今回はランを出して寄せるバンカーショットの打ち方を紹介する。
次の一打を考えてバンカーショットを選択する
グリーン周りのバンカーショットが苦手な人は、バンカーから出すだけで精一杯でピンに寄せることまで頭が回らないかもしれない。
だが、中級以上を目指すなら、サンドセーブができるように、状況に応じた技のバリエーションが必要になる。
バンカーショットには状況に合わせた打ち方があり、ピンが近いときにはボールを高く上げたり、バックスピンをかけてボールが止まるように打つ。
ピンまでの距離が長い場合、バンカーから脱出するだけの打ち方だと、次に長い距離のパットが残ってしまう。このような状況では、ボールをグリーンに落とした後にボールが転がる「ラン」が出るバンカーショットが打てるとサンドセーブの確率が高まる。
米シニアツアーのPGAツアーチャンピオンズでは、多くの選手がピンまでの距離が長い状況やアゴが低い状況の場合、ランが出るバンカーショットを選択している。
たとえば25ヤードほどのバンカーショットを打つ場合、彼らはスピンをかけずに、10ヤードほどランが出るように打っている。
熟練の技を持つシニア選手たちが、なぜそのような打ち方を選択するのかというと、打点の狂いが出づらくなるからだ。
ボールが転がることを計算して打つということは、その分、キャリーを出さなくてもいいということになるので、振り幅がコンパクトになり、打点をコントロールしやすくなる。
このように、グリーン上でボールを転がして寄せることができる状況の場合、できるだけランを使ってボールを転がしたほうが安全かつ高確率でカップに寄せることができる。
インサイドアウトでフォロースルーは低く
今回はバンカーショットでボールを転がして攻めるときの打ち方を解説しよう。
ランを出すバンカーショットの打ち方は、アプローチの名手であるスティーブ・ストリッカーの手法が参考になる。
ストリッカーがボールを転がすバンカーショットを打つときは、インサイドアウトにクラブを振り、フォロースルーは低く出す。ドロー回転をかけるようなイメージで振ることで、クラブの入射角がシャローになり、フェースを閉じながらインパクトすることになる。
その結果、ボールは低く飛び出し、バックスピンが少なくなりボールが転がる。
セットアップでは、ボールを左かかと内側の前あたりに置き、フェースを開いて構える。バックスイングはいつも通りの大きさにして、インサイドアウト軌道で振りながら、少しフェースをローテーションさせる。
フィニッシュではクラブの位置を低くおさえて、クラブヘッドの先端が目標方向を指すようにする。
インパクトではボールをクリーンに打たないように注意をしてほしい。
インパクトでクラブヘッドが接地する場所をボール1個分くらい手前に設定し、バウンスを滑らせながら砂を多めにとってボールを打つようにする。ボールだけをクリーンに打ってしまうと、距離が出すぎてしまったり、スピンがかかりすぎてしまうので気をつけたい。
この打ち方はボールが高く上がりづらいので、あごが高いバンカーではこの打ち方で対応できるのかを判断してほしい。バンカーのあごの高さに気をつけながら、ボールを転がすバンカーショットを試すとよいだろう。
プロのようにバンカーからカップに上手く寄せられると気持ちがいいものだ。バンカーショットのバリエーションを増やせば、寄せワンが増えてゴルフが一層楽しくなるだろう。
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◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。