英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第316回。

仕事の初日に気をつけたいこと
It’s her first day on this job. She’s just going to try not to put a foot wrong.
先日、SNSのレコメンドで出てきたショート動画で、こんなことを言っている白人の方が出てきました。
直訳すれば「今の仕事の最初の日、彼女は足を正しくない場所に置かないようにした」となります。意味がよくわかりませんが、私は最初なんとなく「足を踏み入れてはいけない場所」みたいなところがある職場なのかな、と思いました。しかし気になるのは、複数形のfeetではなく、あえてa footと単数にされていることです。なんでわざわざ片足なんでしょうか。
普段、SNSでよくわからないフレーズが流れてきてもスルーしてしまうのですが、今回だけはどうにも気になって調べてみたところ。
Not put a foot wrong=ミスをしない
という意味だそうです。
先ほどのSNSの一文は「仕事の初日だったので、ミスをしないようにした」ということなのでしょう。
おそらく「足を踏み外す」というイメージからput a foot wrong=「足を正しくない場所に置く」という表現になっているのだと思われます。
他にもこんな使い方の例を見つけました。
On the court, she didn’t put a foot wrong, turning pressure into elegance with every move.
(コートの上で、彼女はミスをせず、すべての動きにおいてプレッシャーを優雅さに変えていた)
これはテニス選手を讃えるブログのなかのひとつの表現でした。
そもそもfootは、足首から下の部分を言います(足首から上はlegです)。確かに、片方の足の裏が正しくない場所に着地してしまった時が、「足を踏み外す」という状態です。だからlegではなく、feetで、しかも複数形ではなく、単数のa footになるのかなと思いました。
スマホを見ながら歩いていて、道に段差があることに気が付かずに、一歩踏み出して、足首をぐきっとやることはたまにあります。これはまさに、不注意によるミスなので、この表現も納得です。イギリス英語が由来のフレーズだそうで、昔のイギリスの街には石畳が多くあり、「一歩」を間違えると私のように足をぐきっとやるので、このフレーズが生まれたのかもしれません。
一歩一歩に集中し、慎重に歩けば、ミスは起きない。
実際に歩いている時だけではなく、すべての仕事に、行動に言えることです。
ちなみに最近の私の最大のミスは、冷蔵庫に適当にものを詰めすぎて、ある日開けたらビールのロング缶が頭上から降ってきて、footに直撃。足の甲に大きなあざをつくったことです。冷蔵庫が整理されていないことと、避け切れる反射神経がなかったことも、両方悔やまれました。