2024年2月にカブ&ピースを設立し、「国民総株主」の実現に向け動き出した稀代の経営者・前澤友作氏初の著書となる『国民総株主』の一部を抜粋・再編集した記事をまとめてお届け! ※2025年3月掲載記事を再編。

1.約49億円を配った前澤友作は、なぜ「お金配りはもうしない」と決めたのか?

お金を配るなんて不思議に思われるかもしれませんが、僕は数年間で約49億円を見ず知らずの人たちに配りました。
初めてお金配りをしたのは、2019年の1月。当時、僕はZOZOの社長でした。1月1日から始まるZOZOTOWNの新春セールをいかに盛り上げるか。ZOZOとして新春セールにかけられる広告予算には限度がある中、社長である僕が個人の資金でPRする分には予算は自由だろうと。会社ともいろいろ話した結果、個人的に「お年玉キャンペーン」をツイッター(現・X)上で実施し、ZOZOの新春セールのPRも同時にすることにしたんです。
これが、最初の「お金配り」でした。
最初のお金配りでは、100万円を100人に配りました。個人資産1億円を使って「100万円が100人に当たるから、みなさんZOZOの新春セール、見に行ってみてね!」と、軽いノリでした。
でも、いざやってみたら、ものすごくバズった。記録としてはリツイートが500万件を超えました。後々ギネス世界記録の公式認定証を頂くことになるのですが、当時のリツイート記録を大幅に更新して、大キャンペーンに発展していったんです。
2.日経平均株価6万円超えの可能性も。前澤友作が提唱する「国民総株主」とは?

僕が目指す世界は「国民総株主」です。
「国民総株主」とは何でしょうか?
簡単に言えば「日本人、すべての人がなんらかの会社の株式を所有している状態」です。
大前提として、この社会は「資本主義」で動いています。読んで字のごとく「資本」を中心に回っている社会です。労働する人、消費をする人、資本を持つ人、それぞれが資本主義の中では大切なプレイヤーではありますが、主役は誰かと問われれば、それは資本を持つ「資本家」です。
この資本主義の社会の中で主体者として生きていくためには、「資本を持つ」ことが大変重要です。
資本の中でも特に「株」に関していえば、日本人で株式投資をしている人の割合は全体の約3割です。つまり、約7割の人が株を所有しておらず、資本主義社会に主体的に参加できていない状態だともいえます(自社アンケート調べ)。
この現状を変え、すべての人が株を持った状態=「国民総株主」にしていくことが、当社「株式会社カブ&ピース」(以下、カブアンド社)の目標なのです。
3.前澤友作、S&P500やオルカンより「個別株」をすすめる理由

大企業が生み出す利益の一部は「配当」という形で、資本を持っている人、つまりその会社の株を持っている人に分配されます。
もし、自分が応援する会社の利益の一部を受け取りたいのであれば、その会社の株を持たなければ受け取れません。
たとえば毎日イオンでお買い物をしているお客さんの、おそらく8〜9割はイオンの株を持っていないだろうと思います。それはつまり、イオンが生み出す利益をまったく受け取れていないことを意味します。
せっかく毎日イオンでお買い物をして、イオンの売り上げや利益に貢献しているにもかかわらず、一銭も利益を受け取れないのです。
では、イオンの利益は誰が受け取っているのか。「株主」です。
僕がまずおすすめしたいのは「イオンでお買い物するなら、イオンの株を買ってみる」ということ。そうすれば、イオンが毎年生み出す利益の一部を自分も配当として受け取ることができる。せっかくイオンでお買い物するなら、利益の一部である配当を受け取れるようにしましょう。
4.1株9万→500万!? 前澤友作はZOZO時代にも株を配っていた

株を配りたいという思いは、ZOZOにいたときからありました。
ZOZO社は創業時から外部の資金を入れてこなかったこともあり、ずっと僕が100%株主でした。
ただ上場するにあたっては、それなりに株式の流動性を高めて「みんなの会社」にしていかなければいけません。
そのとき「じゃあ、どんな人に株主になってもらうのがうちの会社にとっていいんだろう?」と考えて、真っ先に思い浮かんだのが「社員とそのご家族に持ってもらおう」ということでした。
そして、次に考えたのが「お客さまにも株を持ってもらいたい」ということ。
そこで「ZOZOを名もなき頃から応援してくれていたすべてのお客さまたちに、株を配りたいんだけどどうしたらいい?」と財務部とか管理本部に相談して実現に向けて動きました。
これはあまり有名な話ではないのですが、本当にそのとき、お客さまに株を配りました。ただし、残念ながら僕が希望していたお客さま全員に、とはならず、1500人ほどのお客さまに株をお配りすることになりました。
株を配るお客さまはランダムに選ばせていただき、封書を郵送で送りご連絡をしました。中にはこんな内容の手紙を入れました。
5.前澤友作は「移民」をどう考える?

日本を代表するような会社は日本人が守っていくべきです。
株式マーケットは自由な市場です。日本を代表する企業の株は誰でも買えるわけです。だからといって、資本力にものをいわせた海外の大資本に好き放題やられるのはなんだか悔しく思います。
では、どうしたらよいのか。
僕たち日本人が株を所有すればいい。しかも長期目線でです。
もちろんそうした企業は配当をしっかり出していることも多いでしょう。貯蓄している資金がもしあるのならば、その一部でもそうした企業の株の購入に回し、配当を受け取りながら応援していくのはどうでしょうか。
国民総株主になった日本では、日本にとって大切な会社が日本人株主によって守られ応援されるような社会になることを期待しています。