35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第169回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
逮捕しちゃうぞ!? 文法ポリスに気をつけろ
ここ最近、続々と外国人の友人の来日が決まっています。年末には韓国から、春にはアメリカから、それぞれ東京に旅行にやって来るので今からどこに案内しようか、計画を練っているところです。
けれど不安なことがひとつあります。
海外で彼らと知り合った際は、周りもみんな外国人だったので、文法が間違っていようが、発音がめちゃくちゃだろうが、とにかく通じればよし、複雑な話はできなくとも、一緒にお酒を飲めばなんとなく気持ちは通じる、みたいなやりとりをしていました。
しかし、日本で彼らを迎えた場合、私の無茶苦茶な英語を、周りにいる日本人に聞かれることになります。日本だと「あの人ずいぶんめちゃくちゃな英語だな」と思われるのではないかと、なんだか今から恥ずかしい気がします。
来日が決まったアメリカ人の友人とそんな話をSNSのメッセージでしていたら、こう返ってきました。
I hate the grammar police.
「私、グラマーポリスって嫌い」
グラマーポリス。直訳すると「文法警察」です。文法の乱れを取り締まる警察、なんてものはありませんから、いちいち文法の間違いを指摘してくる人のことを言うスラングです。
特にソーシャルメディアなどで、誰かの投稿に対して「ここは文法的に間違っている」などと逐一コメントを入れてくる人のことみたいです。
他人の英語に対していちいち指摘してくる人のことを、日本語のネットスラングでも「文法ポリス」と呼びますから、同じ言い方が英語でもあるのか、と感動すらしてしまいました。というかそもそも英語からきているネットスラングなのでしょう。
ちなみに約10年前のMyGrammarLabという英語教材のCMでは、ポリスが容疑者を取り調べているシーンから始まります。
I told you I didn’t do nothing.
「やってないっていってるじゃないか!」
と、一生懸命英語で言う外国人の容疑者に対して警官がこう言います。
The double negative means that you admit to doing something.
“Not doing anything”
「二重否定だと認めていることになるぞ。Not doing nothingじゃなくてNot doing anythingにしないと」
と間違いを正していきます。
この調子でひたすらポリスが容疑者の文法の間違いを指摘、最後にMyGrammarLabで勉強しようね、と締めくくるCMでした。YouTubeの動画のコメントでは「私も毎日こう言われている」とか「友達が間違えた時も、このポリスみたいにいちいち言ってくる人最悪だよね」という声がたくさんついていて、世界中で多くの人が日々文法ポリスに怯えている様子がわかりました。
私たち外国人が文法ポリスを怖がるのはよくわかりますが、ネイティブの人たちにとっても文法ポリスは厄介なようです。
SNSなどで“That’s is sooooo cute!”「すっっっっごいかわいい!」というように書き込んでいる人に対して「oが多いですよ。So cuteですよ」とかいってくる人には確かにイラっとしますし、そういう人なら日本語にもいるのでなんとなくそのイラつきは理解できます。
「ちなみにgrammar policeは、ドナルド・トランプのTwitterを見張っていたよ。彼はよく文法間違えるからさ。まぁもうトランプのアカウントは凍結されちゃったからがっかりしているだろうけど」とそのアメリカ人の友人は言っていました。
確かに、文法は正しく使えるようにならないといけません。けれど、間違えることは恥ずかしいことだ、そう思って何も話さないよりも、間違えてもいいからたくさん話していきたいなと、アメリカ人の友人にI hate the grammar police.と言われて思いました。
連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。