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2025.12.27

高騰中の金。銀座の老舗・田中貴金属に「金のインゴット」を買いに行ってみた

「もうすぐ下がるかも」と、2024年末から日々、金価格の推移表をチェックしていた。ところが下がるどころか、あれよあれよという間に10月には史上最高値を更新。テレビやネットでは、金購入のために貴金属店へ押し寄せる人々のニュースが流れ、そんな状況に焦り、ついに購入を決意。向かったのは、銀座の老舗「田中貴金属」だ。結果的に、購入までにかかった時間は半日以上。その全貌を完全レポート。

Unsplash / Zlaťáky.cz ※写真はイメージ

予想以上の待ち時間に、翌日すべての予定をキャンセルして出直し

じつは2023年の終わりに、初めて金のインゴット(高純度の金を固めたもの。バーとも呼ばれる)を50g購入した。投資に目覚めた頃で、「絶対に金は上がるから持っておいたほうがいい」と、知り合いの経営者に勧められたのがきっかけだった。

そのときは待ち時間も5分ほど。あっさり購入できたため、今回も「1時間もあれば十分でしょ」と、完全に油断していた。

開店の10時半に到着すると、すでに店の前には長い行列。受付で整理券を受け取ったものの、現物を受け取れるのは夕方になるという。その日は昼に会食の予定が入っていたため、やむなく断念。あまりの混雑ぶりに焦りを感じ、翌日の予定をすべてキャンセルして出直すことにした。

開店15分前に到着。整理券を受け取り、カフェで順番待ち

翌日は10時15分に到着。混雑のため、この日は9時台に特別開店していたそうで、整理券はすぐに受け取れた。受付時間は11時半から11時55分。1時間以上待つことが確定したため、近くの上島珈琲で待機。

11時半ぴったりに店へ戻り、カウンターのある4階フロアへ。しかし、まだ前に15人ほど並んでいたため、時間つぶしに2階のジュエリーフロアを覗くことに。

これが思いのほか楽しい! 洗練されたデザインのネックレスやブレスレット、仏像のように緻密な金細工、出産祝い用の品々まで揃っている。

そこで見つけたのが、シルバーの耳かき。シルバーも値上がりしそうなうえ、1本約7,000円と手頃だったため、プレゼント用に4本購入した(ちなみに2ヵ月後の12月に再訪した際には、8,000円に値上がりしていた。写真は再訪時のもの)。

まさかの本人確認書類不足が発覚

その後、呼ばれて購入の説明を受けたところで思わぬ事態が発覚。パスポート以外の顔写真付きの身分証、もしくは住民票が必要だという。以前は保険証で問題なかったが、制度が変更されたようだ。

また、以前50gを購入した際は100万円以下だったため現金払いが可能だったが、今回は100万円を超えており、支払いは銀行振込のみ。2年前と比べて価格はほぼ倍。「あのとき、もっと買っておけばよかった」と思わず悔やんだが、これも投資あるあるだから仕方ない。

免許証もマイナンバーカードも持っていない私は、耳かきの入った紙袋を持ちながら、住民票を取りに区役所へ。この時点で、すでにぐったり……。

小さいけれど、ずっしりとした金の重みに満足

住民票を取得して再び田中貴金属へ戻り、振込先口座の書類を受け取る。その足で、隣にある三菱UFJ銀行へ向かった。

ロビーは金購入の振り込み客で混雑しており、呼ばれたのは30分後。時刻は13時半。そこから着金まで2時間以上かかるとのことで、一度帰宅することにした。スマホで順番を確認できるため、自宅で待機する。

順番が近づき、再び店舗へ戻ったのは16時頃。さらに15分ほど待ち、ようやく金のインゴットを受け取った。苦労して手に入れた達成感で、疲れは一気に吹き飛んだ。

帰宅後は、しばらく眺めてから金庫へ。前述の経営者の友人は「金は運気を上げてくれるから、現物一択」と言っていたけれど、確かに実際に手にすると、不思議と金運が上がったような気分になる。

以前から狙っていた小判。運気アップのお守りに

実は、以前から気になって何度もチェックしているのが金の小判。日本独自の美意識と歴史をまとい、金の塊のインゴットよりも割高ではあるけれど、ロマンがある。龍や打ち出の小づちといったモチーフも、いかにも運気を上げてくれそう!

こちらも金やプラチナ価格と連動するため、迷っているうちに値上がりしてしまった。決して安くはないが、今回のインゴット購入で痛感したのは、「迷っている時間もコストになる」ということ。

2年前に50gを購入した自分を、今の自分が羨ましく思うように、数年後には「なぜあのとき小判を買わなかったのだろう」と思うのかもしれない。そう考え、2026年こそは小判を手に入れようと決めている。

ちなみに小判は装飾品扱いのため、煩雑な手続きは不要。クレジットカードで購入できる点も大きなメリット。

金を購入すること=両替だと思えばいい

金を買うときに感じる迷いや躊躇は、多くの場合、「高値で掴んでしまうのではないか」という不安からくる。けれど、日本円を、金という別の価値に置き換えるだけ。つまり、両替するだけと思えば、「もう遅い」「高すぎる」といった感情は、あまり意味を持たなくなる。

海外旅行に行って、日本円を外貨に替えるときと同じで、完璧なタイミングなんて計れない。ただ、自分がどの通貨で資産を持ちたいのかを決めるだけ。

そう自分に言い聞かせながら、私は今後も日本円を、小判や装飾品、もしくは金貨やインゴットに変えて少しづつ両替するつもりだ。

TEXT=久我乙十葉

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