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2024.02.09

悲惨な状況でもポジティブ! 学ぶべきイタリアン人思考

アポの時間に遅れるのは日常茶飯事、段取りが苦手で物事の計画は立てない、嫌なことは後回し、ルールは破るのが当たり前……。しかし、最後にはなぜかうまくいく。日本人とは真逆の国民性を持っているからこそ、そこには学ぶべきことがたくさんあるはずだ! 実に30年以上にわたってイタリアと関わり、イタリア人に数えきれないほど痛い目に遭わされてきた著者・宮嶋勲氏が語る、イタリア人の生き方の神髄とは? 『最後はなぜかうまくいくイタリア人』(日経ビジネス人文庫)の一部を引用、再編集してお届けする。全4回。#1#2#3

にこちゃんマークの風船
tim mossholder/ unsplash ※写真はイメージ

イタリア人は人生を楽しむ天才

誰だって、こうしたい、こうありたいという理想はあるだろう。しかし、それが常にかなうほど世の中は甘くない。人生の愉しみにおいてもそうである。

だから、物事が望むようにならなかったときに、どれだけ柔軟にそれに対応して、その中で人生を楽しむことができるかが重要である。イタリア人はその能力に破格に優れている。

これに関して、いまだに記憶に残っている映画がある。

「スパゲッティ・ハウス」という原題で、日本では公開されていないと思うが、1982年のいわゆるイタリア式コメディーと呼ばれるジャンルの作品だ。このジャンルには笑いをとりながらも社会の深い問題をチクリと風刺し、考察するという優れた作品が多い。戦後イタリア映画、または戦後イタリア社会史において重要な役割を果たした。

さて、この「スパゲッティ・ハウス」であるが、ロンドンに移住して、イタリア料理店でウェイターをしている5人のイタリア人の話である。

ある日そのレストランに強盗が入って、この5人は籠城の人質になってしまう。レストランのまわりは警官に囲まれ、強盗3人と人質5人は、水もなく食料もない絶望的な状況の中にいる。

こんな中でも、5人はなんとなく気楽そうにおしゃべりを続けているのだが、空腹に耐えかねたひとりが乾燥パスタをそのままボリボリとかじって食べ始める。そして思わず、「美味しい! なんでいままで生で食べようと思わなかったのだろう」と叫ぶのである。

主演のニーノ・マンフレーディ演じるドメニコはすかさず、「茹でて食べたほうが美味しいからだよ」と突っ込むのだが、私が感心したのは、そのような危機的状況でもパスタを美味しいと思って楽しめる、ある種のしぶとさである。

どんな状況であれ、それに対応して、その中で最大限楽しめるものを見出していく。だから乾燥パスタについてのコメントも、「味はないけれど、ほかに何もないから仕方ない」とはならずに、「美味しい! なんでいままで生で食べようと思わなかったのだろう」というポジティブ・シンキングになるのである。

それに答えるほうも、「いまそんな馬鹿なことを言っている場合か?」とはならずに、ぶっきらぼうながらも、ユーモラスな切り替えしをするのである。

もうひとつ、印象に残った映画がある。「エーゲ海の天使」だ。

これは第二次世界大戦中、イタリア軍8人の小部隊がギリシャの小島に上陸するが、本国と連絡が絶たれてしまう。悲劇的な状況ともいえるが、この8人は島の住民と仲良くなり、平和に楽しく暮らしたうえに、ひとりは結婚までする。もちろん終戦とともにこの楽しい日々は終わるのだが、これもどんな状況にも対応して、人生を楽しんでしまうイタリア人の気質をうまく表現していた。

ヨーロッパ全体は、いまかなり不況である。娯楽にそれほど高いお金をかけることはできない人が多い。それでも、人生を楽しむことはできる。

イタリアの失業率は高く、とくに若年失業率は南部では50%を超す場所もある。

そんな若者の愉しみは、友人と町を散歩して、ひたすら話しまくることである。意味なく友達の家を訪れてまわるというのも定番だ。これなら1銭もかからない。そして、夜はピッツァを食べても一日10ユーロ以下で楽しい日曜日を過ごせるのである。

実際、仕事もなく、将来の展望も開けない若者でも、なんどなく呑気で楽しそうに見える。嫌なこと、悲惨な状況に正面から立ち向かうことを恐れて、先送りしているだけかもしれないが。

理想にこだわって、高望みをして、結局は人生を楽しめず、不満ばかりが溜まっていくよりは、小さなことに満足して、すこしでも人生を楽しむようにしたほうがいいに決まっている。

どんな状況でもそれなりに人生を楽しむ。ある意味イタリア人はその天才である。

TEXT=宮嶋勲

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