スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する、吉田洋一郎コーチの人気ゴルフ連載から「アプローチ」に関する記事をまとめてお届け! ※2024年8月、10月、11月掲載記事を再編。
1.バンカーショットは、“ボールの手前にクラブを打ちこむ”ではうまくいかない
バンカーショットは「ボールの手前にクラブを打ちこむ」と教わった人は多いと思う。
だが、砂にクラブを打ち込むワンパターンではバンカーショットはうまくいかない。バンカーはコースによって砂質が異なり、土のように硬い砂やパウダー状の柔らかい砂などさまざまな種類の砂が存在する。
硬い砂ではクラブを打ち込む打ち方が合っている。
特にボールをすくい上げようとしてしまう人は、クラブを打ちこむイメージを持つことでトップやダフリを解消できるはずだ。
しかし、柔らかい砂で同じ打ち方をすると、クラブヘッドが砂に刺さってボールが出ない可能性がある。
砂が柔らかいときはヘッドが深く砂に潜ってしまう恐れがあるので、ヘッドを走らせてバウンスを上手く使う打ち方が正解だ。
バンカーの砂質によって打ち方を変えて対応する必要があるのだが、バウンスを使う打ち方は上から打ち込む方法に比べて難易度が高い。
その理由はクラブヘッドを走らせながらバウンスを滑らせるスキルが必要だからだ。この動きをマスターすることができればあらゆるバンカーに対応できるようになるだけではなく、アプローチのバリエーションも増やすことが可能になる。
2.残り150Y、アマはピンを安易に狙うな! だからスコアがまとまらない。その理由とは
次のショットがグリーンまで150ヤードくらいの状況で、あなたはどのようなことを考えてボールを打つだろうか。
もちろん、ベストな結果はプロゴルファーのようにピンそばにボールを運ぶことだが、毎回そのようなショットができれば苦労はしないだろう。自分の思いどおりのボールが打てたとしても、風の影響や芝の状態などでうまくいかないこともある。
ゴルフはコースを攻略するスポーツであり、1打でも少ない打数でホールアウトするために次のプレーをホールから逆算して考える必要がある。
アマチュアゴルファーの場合、思いどおりのショットを打てる確率が低いため、成功したショットをイメージするよりも、うまくいかなかった場合を考えて危機管理をしながらプレーするほうがスコアがまとまりやすい。
次のショットを打つ前に、絶対に打ってはいけない場所を把握するようにしてほしい。
たとえば、前出のグリーンまで150ヤードというケースであれば、絶対にボールが行ってはいけない場所を見極め、そのエリアを避けるように攻めることが大事になる。
危険なエリアを把握しつつ、ミスをしてもいい場所を割り出し、最良の結果をイメージしてショットをすることで、ベストとは言えないまでもベターな結果が得られる確率が高まるのだ。
3.ランを使う、高めに出して止める…52度or56度のどちらが良い? ウェッジの使い分け方を初級者でもわかりやすく解説
グリーンを狙うショットでは、クラブの番手ごとにおおよその距離が決まっているが、アプローチショットでクラブを使い分ける方法がよくわからないという人は多い。
グリーン周りではどんな状況でもサンドウェッジ一択という人もいるが、クラブを使い分けることができれば、もっとアプローチショットがやさしくなる。
今回はグリーン周りのアプローチで頼りになる、ロフトが52度のウェッジの使い方を解説しよう。
52度のウェッジは、ピッチングウエッジとサンドウェッジの中間のクラブで、ギャップウエッジやアプローチウエッジ(AW)、ピッチングサンド(PS)など、さまざまな呼び名がある。
メーカーによって呼び名が異なるが、どれもほぼ性能は同じだ。
グリーン周りで多用されるサンドウェッジ(56度~58度)と52度のウェッジの違いは、サンドウェッジのほうがロフトがあるのでボールが上がりやすいことだ。
そのため、カップが近くボールを高く上げて止めたいときはサンドウェッジを使い、ボールを転がしてカップに寄せたいときに52度のウェッジを使うようにするといいだろう。
一般的に52度のウェッジで平らなグリーン面にボールを打つ場合、キャリーとランの比率は1:1だと言われている。
ちなみに、サンドウェッジの場合は2:1、ロフトの角度が44度から48度のピッチングウエッジは1:2の割合が目安になる。
52度のウェッジを使いこなすことができるようになれば、アプローチショットの選択肢が広がってスコアアップにつながるはずだ。
4.距離の長いバンカーショット、ランを出してピンに寄せる方法
グリーン周りのバンカーショットが苦手な人は、バンカーから出すだけで精一杯でピンに寄せることまで頭が回らないかもしれない。
だが、中級以上を目指すなら、サンドセーブができるように、状況に応じた技のバリエーションが必要になる。
バンカーショットには状況に合わせた打ち方があり、ピンが近いときにはボールを高く上げたり、バックスピンをかけてボールが止まるように打つ。
ピンまでの距離が長い場合、バンカーから脱出するだけの打ち方だと、次に長い距離のパットが残ってしまう。このような状況では、ボールをグリーンに落とした後にボールが転がる「ラン」が出るバンカーショットが打てるとサンドセーブの確率が高まる。
米シニアツアーのPGAツアーチャンピオンズでは、多くの選手がピンまでの距離が長い状況やアゴが低い状況の場合、ランが出るバンカーショットを選択している。
たとえば25ヤードほどのバンカーショットを打つ場合、彼らはスピンをかけずに、10ヤードほどランが出るように打っている。
熟練の技を持つシニア選手たちが、なぜそのような打ち方を選択するのかというと、打点の狂いが出づらくなるからだ。
ボールが転がることを計算して打つということは、その分、キャリーを出さなくてもいいということになるので、振り幅がコンパクトになり、打点をコントロールしやすくなる。
このように、グリーン上でボールを転がして寄せることができる状況の場合、できるだけランを使ってボールを転がしたほうが安全かつ高確率でカップに寄せることができる。
5.ピンまで10ヤードと30ヤードでは打ち方を変えよう。状況に応じたロブショット法を初級者でもわかりやすく解説
ゴルフはスコアが良くなってくると、それに応じて高度なテクニックを覚える必要がある。特に、グリーン周りではアプローチのバリエーションを増やし、どのような状況からでも寄せられるようにすることが求められる。
転がし一辺倒のアプローチだけだと対応できない状況は多い。バンカー越えにピンがきっている状況では、ボールを高く上げてグリーン上にボールを止めなければならない。
このような状況に対応するために身につけておきたいのが、ボールをフワリと高く上げるロブショットだ。
ロブショットはスクエアに構える打ち方とオープンに構える2パターンの打ち方を状況に合わせて選択するといいだろう。
スクエアに構えるロブショットは、距離を出しながら高い球を打たなければいけない状況に対して有効だ。30ヤードくらいのバンカー越えの状況などに適している。
オープンに構えるロブショットは、アウトサイドイン軌道でボールが高く上がって飛ばないので、ピンが近くてボールを止めたいときに適している。ピンまで10ヤードの距離で、打ち上げている砲台グリーンなどへアプローチする状況で効果を発揮する。