英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第247回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは
ワンパターン化したお祝いの言葉“Congratulations”から脱却する魔法の英語とは
「最近出世したんだ」
日本語ペラペラのアメリカ人女性とオンラインで話していた時のこと、彼女がそう言いました。お互いの言語上達のため、アメリカ人の彼女は日本語で、私は英語で話しており、私は彼女の発言に対してこう答えました。
Congratulations
そのまましばらく会話を続けていると、彼女はこうも言っていました。
「だから、もっと広い家に引っ越そうと思って。ついでだから彼氏も一緒に住むことになった」
それはよかった、めでたい。
そんな気持ちで、また私はこう言いました。
Congratulations
2回続けて、同じ言い方をしてしまいました。というか他に「おめでとう、よかったね」という気持ちを表す表現を知らないだけです。めでたいことは続くもので、出世をすれば広い家に住むことができて、同棲もできて、さらにその先には結婚とか出産とか、あるのかもしれません。その度に私はひたすらCongratulationsと言い続けるのでしょうか。
「大変めでたいのはいいのだが、そういう時に言えるCongratulations以外の表現を教えてくれませんか」
そう日本語で言ったら、彼女がひとつ、こう教えてくれました。
Good for you
よく聞くフレーズですが、ずっと「あなたにとっていいよね」みたいなことかと思っていました。けれどこの場合は「おめでとう」とか「よかったね」といった意味になるということ。「出世したんだ」とか「同棲を始めた」「結婚した」という報告に対してGood for youと返していいんだそうです。
「だいぶカジュアルな言い方になるけどね。でもこれ、結構便利。『来週、テニスの試合なの』と言われても、Good for youって返してもいい」
Good for youは、時に「がんばれー」というようなニュアンスになるんだそうです。さらに「最近マッチングアプリ始めてさ」とか「ジムに通い始めた」「3ヵ月で5kg痩せた」とかそういった話をされた場合でも「ああ、いいじゃん」「すごい!」という感じでGood for youと言えるということ。もうたいていの相槌はこのGood for youでいけそうな気がします。
“Good for you”を使う時の注意点
「でも、たまに皮肉だととる人もいるから気をつけて」
そう彼女に注意もされました。
「ハイハイ、すごいですね〜」というような嫌味として使う人もいるということ。けれどこれはもう言い方の問題なので、心からの笑顔で言えば誤解されない気もします。
その後の会話は、私がずっとGood for youと相槌を打ち続け、「もうさすがにいい加減にしてくれ」と流暢な日本語でたしなめられました。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
英語力ゼロのまま渡英、行けばなんとかなると思いつつなんともならなかった2年間のイギリス生活。帰国後はせっかく覚えたいくつかの英単語も忘れ去り、それでも時々は英語と格闘してみる現在、40歳。
「その英語でよく外国に行ったね」「めちゃくちゃカタカナ英語だね」と、なぜか日本人に笑われながらも、覚えたフレーズの数々。いつかはうまくなりたいから、恥を忍んで今日もブロークンイングリッシュ。下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。人のイングリッシュを笑うな。