何度言っても部下が自分で考えて動いてくれない。きちんと説明したはずなのに、同じことを何回も聞かれる。褒めても響かない、任せても考えない。そんな「上司の悩み」をアドラー心理学で根本から解決。著書『「アドラー」だから自分で動ける部下が育つ 上司の教え方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部抜粋。短期連載3回目。

結果よりプロセスを見て、「良いところ」を言葉にする
管理職の方を対象にした研修で私が必ずお伝えするのは、「結果だけでなく、その間の努力や工夫、進歩といったプロセスをきちんと見て、それを言葉にして伝えてあげてください」ということです。
なぜなら、それが「勇気づけ」に必要な姿勢だからです。
「どれだけ成長したのか」は、他人と比べるものではありません。
3ヵ月前、半年前、1年前と比べて、「ここがこう変わった」「ここまでできるようになった」と、相手の過去の状態からの成長を認めることが本来の評価であり、この視点が「プロセスを見ること」につながります。
そうした評価というのは、査定のタイミングでいきなりできるものではありません。
普段から相手の良いところを見つける姿勢をもち、それを言葉にして伝える習慣があるからこそできることです。
また、「できなかったことができるようになった」「最初はトラブルを起こしてばかりだった人がトラブルを起こさなくなった」といった変化は目に見えやすいですが、一方で「当たり前のことができる」という部分は案外評価されにくいものです。
- 会議室を使ったあと、さりげなく整理整頓をして帰る
- 周囲の空気を読んでトラブルを収める
こうした行動は組織が円滑に回るうえで欠かせませんが、それができていたとしてもあまり目立ちません。
本来、「当たり前のことを当たり前にやれる」のは素晴らしいことです。
だからこそ「教える」立場にいる人は、こうした貢献にきちんと目を向け、「あなたがいてくれるから助かっている」と言葉にして伝えていきましょう。
教える立場の人、リーダー・管理職こそ、「成長のプロセス」「目立たないけれど、当たり前が継続できていること」に目を向け、それを言葉にして相手に伝える姿勢がとても重要なのです。

