FASHION

2025.10.30

プラダ、アルマーニ、ドルチェ&ガッバーナ…2026春夏ファッションウィーク詳報【ミラノ編】

ジャケットに見る、2026 Spring&Summerファッションウィーク詳報。文化や男性像を探究し、職人技が光るミラノ編。【特集 大人のジャケットスタイル】

2026春夏ファッションウィーク詳報【ミラノ編】

SNS時代の2026年春夏メンズの潮流

インスタグラムをはじめとしたソーシャルメディアが時代の主流となり、今や社会だけではなく政治や経済活動においても、そのプラットフォームの扱いの重要さが見受けられる。ファッションを愛する人たちも例に漏れず、ソーシャルメディアの活用が巧みで、使い方次第では、見る側がつくる側以上に情報を仕入れることも容易となってきた。だからこそ、ミラノ、パリで発表しているブランドは、独自の洋服づくりとは何か?と向き合い、情報に左右されないそれぞれのスタイルを打ちだす傾向が顕著に見られた。

その流れのなかで、2026年春夏メンズでいえば、夏という季節だからこそ生まれる軽快さをベースに、ジャケットやスラックスといったテーラードスタイルの落としこみ方に強いオリジナリティが生まれた。テーラードはデザイナーたちの出自や育った文化、ものづくりの背景によって大きく異なる。それらと自らが美の価値を置くスタイルが合わさる時、ラグジュアリーなどという標語を飛び越えた、ソーシャルメディアでは伝わらない自由な表現の次の一手となるに違いない。

1.ドルチェ&ガッバーナ|内と外の境界線を断つエレガントなパジャマ

ドルチェ&ガッバーナのコレクションの中心となったのはパジャマ。夏の魅力、イタリアの美学、日常に寄り添う軽やかさを軸に1990年代よりブランドのDNAとしてランウェイに登場してきたパジャマをクラシックで洗練されたイタリアンスタイルとして再解釈。シルエットもリラックスしたムードを重視。ジャケット、プリーツ入りのワイドパンツやシャツもオーバーサイズに仕立て、手編みのロープモチーフといった職人技も光る。レイヤードや大胆なカラーリングのアクセントによって、カジュアルながら都会的、シックでエレガントな佇まいだ。

ドルチェ&ガッバーナのコレクション

2.ジョルジオ アルマーニ|あらゆる要素を融合。ブランドの象徴を強調

都会と休日、東洋と西洋、南と北といったコントラストを交差させつつも、ジョルジオ アルマーニのシグネチャーに息づく調和を追求している今シーズン。素材と仕立ては実に軽やかだ。ジャケットをはじめ、リゾートに最適なリラックスしたシャツ、エキゾチック調の絵柄が際立つパンツ、地中海の色彩から砂漠を想起させるニュートラルなトーンまで充実したカラーパレット。全体的に身体を締め付けることがない、身体を包みこむウェアを中心とした穏やかなコレクションとなっていた。

ジョルジオ アルマーニのコレクション

3.プラダ|あらゆる変容を反映した柔軟な時代精神を表現

「A CHANGE OF TONE」をタイトルとしたプラダ。姿勢の変化、意味の解体、そして力の解体を試みている。全体的にシンプルで削ぎ落としたデザインを中心としていながら、さまざまな男性像を提示し、あらゆるライフスタイル、等身大の男性像をイメージさせるルックが並ぶ。トラックスーツを纏うスポーツマン、ヒッピーカルチャーを彷彿とさせるグラフィック感覚、ステッチやエンボスによる繊細な装飾が特徴のレザージャケットをはじめ微細なダーツ使いのニットトップスなど、クラフツマンシップの息吹も感じさせた。

プラダのコレクション

4.エンポリオ アルマーニ|美学の探究につながる異文化の考察

「ORIGINS」というタイトルどおり、エンポリオ アルマーニは自己表現への情熱を再考し、創作の原点である“異文化への純粋な関心”を軸にコレクションを展開。スポーツライン、EA7エンポリオ アルマーニを纏った集団が登場して幕を開けたショーでは、アフリカの色彩と独自のフォルムアイテムを合わせたり、素肌に羽織る柔らかなジャケットやワイドパンツ、長いチュニックは、軽量のクレープやリネンで仕立てられた。モロッコのモザイクなどの幾何学プリントやタトゥーのような刺繍といった今季を象徴するディテールも大胆に並ぶ。

エンポリオ アルマーニのコレクション

5.セッチュウ|アフリカでの体験が服の定義を改めさせる

桑田悟史が手がけるセッチュウは和洋折衷の意のままに、東洋と西洋の融合を軸としているが、今季はそこから視点を拡張させ、アフリカでの経験を起点としている。ジンバブエの財団と協業し、現地の職人技術にフォーカス。シャツはジッパーを開けば布が解け、身体に巻きつけると別の姿に。ガーメントケースはドレスに。巨大なカーゴパンツはスカートに変形。サファリジャケットの襟からはトートバッグ用のハンドルが出ている。性差もサイズも仕様も曖昧に溶け合い、合理性より着る楽しさを体現するプリミティブな創作となっていた。

セッチュウのコレクション

【特集 大人のジャケットスタイル】

この記事はGOETHE 2025年11月号「特集:スタイルのあるジャケット」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=関口 究

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