31歳で衆議院議員に初当選し、2016年に辞職するまで5年弱にわたって政治の世界に身を置いた宮崎謙介氏。政治家を経験したからこそ知った、世の中の“本当の仕組み”と渡り方”について、赤裸々に語る連載がスタート。

政治家の経験がコンサルに役立っている
はじめまして、宮崎謙介です。2011年に政治の世界に足を踏み入れ、足かけ5年衆議院議員を務めさせていただきましたが、例の不祥事で(なんのことか、みなさんご想像つきますよね……その節はご迷惑をおかけしました)辞職。
その後は、企業コンサルティングや講演会などで生業を立てています。ちなみに、テレビのコメンテーターなどをしている妻・金子恵美も元政治家です。
政治家を経験したことで、さまざまなことを学びましたし、鍛えられました。巷では、妻の稼ぎで生活している……なんてウワサもあるようですが、我が家の大黒柱は私です(笑)。
ご縁があって現在30社以上の企業をコンサルティングさせていただいていますが、政治家を経験したことが、現在の仕事に大いに役立っています。なぜなら、社会やビジネスは政治と切っても切れない関係だから。
政治の裏側を知ると、先が”読める“ようになります。
「今の政府は、この政策実現に力を入れるはず」とか「この人がエラくなったら、この業界に追い風になるだろう」など、この先日本がどこに向かうのかが、ある程度推測できるわけです。
それで、顧客から「新規事業としてこんなものを考えている」と相談された時に、「その事業は規制緩和の可能性が高いから、すぐに取り組んだほうがいい」あるいは「もう少し寝かせては?」などのアドバイスができるのです。
経営者から政治家に転身した理由
もちろん、現在の仕事に役立てようと考えて、政治家になったわけではありません。ここで自己紹介がてら、僕が国会議員になった経緯をお話させてください。
僕は26歳の時に、学生の就職支援の会社を起業しました。
東京大学、京都大学、早稲田大学、慶応義塾大学に特化していたのですが、学生たちと交流するなかで、多くの若者が日本の将来を悲観していることを目の当たりにしました。いずれ海外に移住といった声も少なくなかった。
優秀な人材がどんどん流出してしまったら日本はどうなるのか。それを食い止めるには、若者が希望を持てる社会をつくらなければならない。それには、政治家になり、国政に関わるのが一番だ。そう考えていた矢先、大学時代の後輩から自民党の公認候補の公募があると聞き、さっそくトライ。ありがたいことに、京都三区の支部長に選ばれ、公認候補として衆院選に立候補することとなりました。
政治経験ゼロからのスタートだったので、右往左往しながらではありましたが、2012年の第46回衆議院議員総選挙に立候補し、初当選。議員在職中は、日本の創業率向上やIT予算の無駄削減、日本の伝統と職人を守るための日本版マイスター制度の確立、東京都がつくったヘルプマークを全国に普及する活動、自民党若手議員外交の会の立ち上げなどに携わらせていただきました。
その間、故・安倍信三元総理に菅義偉元総理、二階俊博元幹事長、岸田文雄前総理、石破茂総理など、さまざまな大物政治家と交流の機会を得られましたし、多くの貴重な経験もさせてもらいました。5年弱ではありましたが、かなり濃密な政治家人生だったと思います。と同時に、確信したのです。政治を知れば、社会の見方、渡り方が変わると。
この連載では、政治家を経験した僕だからこそ気づいた社会課題やビジネスに役立つ情報などを、発信していきたいと思います

1981年東京都生まれ。2003年に早稲田大学商学部を卒業し、生命保険会社やITベンチャーなどを経て、2007年ネオトラディションを設立。2011年自由民主党京都府第三選挙区支部長に選任され、2012年衆議院議員総選挙にて初当選。2014年2期目の当選を果たすものの、2016年に辞職。2018年8infinityを設立。現在、約30社のコンサルティング・企業顧問・社外取締役として活動。