PERSON

2026.01.19

「嫌いな人には“無関心”でいい」は職場では危険。その理由とは

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、「エバース」「ヨネダ2000」をはじめ、多くの教え子を2025年M-1決勝に輩出した桝本壮志のコラム。

桝本壮志

「桝本さんの新刊で心が軽くなった30代の会社員です。私は、職場にどうしても苦手な上司がいるのですが、SNSでよく見かける『無関心になるのが一番』なのでしょうか?」という相談をいただきました。

まずは、拙著を読んで下さってありがとうございます。

さて、たしかにSNSでは、「嫌いな人・苦手な人」への対処法として、「無関心になるのが一番」というアドバイスが多いようですね。

しかし、約1万人の若手を育成してきた僕の知見では、多くの人が、この「無関心」を間違った感覚でとらえ、上司との関係をうまく築けていないように思えるのです。

そこで今回は、ほとんど語る人がいない、「嫌いな人は、無関心になるのが一番」の意味合いを、僕なりに明文化していきたいと思います。

「無関心」でなく「無関係」を目指していませんか?

SNSで散見される「嫌いな人には、無関心になる」を、どのようにとらえているか? エンタメ界で働く若手や吉本NSC生に聞いてみると、こんな答えが返ってきました。

  • その人に注意を向けないようにする (20代女性)
  • できる限り距離をとり、接点をつくらない (30代男性)
  • 何を言われても「はい」で受け流す (20代女性)
  • ずっと好きなラップを脳内再生する (10代男性)

彼らの「嫌いな人の存在を大ごとにしない」「その人について考える時間を減らす」というマインドは良いと思いますし、学校・友人関係・地域コミュニティなどでは一定のメンタルハックになるでしょう。

しかし、特に「職場」では、こういった思考はおすすめできません。

なぜなら“彼らが目指しているのは「無関心になる」ことではなく、「嫌いな人と無関係になる」こと”だからです。

言わずもがな、職場とは、同じ目的(業績達成)を持つ営利組織であり、自分への対価も発生する場所なので、嫌いな上役とも「無関係」ではいられません。

感情はどうであれ、時に手を結び、協力をしないと仕事放棄と見なされますし、最悪の場合、間違った無関心から「無能」の烙印を押されかねないからなんです。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2024年M-1決勝に輩出。
新著『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が絶賛発売中!
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人と「つながる」と「つながれる」は大違いです。

「無関心になる」の本質を知るためには、人と「つながる」と「つながれる」の違いを知ることだと僕は思っています。

職場でも友人どうしでも、人と人はすべて「つながり」です。そして、他者と「つながる」ためには、こちらも「伝える」ことをしなければ結ばれません。

好き・嫌いはどうであれ、意見、アイデア、笑顔、ねぎらい、反問、異論……、勇気をもってシグナルを発していく。何も伝えなければ、一方的に鎖で「つながれる」だけなのです。

例えば、前述のように、SNSでのアドバイスを履き違え、「無関係」を目指してしまうと、おのずと上役とのシグナル交換は生まれません。

すると上司は、従順ではあるけど、自発や自己開示のないあなたを、「そんなヤツなんだ」と一方的に鎖でつなぎ、シグナルを送らないあなたは、そのまま飼いならされてしまう。もちろん人事評価は上がらないのです。

これが、僕がたくさん見てきた「無関心になるのが一番」の落とし穴なんですね。

無関心とは、「反応」でなく「対応」すること

では、「無関心になる」とは、どういうことなんでしょう?

僕は“無関心になる部分を限定する”こと。そして“「反応する」でなく「対応する」こと”だと思っています。

それを言語化すると、以下の3つのメソッドになります。

  • ①嫌いな人とは「心の距離」を置いていいけれど、シグナルを送り「つながる」ためには、その人自体は「無関心」にはしない。
  • ②多くの場合、「嫌い」の根底には、その人が差し向けてくる言葉や態度があるので、その「言動」のみを無関心に設定しておく。
  • ③そのとき、相手に苦手意識があると、鋭利な言葉や態度に、つい表情や言葉で反応してしまうので、心に“反応するのではなく対応しよう”をピン止めしておく。

このように、「限定化」と「対応型」にしていくことで、本来の「嫌いな人は、無関心になる」が実現していくのだと考えています。

では、また来週、別のテーマでお逢いしましょう。

COMPOSITION=古澤誠一郎

TEXT=桝本壮志

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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