタはとにかく量が多いんです。お店に行くと『2人前かな?』と思うくらいの量なのですが、美味しいのでみなさんぺろりと食べています。
この冷凍パスタは、ホームパーティにお呼ばれした時や、キャンプ好きの方に贈るのもいいですよ」


