「言われたことしかやらない若手が増えた」――。そんな“指示待ち社員”に悩む管理職は多い。だが、意識構造学に基づき、すでに5,000社以上が導入する「識学」では、その原因は個人ではなく組織構造にあると説く。社員が自ら動く組織はどうすれば作れるのか。識学 代表取締役社長・安藤広大の連載第10回。【その他の記事はコチラ】

“指示待ち社員”を生むのは、曖昧な組織である
「若い世代には『言われたことしかやらない』という社員が増えています。そんな“指示待ち社員”が自ら動くようにするには、どうしたらいいでしょうか?」
目の前に仕事があっても自ら動かず、指摘すれば「指示されていなかったので……」と言われてしまう、いわゆる“指示待ち社員”。
彼らにとっては、「余計なことをして怒られたくない」「責任を取りたくない」という気持ちもあるのだろう。
やればできる能力を持っているのに、なぜか自ら一歩を踏み出さない。先輩社員や上司としては、もどかしさを感じているはずだ。
「でも、その原因は、その組織が“指示待ちでいられる環境”だからなんです。簡単に言えば、プレーヤーそれぞれの責任が曖昧だということ。識学の視点で言えば、社員の責任とは“期限”と“数値”です。『いつまでに、何を達成するのか』という責務が明確であれば、指示待ちしている場合ではないはず。だから責任を曖昧にしている組織ほど、指示待ちが発生してしまうんです」
指示待ち社員を嘆く以前に、その環境を生み出している組織側の問題に気づくべきなのだ。
「もちろん、指示がなくても動ける人はいるでしょう。でも、“みんなが自由に動けばいい”という話でもありません。例えば『自分でこれがいいと思ってやりました』と積極的に動いても、会社として求めていないことであれば、“勝手な行動”と捉えられてしまう。そうなれば、自主的な提案すらしづらくなります。
だからこそ、責任を明確にしておくことが重要なのです。自分がどういう立場で、何を求められている存在なのか。それが明確になっていれば、その責務の範囲で主体的に動けるようになりますから」
“主体性”は精神論ではなく、評価設計で生まれる
そして同時に必要なのが、その責務に対して評価が必ず連動していることを徹底することだ。
「自分の責務が評価対象であることがはっきりしていれば、成果を出せないことに危機感を持つようになります。誰かの指示を待っている余裕はなくなりますよね。自分に求められている成果を出すために、主体的に動かざるをえなくなるんです」
では、自分は成果を出したいと思っているのに、「指示されたことさえやっていれば、成果が出なくても責任を追及されない」――そんな“ぬるま湯”の空気が蔓延する組織だと気づいてしまった場合、部下の立場ではどうすべきなのだろうか。
「本来はマネジメント側が、きちんとした組織づくりを行うべきです。ただ、そんな組織の中でもできることはあります。まずは上司に、自分の責任範囲を確認してもらうことです。
『この期間の自分の責任は、この数字をここまで達成することでよろしいでしょうか? 他に求められることはありますか?』というように、期間や数値を明示して確認する。そうすれば、自分の立場や、やるべき仕事が明確になります。
周囲の空気を読んで動いたり、“他の人もやっているから”という曖昧な判断も減り、自分自身も仕事がしやすくなるはずです」
安藤広大/Kodai Ando
識学 代表取締役社長。1979年大阪府生まれ。早稲田大学卒業。大学時代はラグビー部に所属し、勝敗と向き合う厳しい環境で4年間を過ごす。NTTドコモ入社後、営業としてキャリアをスタート。上場企業への転職を経てマネジメントに携わるなかで、「人のやる気」や「人間力」に依存する組織運営に限界を感じ、識学と出合う。誤解や錯覚を排した明確なルールと仕組みによるマネジメント理論に強く共感し、事業部の立て直しでその有効性を実証。2015年に株式会社識学を設立し、創業4年足らず(3年11ヵ月)東証グロースに上場。現在は延べ5,000社以上の組織改革を支援している。組織マネジメントに関する著書は『リーダーの仮面』などベストセラー多数。「がんばっている人が、正しく報われる組織を増やしたい」という思いが、識学の根底にある。

