2022年、2023年と2年連続で国際競争力ナンバーワン。それどころか、世界デジタル競争力、電子政府ランキング、環境パフォーマンス、SDGs達成度などで世界でもトップレベルの評価を受けている北欧の小国、デンマーク。しかし、デンマークのビジネスパーソンは午後4時に仕事を切り上げて家族や友人との団欒を愉しみ、週末はスポーツ大会やホームパーティを楽しむなど、どうみても仕事に精を出している様子は見えない。世界一ゆるいけどすごい働き方を実践する、デンマーク人の思考法とは?『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』(PHPビジネス新書)の一部を引用、再編集してお届けする。全4回。2回目。#1
1. ランチは30分! 勤務時間中は集中
日本人の勤務時間は午前と午後に分かれているから、その間にゆっくりランチ休憩をとってエネルギーを充電する。デンマーク人は、1日1回だけ一気に働くので、ランチ休憩は最長30分で切り上げる。その代わり、早く帰宅して、しっかり休息をとる。
味気ないように感じるかもしれないし、実際に味気ないところもあるのだが、これは「仕事モード」を崩さないためには、有効だ。
ちなみに、デンマーク人のランチタイムは日本よりも少し早く、11時半から12時半頃のイメージ。社内に食堂がある職場も多く、ランチタイムには、職場の人とプライベートの近況報告や仕事の情報交換をする。上司も部下も関係ない。ランチの席に役職は関係なく、ひとりの人間として、カジュアルに会話を楽しむ。
そして30分経つと、あっさりと仕事に戻っていく。1日の仕事の「終わり」を意識して。
2. 会議の時間を"中途半端"に設定し、発言しない人は呼ばない
社員が多く大規模な企業になるほど、組織構造が複雑になる。中間管理職は多様なステイクホルダーとの調整役を担うため、必然的に会議が多くなる。それに、朝出勤して9時から10時、10時から11時、11時から12時とずっと会議が続くと、各会議のために準備する暇もない。
デンマーク人は、30分の会議は25分、1時間の会議は50分にするなど、会議の時間を”中途半端”な時間に設定する。その方が人は不思議と時間へ意識が向くし、タイムキーピングもできる。
また、デンマークでは発言しないメンバーは会議に呼ばれなくなる。会議とは意見をかわすものであり、発言しない人はいても意味がないと思われるからだ。出席者が少ない方が話が早いし、出席しない人はその分、時間を別のことに使える。
3. 立ちながら仕事をする
脳を休めるために、散歩はとてもいい。デンマーク人は一般的に健康意識が高く、日常的にウォーキング、ジョギング、サイクリングなど、身体を動かすことを大切にしている。
また、デンマークの職場環境は、身体にムリをかけない。デンマークのオフィスを眺めると、座って仕事をしている人もいれば、立って仕事をしている人もいることにすぐに気がつく。
サイズの合わないデスクでずっと仕事をする、また同じ姿勢で長時間仕事をし続けるのは身体によくない。体型や状態に合わせてデスクの高さを調整できる「昇降式デスク」はデンマークのオフィスに多く設置されており、社員の身体を守るための必須アイテムだ。