PERSON

2025.12.26

前澤友作の資産管理者「前澤は日本で唯一“VIPチケット”を手にしている人間」

壊れていない人間に、革命は起こせない。50歳の節目に、50人が語る“本当”の前澤友作とは。著書『偽善者』から一部抜粋。今回は、前澤友作の資産管理担当・久住拓寛。

前澤友作の資産管理者「前澤は日本で唯一”VIPチケット”を手にしている人間」
Unsplash ※写真はイメージ

本当のVIPになるための“チケット”

僕は2010年に独立したんですが、これまで銀行の名前でブイブイやっていたから最初は自分ひとりでどこまでできるかわからなかった。だから前澤が自分の資産管理をやってほしいと言ってきた時にこう答えたんです。

「今の自分がどこまで役に立てるかわからないから、1年間は無料でやらせてほしい。他の金融マンとは違う動きをするつもりだから、それを気に入るなら2年目から契約してほしい」

そこから僕は、僕が考える金融マン、ほんとうの意味での資産管理、資産活用をやっていきました。僕は彼を単なる金持ち、単なる成功した経営者の枠に置きたくなかった。たとえば、フェラーリって4000万円で買っても翌日売りに出したら2000万円です。

でも今彼が持っているブガッティは、3億円で買ったら翌日には4億円になっています。なぜならいくらお金を払っても選ばれた人しか買うことができないから。

アートの世界も同じです。本当にいい作品は、お金を出しても買うことができない。無駄金だと思っても、いろいろな作品を買い続けて、その世界で認めてもらってようやく価値のある、値段の下がらない作品を買うことができる。

10億円分、それなりの絵を買い続けることで、50億円値上がりする作品を買うことができる、ある種のチケット。世界で認められた本当の富裕層、VIPだけが持つチケットを手に入れることができる。その世界では、どんなに買い物をしても、資産価値が減ることはない。

僕は前澤をその世界に連れていきたかった。そのためにプライベートジェットの購入を勧めたし、世界中の金持ちが集まるカリブに連れ出してヨットで遊ぶ楽しさを教えた。友達として一緒に遊んで、生き方とか働き方とか人との接し方とか、いろんなことを話しながら1年間走り続けた。

あんなデカいヨットを作ると言い出したのは誤算でしたけど(笑)、彼は今日本で唯一、そのチケットを手にしている人間になったのではないでしょうか。

ちなみにそんなふうに無料の資産管理を続けた結果、無事に2年目の契約を結ぶことができました。その1年目の終わりに彼から贈られたのが真っ赤なオープンカー。「これ、似合うと思うよ」って、テレビドラマみたいなことを本当にやるんですよ(笑)。1年目の無料労働に対するお礼を、お金ではなくクルマで。前澤ってそういうことするのが好きだし、そういうことをしている自分が大好きなんです(笑)。

右脳と左脳のバランスがいい

前澤が他の経営者とまったく違うところは、クリエイティビティだと思います。なにかひとつの事象が起きたとき、どんどん領域を拡張していって、自分の望む結果を手に入れる。バスキアの絵を買った時もそうです。

あの絵を買ったのは、好きだから、ほしかったからというエモーショナルな理由だと思います。でも買った瞬間、彼はその絵を自分のプロモーションにどう活用するかを考える。そのミーティングはオークションの帰りの飛行機で始まり、到着した時にはPRの主要メンバーを集めて、成田で会議をやる。「この絵を使って、俺はどこまで有名になれるか」というテーマでみんなの意見を出させるわけです。

宇宙に行った時も同じ。宇宙に行ってみたいというのは彼の純粋な気持ち。でもそれだけでは終わらせない。宇宙に行くことの効果を最大限にするにはどうしたらいいかを考える。右脳と左脳のバランスがいいんでしょうね。両方を同時に動かすからクリエイティブなアイデアが次々と生まれる。

彼はよく言うんですよ。他の人が100%考える時は、自分は120%考える。200%考えるなら、300%考えると。右脳と左脳を使って、直感を信じながら誰よりも深く思考することが習慣化している。それが成功の秘訣だと自分でも言っていますけど、僕も近くで見ていてそう思います。

ただ資産管理をする人間としてひとつ困ることがあって、それは後先考えずに買い物をすること(笑)。資産が数千億円あるからといって、手元にあるキャッシュは限られている。バスキア買ったときも「123億円かかった。あとよろしく」。でもそんなキャッシュはないんです。そのためにZOZOの株を売るわけです。

それで123億円が現金化したころには、バスキア買ったことを忘れて、株を売ったことだけをおぼえている。「123億円あるじゃん。これで何買おう?」とか言い出す。いやいや、それはバスキアの絵の代金ですと(笑)。

この綱渡りはいつもやっていますよ。何を担保にして金を調達するか、この株を売ったらいくらになるか、この絵を買うならこっちは手放そうみたいなことを僕は常にプロと相談しながら考えている。でも、彼がやりたいことにお金を使うのを止めることは絶対にしません。それは彼のクリエイティビティを止めることになるから。彼が勢いとクリエイティビティを止めなくていいように、資金を管理するのが僕の最大の役割だと思っています。

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TEXT=箕輪厚介+幻冬舎編集部 編

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