35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第159回。連載【英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」】とは……
え、“sieve”とは、台所で使うザルのことだと思うんだけど、、、
日本語ペラペラのイギリス人とスカイプで話していたところ。
「私、水泳が得意だって話したよね」と流暢な日本語で言われました。
そんな話をしたかどうか、まったく覚えていなかったので正直に「覚えていない」と返したところ。
You’ve got a memory like a sieve!
と言われました。
メモリーライクアシーブ?
なんのことかわからなかったので、こちらもまた正直に聞いてみると。
a memory like a sieve=物忘れがひどい
ということでした。
そういえば、2週間前のスカイプで、水泳大会で優勝したという話を30分くらいしていたのにすっかり忘れていました。30分も話したのに、内容をまったく覚えていないというのは、話した方からしたらムカつくでしょうし、こう言われても仕方がありません。
“sieve”とは、台所で使うザルのことで、直訳すれば「ザルのような記憶力」。記憶がザルの目を通り抜けて落っこちてしまっている、という意味合いでしょうか。
この表現方法、英語にもあるんだ、とすごく驚きました。なぜなら日本語でも、お酒に強い人のことを「ザル」と言ったり、別の意味だと、確認事項にモレが多くミスを多発する人のことも「ザル」といいます。これらも、アルコールや、チェックすべきことが、ザルの目を通り抜けて落ちてしまっている、というイメージでしょう。
特に出版社やweb、広告系の文字を扱う仕事では、「文字にミスがないかチェックする・校正する」作業が苦手で、誤字脱字が多い人のことを「ザル」と言います。チェックの段階で誤字脱字がザルの目を通り抜けていってしまっている人のことです。
その発想が英語でもあるんだ、ということになんとなく嬉しくなりました。また、イギリスに住んでいた短い期間、ザルを買いに行って“sieve”をうまく発音できなかったため、画像を見せて「これはどこにある」と店員に聞いた日のことを大変懐かしく思い出しました。
他にも使い方の例文はこのようなものがありました。
I was trying to remember Jack’s phone number, but I have a memory like a sieve.
(ジャックの電話番号を覚えようとしたけど、記憶力が悪いから無理だった)
My husband’s got a memory like a sieve – he keeps going out and leaving the iron switched on.
(私の夫は、忘れっぽすぎる。アイロンつけたまま出かけちゃったんだよ)
ちなみに、企画書なんかでも、細かいところはきっちりチェックしたのに、なぜかタイトルなどの大きいところのチェックを忘れてミスをしてしまった、という経験みなさんにもないでしょうか。そんな時、あるいは、ものすごい量の誤字脱字があった時、私は自分のことを反省を込めて「枠」と呼んでいます。
「ザルには編み目があるから、時にはなにかがひっかかることはある。でも、ここまでミスが大きい・多いと、私には網目もないのではないか。つまり私はザルの枠だけを持っている状態ではないか」
という意味の勝手に作った造語です。ちなみに記憶力も前出のように悪いので、イギリス人の方に
I have memory like a flame, not sieve.
(私の記憶力は、ザルじゃないよ、枠だよ)
と言ってみましたが、まったく通じてませんでした。
Illustration=Norio
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35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者による英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。