デビューから22年、第一線で世界を舞台に活躍するピアニスト、上原ひろみさんのインタビュー記事をまとめてお届け! ※2025年4月掲載記事を再編。

1.世界的ピアニスト・上原ひろみ「この世に永遠はない。人生は振り子」

世界的に活動を展開するピアニスト、上原ひろみが結成したHiromi’s Sonicwonderの2作目がリリースされた。
アルバム・タイトルは『OUT THERE』。バンドは、ピアノ&キーボード、ドラムス、ベース、トランペットの4人編成。すでに世界各地で新曲を演奏している。
楽曲はバリエーション豊か。デビューアルバムにも収録され、その迫力で世界中のリスナーをノックアウトした「XYZ」。ラーメン愛にあふれる彼女ならではのファンキーな「Yes! Ramen!!」。組曲「OUT THERE」。センシティヴな「ペンデュラム」はヴォーカルバージョンとソロピアノの2パターンが収録されている。
「ソニックワンダーは“個”が強いバンド。それぞれの個性が際立っていると自負しています。その上で最初のアルバム『Sonicwanderland』をレコーディングし、ツアーを重ね、お互いの理解が高まって、さらにバンドらしいサウンドになりました。
阿吽の呼吸による演奏は増えたし、この4人だからこそのギュッと引きしまったサウンドになっています」
2.「食事の満足度が仕事の成果を上げ、質を高める」世界が熱狂するジャズピアニスト・上原ひろみのマイルール

2003年、上原ひろみはアメリカ・ボストンにあるバークリー音楽大学在学中にデビュー。アメリカでメジャーデビューして2025年で22年になる。その間に14枚のリーダーアルバム、チック・コリア、スタンリー・クラーク、矢野顕子らと6枚のコラボアルバムをリリースした。
コロナ禍以前はもちろん、コロナ禍やその後も世界各国でツアーを行うなど、エネルギッシュで濃密な22年を送っている。そして、2025年4月に、上原ひろみが結成したバンドHiromi’s Sonicwonder名義の最新アルバム『OUT THERE』をリリースした。
インタビューの前編では、2025年4月に発売した新作『OUT THERE』の組曲「OUT THERE」や人生の光と影を奏でた「ペンデュラム」を中心に話を聞いた。後編では、限られた時間や環境で自分のポテンシャルを 最大限発揮する術について質問した。
1日は24時間。どこに住んでいても、老若男女等しく時間が与えられている。同じ時間枠なのに成果を上げるタイプとそうではないタイプがいる。上原はどんな生活の知恵や心得やローテーションから、新しい作品を生み出しているのだろう。
「食事の満足度が仕事で成果を上げ、その質を高める。だから、食べることの大切さを常に意識しています。
食事の習慣や、レコーディングやツアー中にバンドメンバーで食べる内容は、間違いなく音楽にも反映されます。演奏技術はいきなり向上するわけではありませんが、食事次第で音楽のテンションは高まると思っています」
上原は断言する。
『OUT THERE』には「Yes! Ramen!!」というシンセサイザーを巧みに使ったファンキーなナンバーがある。この曲は、幼少時からラーメンを愛する上原の思いが込められている。ラーメンは、音楽家としての彼女の身体と心のエネルギー源にもなってきた。

