避暑地でありながら、上質な日常を育む文化圏へと進化する軽井沢。軽井沢T-SITEを皮切りに、未来型リゾートへと変貌を遂げる軽井沢の未来に迫る。【特集 偏愛リゾート軽井沢&熱海】

癒される軽井沢
軽井沢駅北口直結という抜群の立地に、この2026年3月にオープンしたのが、商業施設の軽井沢T-SITE。しなの鉄道の操車場跡地に、温浴施設「AQUAIGNIS GARDEN SPA(アクアイグニス ガーデンスパ)」、ザ・コンランショップ監修のホテル「HACIENDA KARUIZAWA(ハシェンダ軽井沢)」、長野県初出店となるカフェ・ラウンジ「SHARE LOUNGE」など17店舗が並ぶ。
「軽井沢は長野県にとって東京からの玄関口になる場所。ここを起点に長野、信州を知ってほしいと思い、長野ワインを多数揃えたショップなど信州らしさを発信し体感できる店舗に出店していただきました」
そう語るのは、この施設を手がけたCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)代表取締役社長兼CEOの髙橋誉則(やすのり)氏。
「そして同時に重視したのは、ここを地元の方たちにも魅力ある場にすることでした」
そのため、「笠庵 賛否両論」や「I’m donut?」など東京の人気飲食店や「SHARE LOUNGE」などの半数以上が軽井沢あるいは甲信越初出店。150台もの駐車場も、近隣から来る方の利便性を考慮した結果だという。
「別荘をお持ちの方々はもちろんですが、地元の方も普段ちょっと行ってみようと思っていただける場所でもあるべきだと考えました。長野を知り、あるいは長野にはないものを知る、そんなさまざまな人たちの交流が生まれる場所。そういう存在になってほしいと思っています」
軽井沢の未来を拓くきっかけは約10年前に
CCCが初めて軽井沢に進出したのは2018年。
「軽井沢唯一の書店が撤退してしまい、その後我々がオープンしたのが『軽井沢書店』です。軽井沢は昔から文壇の重鎮たちが執筆を続けていた場所でもあり、そんな歴史ある地に書店をなくしてはいけないという思いがありました」
その後、2023年に「軽井沢書店 中軽井沢店」を中心にインターナショナルスクールやデリや雑貨店、カフェなどが点在する複合施設「軽井沢コモングラウンズ」をオープン。住民が散歩で立ち寄れるような、地域との接点をより密にしたコミュニティハブを目指した。そして次なるステップがこの軽井沢T-SITEとなる。
「短期的に商業施設を建て、それで終わりとは思っていません。これまで地元のアーティストの音楽会を開催するなど、ひとつの書店から人々の交流が生まれ、それが進化する形でコモングラウンズができる。今度のT-SITEでは観光などで訪れる方たちと近隣の方の交流が生まれることを目指しているように、歴史や暮らしを理解したうえで、軽井沢という街を長い目で見ています。だから、これまで軽井沢でひとつひとつ重ねてきたチャレンジが、このT-SITEに集結したと言えるかもしれません」
さらにCCCは中部電力ミライズと合弁会社を設立。T-SITEとコモングラウンズでは施設内で太陽光発電を行い、余剰電力を近隣地域に供給するシステムも構築している。
「文化的側面ではなく、人的資源やエネルギーといったサステナビリティなど、都心部に比べ枯渇しがちな地方の資源についての問題も、これまでの取り組みのなかで生まれてきたもの。新しいチャレンジができるのは我々にとってもありがたいと感じています。特に今回のT-SITEでは、これまでの地元の方向けと新たに軽井沢に来た方たち両方の場づくりになる。もしかしたら、ここから何か新しいビジネスも生まれるかもしれません。ここがその舞台になれば、とても嬉しいですね」
T-SITEからさらに広がる街づくり
今回のT-SITE開業にいたるまで軽井沢で築いてきたプロセスは、ひとつのビジネスモデルとして全国にも波及可能だと髙橋氏は語る。
「エリア特性の違いはありますが、アプローチや考え方は他のエリアでも活かせる部分はたくさんある。でもその核にあるのは、やっぱり書店。書店という形ではなくても、本と直接触れる場をつくることは忘れず、ライフワークとして挑みたいと思っています」
軽井沢T-SITEでも、「SHARE LOUNGE」には旅や信州地方などをテーマにコンシェルジュが選んだ書籍や写真集が数多く揃う。
「手に取って情報を得て、じゃあバスでお蕎麦屋さんに行こうとか、ワイナリーにも寄ってみようとか、すぐに動くことができる。そんな駅直結の機能性もここならではだと思います」
訪れた誰もが信州を知り、新たな味を体験し、人と文化の交流点となる軽井沢T-SITE。長い歴史がありながら、まだまだ新たな化学反応が起こりそうな軽井沢。その未来はここから始まる。

髙橋誉則/Yasunori Takahashi
カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役社長兼CEO。1973年東京都生まれ。1997年CCC入社後、人事部門に従事。2006年CCCキャスティング代表取締役社長就任。グループのデータ分析会社を経て2024年より現職。
軽井沢T-SITE/Karuizawa T-SITE
敷地面積は約13,000㎡。乗車前にサッと見て回れる、ほどよい広さに17店舗が揃う。露天風呂もある温浴施設「AQUAIGNIS GARDEN SPA」にサウナは2タイプ。ホテル「HACIENDA KARUIZAWA」はわずか9室という贅沢さ。信州の食材などを揃えた、信州を体感できる店舗は「シャトー・メルシャン・ワインショップ 軽井沢」など5店舗。「SHARE LOUNGE 軽井沢T-SITE」にも、地元アーティストのアートなどが並ぶ。駐車場にはEVステーションも。
不動産市況の今
メリットを探すことが難しいほど、日本の別荘地で”軽井沢”というブランドの強さは右に出るものがないと思います。2019〜20年頃は坪単価10万〜30万円だった土地が、現在は70万〜100万円と3倍以上と、地価は常に上昇傾向にあります。海外の方にも軽井沢のステータス感は知られており、特に避暑地としての気候からアジアだけでなく欧州系の方からの注目度も高いです。
これから購入するなら、注目したいのが南軽井沢です。駅からクルマで5分〜10分程の好アクセスながら、まだ開発の余地が十分にあり、高級分譲地の旧軽井沢の坪単価の1/3〜1/5の土地も探すことは可能でしょう。
今後ホテルコンドミニアムも増加し、すでにラグジュアリーホテルの参入や、超富裕層をターゲットとしたゲートつき別荘地の開発なども予定されているため、人気も地価の上昇も続くと予想されます。別荘を資産分散先のひとつと捉える方も多いですが、その点でも軽井沢は市況に左右されにくい、安定した資産になり得るのではないかと思います。
赤羽一隆
リスト サザビーズ インターナショナル リアルティ ウェルスマネジメント事業本部
この記事はGOETHE 2026年7月号「総力特集:偏愛リゾート最前線!」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

