CAR

2025.09.30

ランボルギーニ・テメラリオが日本上陸! スーパースポーツと持続可能な社会は両立するのか? 

ランボルギーニのニューモデルであるテメラリオは、新しい時代の高性能車のあるべき姿を示唆している。

ランボルギーニ・テメラリオが日本上陸! スーパースポーツと持続可能な社会は両立するのか? 

着々と進行するランボルギーニのサスティナブル戦略

まもなく、2024年に発表された新型スーパースポーツ、ランボルギーニ・テメラリオが日本の路上を走り始める。詳細については、2025年11月に開催される試乗会のインプレッションを本欄で紹介する予定であるけれど、試乗する前に、テメラリオというモデルのアウトラインを復習しておきたい。というのも、テメラリオはランボルギーニというブランドだけでなく、スーパースポーツというカテゴリーにおいて重要な意味を持つモデルであるからだ。

ひとつめのポイントは、テメラリオの登場によってランボルギーニのPHEV(プラグインハイブリッド車)のラインナップが完成することだ。

V型12気筒エンジン搭載のフラッグシップモデルであるレヴエルト、スーパーSUVのウルスSE、そしてV型8気筒エンジンと3つのモーターでPHEVシステムを構成するテメラリオによって、ランボルギーニの全モデルが電動化した。

この事実は、ランボルギーニというブランドが環境問題と折り合いをつけながら、将来にわたって超高性能車を作り続けるという意思の現れである。

ランボルギーニ・テメラリオ
ランボルギーニ・テメラリオは、同社のウラカンの後継モデルという位置づけ。2014年に登場したウラカンは10年間のモデルライフで2万5000台以上を販売したヒット作。テメラリオも、ランボルギーニの魅力を広く伝える役割を担う。

2021年、ランボルギーニは「コル・タウリ」というエコロジー移行計画を発表している。「コル・タウリ」とはラテン語で雄牛の心臓を意味し、おうし座のなかで最も明るい恒星アルデバランの別称でもある。

「コル・タウリ」は3段階で構成されている。

2021年から2022年までは内燃機関の高効率化、2024年末までは全モデルの電動化、そして2026年から2030年までにフル電動モデルを発表する、という計画だ。

テメラリオの登場によって、ランボルギーニの「コル・タウリ」計画が第2段階までは順調に進行していることがわかる。

1万回転まで回るV8ツインターボ

では、ランボルギーニ・テメラリオというモデルの技術的なポイントはどこにあるのか。

まず注目したいのは、排気量4ℓのV型8気筒ツインターボエンジンを搭載していることだ。先代にあたる純エンジン車のウラカンが5.2ℓのV型10気筒自然吸気(NA)エンジンを積んでいたのに対し、ダウンサイジングするとともに、ターボチャージャーを装着した。狙いは明白で、排気量と気筒数を引き下げることで効率を高めるいっぽうで、ターボチャージャー装着でパフォーマンスを向上させようというのだ。

ランボルギーニ・テメラリオ
ドライバーの背後にミドシップされる排気量4ℓのV型8気筒ツインターボエンジン。3基のモーターとの連携によって、ハイパフォーマンスと環境性能の両立を図る。

クルマ好きのなかには、高回転域でのシャープな回転フィールや甲高いサウンドなど、NAエンジン特有の“手ざわり”を愛でる方も多い。ただしスペックを見ると、テメラリオのV8ツインターボは1万rpmまで回ると記されている。これは超高性能NAエンジンを凌駕するもので、はたしてどのような印象を与えるのか。試乗の際には、じっくりと確認したい。

このV8エンジンはランボルギーニの完全オリジナルで、同じフォルクスワーゲン・グループ傘下のポルシェのV8とはまったくの別物であるという。エンジン単体の最高出力は800psで、モーターも含めたシステム全体の最高出力は920psを誇る。

リアに1基、フロントに2基というモーターの配置も興味深い。駆動方式は4輪駆動で、フロントの2つのモーターはそれぞれが左右のモーターを駆動して、トルクベクタリングを実現する。トルクベクタリングとは、左右両輪の駆動力を個別に制御することで、曲がりやすくしたり、動きを安定させる機能。

しかもエンジンより素早く、緻密に制御できるモーターを用いることから、ワインディングロードでのハンドリングやフルスロットル時により効果的に機能することが予想される。こちらも、試乗時のチェックポイントのひとつだ。

ランボルギーニ・テメラリオ

モーターだけで走行するいわゆるEV走行が可能な距離は、約10km。ちなみに、テメラリオとはスペイン語で「勇猛果敢な」という意味で、かつてこの名前の闘牛が活躍したのだという。この闘牛が、無音・無振動のEV走行をこなすシーンにも興味がわくし、しかもソナス・ファベールというイタリアの高性能サウンドシステムが備わっている。静かなランボルギーニのコクピットで音楽を楽しむという、新しい体験もできるかもしれない。

新世代スーパースポーツにどんな印象を抱くのか、試乗する日がいまから待ち遠しい。

ランボルギーニ・テメラリオ
ランボルギーニ・テメラリオ
全長×全幅×全高:4706×1996×1201mm
パワートレイン:4ℓV型8気筒ツインターボ+モーター
トランスミッション:8段DCT
駆動方式:フルタイム4輪駆動
システム最高出力:920ps
システム最大トルク:730Nm
価格:非公開

問い合わせ
ランボルギーニ カスタマーサービス TEL:0120-988-889

サトータケシ/Takeshi Sato
1966年生まれ。自動車文化誌『NAVI』で副編集長を務めた後に独立。現在はフリーランスのライター、編集者として活動している。

TEXT=サトータケシ

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