TRAVEL

2024.05.26

何もしない贅沢。 軽井沢の隠れ家ホテル「ししいわハウス」でリトリート体験

長野県・軽井沢に建築家がデザインするリトリート・コレクションとして、2019年に開業したブティックホテル「ししいわハウス」。2023年5月に新たなコレクションとして「ししいわハウスNo.3(SSH No.3)」が誕生した。大自然の森と山々に囲まれたリゾート地、軽井沢に佇む隠れ家ホテルは、心と身体を癒すリトリートにこそふさわしい場所だった。

ししいわハウスNo.3(SSH No.3)

まるで別荘のようなプライベート空間

東京から新幹線で約1時間。長野県・軽井沢駅からクルマで15分の場所に建築家がデザインするリトリート・コレクションとして、2019年に開業したブティックホテル「ししいわハウス」。

これまでに世界的建築家・坂茂氏が建築・デザインを担当した「ししいわハウスNo.1(SSH No.1)」と「ししいわハウスNo.2(SSH No.2)」を展開。

その3つ目となる新たなコレクションが誕生した。

「ししいわハウスNo.3(SSH No.3)」は、『金沢21世紀美術館』、ルーヴル美術館別館『ルーヴル・ランス』などを手がけ、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞している西沢立衛氏が建築・デザインを担当。

自然そのものを楽しむことをデザインコンセプトとし、軽井沢の自然に溶け込むような隠れ家的空間を目指したという。

ホテルに到着しエントランスを抜けると、日本の伝統的な木造建築にならった、軽井沢の自然と静寂を体感できる空間があった。

「ししいわハウスNo.03」は10棟のパビリオン(客室棟)で構成されており、各棟が縁側と中庭でつながる造りだ。聞けば、西沢氏の日本の伝統的な木造建築へのオマージュが込められ、ホテルの外と内を縁側でつなぐことで、“間”の取り方を大切にしたという。

ホテル内の随所に天然の建材や職人技が感じられ、インテリアは温もりがありつつも洗練された印象。四季折々の風景や時の流れを感じられるラウンジのイスに腰をかければ、友人の別荘を訪れたような落ち着きを感じられる。1日10組までとプライベート感があるのもその要因のひとつかもしれない。

「ししいわハウスNo.03(SSH No.03)」

名作家具にアート、名建築に宿泊する愉悦

とにかく軽井沢の自然を存分に堪能できるのが「ししいわハウス」の一番の魅力。

各棟をつなぐ縁側を進み、室内に入ってまず目を引くのは、天井から床までふんだんに使われているヒノキ材だ。全室が総ヒノキ張りで、伝統的な寺院や神社、皇室別荘などに使用される日本のヒノキのなかでも貴重で上質な岐阜県産のもの使用。部屋に入ると心身を癒やす、ほのかなヒノキの芳香に包まれる。

宿にいるだけで、何気なく全身で感じることができる自然は、西沢氏が緻密に計算して設計した空間だからこそだろう。

室内に入ると心身を癒やす、ほのかなヒノキの芳香に包まれる。

自然の静寂に包まれた「ししいわハウスNo.3」だが、洗練されたミニマルな空間でひときわ存在感を放つのが館内の名作家具やアート。

貴重な日本のアンティーク家具のほか、ピエール・ジャンヌレやアルネ・ヤコブセン、チャールズ&レイ・イームズなどのミッドセンチュリーの名作家具などシンプルで上質なデザインが揃い、さらに、歌川広重など浮世絵の名画がさり気なく飾られている。

また、共有スペースがいくつかあり、ライブラリーやお茶の間ラウンジ、茶室では本格的なお茶体験が可能。軽井沢の自然のなかで日本の伝統文化に気軽に触れることができるのも魅力だ。

部屋は全11室。畳のスイートと洋室のスーペリアが母屋に10室、離れてヴィラが1室ある。今回宿泊したのは洋室のスーペリア。

部屋の設備は最小限。テレビなどの電化製品はなく、あるものは家具とエアコンくらい。部屋の四方の壁に窓が設けられ、室内からも周囲の森や庭の四季折々の風景を楽しむことができる。窓が大きく、陽光が差し込み、部屋のまわりを囲う木々や鳥をすぐそばに感じられることができるので、まるで自然の中にいるように、部屋と外の境界線を感じることなく過ごせる。

軽井沢だと冬はやや寒いのではないかと思ったが、床暖房も完備しているというから安心だ。

特筆したいのは、各部屋についている風呂も総ヒノキでつくられていること。それだけでも十分贅沢だが、離れにあるヒノキの浴場「バスハウス」も利用できるので、広々とした空間でゆったり湯に浸かることもできる。

森に住んでるかのような非日常感もありながら、自分の家のような安らぎもある「ししいわハウスNo.03(SSH No.03)」。都会の喧騒から離れ、ディテールまで計算し尽くされたこだわりの空間で、優しく癒やされてみてはいかがだろうか。

TEXT=ゲーテ編集部

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