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2026.03.16

94歳・大村崑ちゃんの元気を支える”5本指運動”。必要なのは新聞紙とゴルフボール【和田秀樹対談⑤】

「元気ハツラツ! オロナミンC」と、崑ちゃんの声が響くと撮影現場は一気に笑いで温まる。94歳にして、現役。笑いに涙の混じる筋金入りの“話芸”に和田秀樹も思わず感激~! 元気に長生きしている大先輩にその秘訣を聞く人気連載、大村崑5回目。【対談記事はコチラ

94歳・大村崑ちゃん流元気秘訣の5本指運動とは。必要なのは新聞紙とゴルフボール【和田秀樹対談⑤】
大村崑/Kon Omura
1931年兵庫県生まれ。昭和30年代、テレビ軽演劇『やりくりアパート』『とんま天狗』などの主演を務め一世を風靡する。大塚製薬オロナミンCのCMで国民的タレントとして地位を確立。現在は講演活動に全国を駆け回りながら、映画にも出演。著書に『崑ちゃん90歳 今が一番、健康です!』など。

元気の秘訣を人に教える

大村 最近、いろんな人から「大村さん、元気の秘訣を教えてください」と言われるようになりましてね。

和田 こんなにお元気な94歳、めったにいませんからね。

大村 自分で考えた運動があってね。それを教えるんです。

和田 どんな運動ですか。

大村 5本指の運動です。新聞紙の上に手を置いて、5本の指を開いたりすぼめたりしながら、新聞紙をクシャクシャっと丸めていくんです。

和田 お年寄りは皮脂が少ないから、指がすべってなかなかクシャクシャっといかないかもしれませんね。

大村 そう。意外と難しいんです。インクで指も汚れるしね。丸めたらギュッギュッと握って小さく固めます。これやったあとはものすごい気持ちがいいんですよ。脳がスッキリする。

和田 指を動かすことは大事ですからね。握力が低下すると認知症のリスクが高まるとも言われています。

大村 丸めたらゴミ箱に捨てに行くでしょ。これもいい。

和田 ですね。年を取ると動くのが億劫になって座りっぱなしの人が大勢いますから。

大村 どうやったら指を一生懸命に動かせるかなと考えて発見した方法なんです。

和田 自分で考えるというのが本当にすばらしい。実は、握力を鍛えると、全身の筋力が高まることもわかっています。血流もよくなりますしね。いいことだらけです。

大村 あとね、足の5本指運動もあるんです。

和田 教えてください。

大村 ゴルフボールの上に足を乗せ、足の裏で前後にゴロゴロ転がす。ある程度やると、ものすごい気持ちがよくなる。

和田 足つぼマッサージみたいな感じですね。

大村 そう。そしたら今度はボールを指の付け根辺りに持ってきて、足指をすぼめて、ボールを握るんですよ。

和田 え、そんなことできるんですか。

大村 びっくりするでしょ。でもね、やってるうちにできるようになるのよ。僕は2ヵ月くらいかかったけど、うまくつかめるようになりましたよ。

和田 すごいですね。

大村 これの何がいいか、わかりますか、先生。

和田 足の指は年を取るほど使わなくなるので、意識的に動かすのはいいでしょうね。

大村 僕、これやり始めたら、足の指が広がるようになったのよ。それでこけなくなった。

和田 なるほど。

大村 ヨタつくときは小指を広げて歩く。靴下や靴を履いていても、中で指は広がるわけやから。そうやって歩いたらこけないんです。

和田 いいですね。

大村 僕はね、外を歩くときに背筋を伸ばしてタッタッタッと歩くんですよ。すると見た人は「崑ちゃんや」「かっこいいね、年いくつあの人」「94やで」「えっ嘘、94? すごいね、うちのお父さんとえらい違うね」なんて話すのが聞こえてくる(笑)。

和田 なるほど。

大村 大昔は人間も裸足で歩いてたでしょ。木の上の実を獲るときも足で登った。クマがそうやって柿を食べてる映像が流れてたけど、あんな感じだったんだと思うわ。動物が器用に足使うのに、人間が使わないのはもったいない。だから僕は足の指も使うんですよ。

和田 すごいですね。やっぱり元気になろうとする意欲とか工夫がいいですよね。医者の言うことを聞いていても元気になれるわけじゃない。自分で動かないと元気にならないんです。

大村 そうそう。僕はね、自己流が好きなんです。

和田 崑ちゃん流ですね。

和田秀樹/Hideki Wada
精神科医・幸齢党党首。1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業後、同大附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー等を経て、和田秀樹こころと体のクリニック院長に。当対談連載をまとめた『80歳の壁を超えた人たち』をはじめ、『80歳の壁』『幸齢党宣言』など著書多数。

仕事は生もの。ずっと怠らずに準備をする

大村 僕らの仕事は、言うたら「生」でしょ。ちょっと調子悪いから1週間後にしてくださいというわけにいかない。

和田 そうですね。

大村 仕事が決まったら、その日に向かって体をつくっていく。「今日の大村崑もよかったね」と言ってもらうには、きっちり仕上げていく必要がある。うちのマネージャーもそうですよ。彼女も30年、きっちり自分の仕事を全うしてくれてます。

和田 そうなんですね。

大村 彼女は宇都宮に住んでいるんです。それでもちゃんと時間前にはマンションの暖房を入れて温めて、新幹線の送迎もして、翌日の打ち合わせをしてから帰る。それから寝て、朝にはちゃんとご飯を作って持ってきてくれる。そういうありがたいことをずっとやってくれてるんです。

和田 ありがたいですね。

大村 家族みたいにね。おかげで仕事を断ったり、失敗したりしたことはありません。

和田 やっぱり一流の方ってやらなければいけないことに対する準備がすごいんですよ。こんな言い方は僭越ですが、例えばお笑いでも音楽でも、どんな仕事にしても、技術を磨くのはもちろん大事だと思います。だけどそれ以上に、ケガをしないとか毎日続けられるための準備を怠らないことが大事ですよね。準備の延長に本番があるわけですから。

大村 先生、やっぱりええこと言いますね。

和田 いやいや。長生きも同じですよ。準備の延長にあると思うんです。

大村 そうやね。

和田 野球の世界でも、大谷選手は休まないですよね。それは入念に準備しているからです。もちろん記録はすごいんですよ。だからみんな記録ばかり見て「すごいすごい」って言うんだけど。故障したらその記録も残せないわけだから。

大村 そうそう。

和田 イチローもそうでしょ。天才的な選手というのは、たまに現れる。だけど長続きする選手は少ない。イチローや大谷選手のように、ずっと続くって、本当にすごいことなんですよ。その意味でも、大村さんはすごい。対談の1回目で話しましたが、多くの喜劇役者が早逝する中で、大村さんは94歳まで現役を続けているわけですから。

大村 森繁の親父さんが唯一96歳まで続けましたけどね。

和田 大村さんにせよ森繁久彌さんにせよ、続けるための努力っていうのを、たぶん多くの人は見てないと思うんですね。だからそれのお手本みたいな人の話を聴けて、今日は僕、すごい感動しているんです。

※6回目に続く

TEXT=山城稔

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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