PERSON

2025.01.22

女性問題で政界を離れて8年、叩かれても自然体で生きる宮崎謙介

慶應義塾大学教授・岸博幸先生が、各分野で活躍するいま気になる人と対談する不定期連載企画「オトナの嗜み、オトコの慎み」。今回の対談相手は、元衆議院議員・経営コンサルタント・タレントの宮崎謙介氏。

笑顔の宮崎謙介氏と岸博之氏

政治家には皆無の天真爛漫タイプ

 今回の対談相手は宮崎謙介さん。31歳で衆議院議員選挙に当選し、これからの政界を担う若手議員として注目されました。でも、女性問題によって辞職。今はコンサルやタレントとして活躍中。まずはお聞きしたい。宮崎さんは、いつから女性にモテたの?

宮崎 中学2年からモテました(笑)。男子校だったんですけど、他校の女子生徒に校舎の前で待ち伏せされたり、手紙をもらったり。高校生になると、よく合コンに誘われました。

 モテる秘訣は?

宮崎 学生時代はちょっとスカした感じで。ボート部に属してレガッタをやっていましたが、部活だけに打ちこむのはクールじゃないと思って途中で辞めました。でも、遊んでばかりのチャラ男だったわけではなく学問にも励みました。チャラっぽいのに、まじめで知的な一面を出すとまたモテる。女子生徒に「マックとモスのマーケティング戦略の違いってわかる?」みたいに語ったり。

 宮崎さんって、そういう話をあっけらかんと言ってしまうから、誤解されるし、可愛がられもする。政界にいない天真爛漫タイプ。

宮崎 政治家の先輩たちにはよく怒られました。議員になった当時は、若くて今以上に正義感が強かったから、実直に物を言った。「忙しいから」を口実に勉強会をやらない先輩議員に「もっと勉強会を開いてください」と。相手は激怒しちゃって、困り果てて他の先輩に相談したら、激怒した議員はバカラのクリスタルが好きだという。新作を買って贈ったりしました。

 宮崎さんは、正直で自然体ですよね。人間として面白いし、それが魅力になっている。最近、女性問題で叩かれた政治家がいるけど、彼の謝罪会見は好きになれなかった。

宮崎 どうしてですか?

 どう答えれば好感度を下げずに傷口を早く塞ぐことができるか。そんな狙いとあざとさが感じられた。よく言えば、対応力があるってことなんだけど。宮崎さんだったら、ああいう会見にはならないでしょう?

宮崎 僕の場合は頭の中が真っ白になり、何も考えられなくなってしまった。これはもうダメだ。議員を辞職し、自民党を離党するしかないなと。

 宮崎さんの言葉には本心が感じられたから、「バカやっちゃったけど、を済ませて、政界に戻ってこい」って思えた。それでいいじゃない。今は有能な政治家が不足しているから。それにしても、最高の奥さんもらったよね。

宮崎 よく踏ん張ってくれました。僕が叩かれた時も、「私の辞書には離婚の文字はない」と言われまして。自分の妻ながら、男前で、かっこいい。

 息子さんも大きくなったよね。今、何歳?

宮崎 8歳です。

 この前、現場で会いまして。はっきりと自分の意見を言えるし、親の育て方がいいんだろうなと。宮崎家の教育方針は?

宮崎 何事も包み隠さず、大人目線で議論すること。政治の話も、お金の話も。「ロシアとウクライナの戦争を終結させるためにはどうしたらいいか」を語り合うこともあります。

 息子さんの答えは?

宮崎 「プーチンはダメ。プーチンのお父さん、お母さんに言いつける」と言ってました(笑)。僕は息子がどんな意見を述べても、絶対に否定しないし怒らない。でも、自分で行くと決めた習い事をさぼろうとしたような時には、きっちりと怒ります。

辞職から8年経過政界への復帰は?

 宮崎さんは議員を辞職して8年。そろそろ政界に復帰してもいい頃だと思う。息子さんに政治家としての姿を見せたいのでは。

宮崎 それはありますね。息子は僕が議員だったことをわかっていないようですし。僕自身も「現場に戻りたい」という思いがどんどん高まってきています。

 じゃあ、戻るべき。議員を辞めてからの8年間で、政界では得られない、重要な経験を積んだはず。

宮崎 議員の時はチヤホヤされて持ち上げられ、耳触りのいい情報しか入ってこなかった。でも、日本国民全員から叩かれ、一気にどん底。当時は打ちのめされたけど、そのおかげでかけがえのない経験ができたと思います。メディアの仕事にも恵まれ、さまざまなジャンルの人と知り合えました。その経験や人脈を、再び政治の世界で生かしたい。

 エリート街道まっしぐらの人は、意外なほど脆い。一回、地に落ちて這い上がったエリートは強い。理想とする政治家像は?

宮崎 人の話を聞き、思想をぶつけ合えるエネルギーを持った人。例えば、菅元総理。毎日スケジュールが詰まっていて、めちゃくちゃ忙しい。でも、「話を聞いてほしい」と伝えると、どんなに遅くなっても時間を割いてくれるし、懐に入れてくれる。だから、「ついていきたい」と思うわけです。

 菅さんはそういう人ですよね。最近の政治家はサラリーマン的。「今日はもう時間がないから」と追い払われる。自分のことしか頭にないんだよなあ。

宮崎 持論だけを語って終わりという人はツラいです。

 人のために時間をつくることができるかどうか。それがモテる秘訣だと思う。他に宮崎さんが実践しているモテ方は?

宮崎 まずは清潔感でしょう。特に細かなところに手を抜かないこと。僕は人と会う前にヒゲを剃り直します。そうした気持ちは、相手にも伝わります。「自分のために身だしなみを整えてくれているんだな」って。あとは、お会いする相手についての予習をして、会話のなかで輝くようなフレーズを3つくらい用意しておきます。話のきっかけになるようなアイテムを持っておくのも効果的です。

 例えば?

宮崎 僕はシガリロが好きで、ストレス発散や嫌なことがあって現実逃避したい時に嗜んでいます。シガリロは紙巻きたばこのような細い葉巻。よく女の子に「何、それ?」って聞かれます。

 ははは。女性関係には、くれぐれも気をつけてください(笑)。

語り合う宮崎謙介氏と岸博之氏
宮崎謙介/Kensuke Miyazaki(左)
元衆議院議員・経営コンサルタント・タレント。1981年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。31歳で衆議院議員に立候補。小選挙区で当選し、国会議員を2期務める。IT予算の1400億円削減、ヘルプマークの普及などに尽力。妻は元衆議院議員の金子恵美。

岸博幸/Hiroyuki Kishi(右)
1962年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。経済財政政策担当大臣、総務大臣などの政務秘書官を務めた。現在、エイベックスGH顧問のほか、総合格闘技団体RIZINの運営にも携わる。

TEXT=川岸徹

PHOTOGRAPH=杉田裕一

HAIR&MAKE-UP=米尾太一(untitled.)

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2025年2月号

各界のトップランナーの勝ち運アイテム

木村拓哉

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2025年2月号

各界のトップランナーの勝ち運アイテム

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ2月号』が2024年12月24日に発売となる。今回の特集は“勝ち運アイテム”。 各界のトップランナーたちのパワーアイテムを大調査。表紙は木村拓哉。自身のお守り的アイテム、私物のゴローズのブレスレットを身に付けて撮影に挑んだ。

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

SALON MEMBER ゲーテサロン

会員登録をすると、エクスクルーシブなイベントの数々や、スペシャルなプレゼント情報へアクセスが可能に。会員の皆様に、非日常な体験ができる機会をご提供します。

SALON MEMBERになる